Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

カーボンニュートラルとエシカルと情報発信 脱炭素社会を目指して

 

 「脱炭素社会の実現」に向けて 有識者 ・・・ を招いた「全国フォーラム」が17日、首相官邸で開催された。

 日本経済新聞によれば、政府が掲げる2050年に温暖化ガス排出を実質ゼロとする目標を達成するための施策について意見交換したという。タレントの武井壮さんや、モデルのトラウデン直美さんらがメンバーに選ばれ、このフォーラムに参加したという。

www.nikkei.com 

 

2050年カーボンニュートラル・全国フォーラム

 このフォーラムには、末吉 里花氏(一般社団法人エシカル協会 代表理事)やClimate Youth Japanの近藤代表と石川副代表、タレントの百獣の王 武井壮氏、 モデルでタレントのトラウデン 直美氏、ノーベル化学賞受賞者の吉野 彰氏、 イオン㈱ 執行役の三宅 香氏や日本電鍍工業㈱、ニッセイアセットマネジメント㈱の代表取締役経団連の杉森副会長らが参加したという。

 また、地方自治体からは野口五島市長、政府からは菅首相、加藤官房長官、小泉環境相、梶山経産相、茂木外相が参加した。

 このフォーラムの目的は、2050年カーボンニュートラルの実現に向け国内の機運を醸成するため、気候変動問題に意欲的に取り組む様々な人々に参加を要請し、具体的な取組について宣言、表明をいただき、意見交換などによって新たな気づきや今後の取組連携の方向性を見出し、共有することだと内閣官房は説明する。

 

なぜエシカル協会やClimate Youth Japan他は参加するのか

 参加者は各々が発表資料を用意、その内容が内閣官房から公表された。

 エシカル協会の末吉 里花代表理事は、「2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、エシカルサステナブルな製品やサービスを選ぶ消費者を育んでいくために、国民一人ひとりの意識向上を図る」と宣言、以下を政府に要望する。

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(資料:内閣官房公式サイト 2050カーボンニュートラル・全国フォーラム「末吉氏資料」

 

 武井壮氏は、「スポーツ×気候変動」で、夏期のマラソン、冬期のスキーなど、世界地図上に、プレーできなくなるスポーツの見える化などを提言し、「自分の時代はまだ・・」と他人事のアスリートにも実感を持ってもらいたいという。 

一人の100歩より100人の一歩」と話したのはトラウデン 直美氏。互いに情報を共有し、人と人がつながっていくことが重要という。また、「マイバッグ、マイボトルの次はマイカトラリー」といい、何かを買う前に、一度は自分と相談、「これは本当に必要?」、そして、お店の人にAsk!「この商品は環境に配慮してる?」と提案する。

 理解されにくい環境問題。このフォーラムに参加した人たちは、それぞれに覚悟をもって発 言したのだろうか。今は批判されても.....

 Climate Youth Japanは、自分たちが思い描く未来像に、「日本が将来世代に問題を先送りせずに、1.5℃目標の達成可能な社会の実現に貢献している」ことや「 COPの日本誘致などにより、次世代の若者を含む多くの国民が『自分自身のこと』として気候変動問題に関心を持ち、「開かれた対話」の場に参加している」をあげる。

 人それぞれで意見があり、また異なったりするのだろう。こうした問題を「自分自身」のことにしてまえば、確かに意識が高すぎるということなのかもしれない。

 批判されても批判されても、それでも意見を発信する。それはそれでなかなかできないことなのかもしれない。 もしかしたら、その批判を覚悟した上で、頼りない、見せかけだらけの人たち、政府への要望だったのだろうか?

 

 

ノーベル化学賞を受賞した吉野彰氏は、「カーボンニュートラルの実現はSustainable社会の根幹 」と指摘したそうだ。

 

水は方円の器に従うのか

 小泉環境相は、「私はこれをやります!」と、「自宅の電気を再エネ100%に切り替えました」といい、「大臣車をEVにしました」と続け、「環境省はペットボトルの調達(購入)をやめます」という。

 そして、「一人当たり年間7.6t-CO2排出(2017年)」と指摘し、国民一人ひとりのアクションが不可欠という。

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(資料:内閣官房公式サイト 2050カーボンニュートラル・全国フォーラム「小泉環境大臣資料」

 

 梶山経産相は、「カーボンニュートラルの広がり」との資料を開示した。ライフサイクル全体像を示したものであろうか。

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(資料:内閣官房公式サイト 2050カーボンニュートラル・全国フォーラム「梶山経済産業資料」)

 

 そして、首相は、「.....若い世代や発信力のある方々から、それぞれ具体的な、意欲的な宣言を伺い、私としても、気候変動に立ち向かっていく決意というのを新たにすることができました」と述べ、次のように話をまとめる。

我が国における2050年カーボンニュートラルへの挑戦に当たっては、新たな地域の創造やライフスタイルの転換など、経済社会の変革を戦略的に進めていくこと、日本の新たな成長戦略として、経済と環境の好循環を生み出していくこと、世界最先端のイノベーションを起こし、カーボンニュートラルの実現に貢献していくこと、世代や分野を超えて、あらゆる主体が対話や発信を継続し、取組の裾野を広げていくこと、こうしたことが重要だと考えております。 (出所:首相官邸公式サイト)

www.kantei.go.jp

 「我が国における2050年カーボンニュートラルへの挑戦に当たっては、新たな地域の創造やライフスタイルの転換など、経済社会の変革を戦略的に進めていくこと」との言葉が印象に残る。

 水は方円の器に従うという。政府が願うようにライフスタイルの転換は進むのだろうか。 そのためには「器」がしっかりしていなければ、水は歪んだ形になるし、器に欠けがあれば、水が漏れ出してしまうかもしれない。

 

 

 一方で、「君子は器ならず」との言葉がある。君子はつまらぬ専門家ではないということを意味する。「器」はすべて特定の用途のために作られ、それ以外の用途には適さない。舟は水に浮かぶが山は登れない。

 「君子」とは、少し古ぼけた言葉かもしれないが、「紳士」という意味があるという。「君子は器ならず」、この言葉には道徳的価値が内包されているということなのだろう。

 

倫理的な選択とエシカルなライフスタイル

 ライフスタイルの転換はあくまでも個人の選択によるものだ。

「2050年カーボンニュートラルの実現に寄与し得る商材(製品・サービス)や施策を展開する企業に対して、それらの取組を加速させるようなインセンティブ設計や制度構築を要望する」と指摘するエシカル協会の末吉氏の言葉がキーになっていくのだろうか。

 こうした消費者視点に立った言葉たちが活かされることはあるのだろうか。

 人は世相に影響され、感化されていくものかもしれない。末吉氏が指摘する「エシカル」が定着していくといいのかもしれない。そのためには、世相を作り出す人たちが「エシカル」を身につけ発信していくべきなのだろう。

エシカルとは英語で、直訳すると「倫理的な」という意味です。

一般的には、「法的な縛りはないけれども、多くの人たちが正しいと思うことで、人間が本来持つ良心から発生した社会的な規範」であると言えます。

(引用:内閣官房公式サイト 2050カーボンニュートラル・全国フォーラム「末吉氏資料」)

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(資料:内閣官房公式サイト 2050カーボンニュートラル・全国フォーラム「末吉氏資料」
 

 しかし、末吉氏の言葉の裏を返せば、今までは既得権益を擁護し、そのための施策中心であったように見えますよと示唆しているのだろう。

「理屈」はあったのかもしれないが、「正しさ」はあったのか。

 そんなことの繰り返しを続いていたのが今まではなかろうか。それが不信につながり、「誤解」を招くことになったりするのだろう。

 「倫理的な」という言葉は、このフォーラムを開催した側の人たちにどこまで響いたであろうか。

 水は方円の器に従う

 倫理的な社会に近づいていけば、カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現にも近づいていくような気がする。

 

 「参考文書」

www.cas.go.jp