Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

2020年クリスマスのニュースを読んで

 

 クリスマスが過ぎ、2020年も暮れようとしている。今年を振り返ってみれば、あまり積極的に書きたくはないけれども、やはりコロナ渦のことは避けえないことなのだろう。このコロナ渦という時間を考えていると、どうしても「不条理」とか「無常」のような言葉に行きついてしまう。

 人間の良心と叡智をもってすれば、解決できないものなどないと信じていたが、このコロナ渦はそれだけでは解決されないのかもしれない、そう思うようになった。

 コロナ渦のような不条理の世界に抗うことはできない、いつかは飲み込まれてしまうのではないかと思うと不安がよぎってくる。これに立ち向かう唯一の策は、もしかしたら「不服従」を貫き通すしかないのではないかと思うようになる。

 

 

 その「不条理」という言葉が気になり、この言葉を辿っていくと、アルベール・カミュが語る言葉にいきついた。Wikipediaによれば、カミュの言う不条理とは、明晰な理性を保ったまま世界に対峙するときに現れる不合理性のことであり、そのような不条理な運命を目をそむけず見つめ続ける態度が「反抗」と呼ばれる。そして人間性を脅かすものに対する反抗の態度が人々の間で連帯を生むという。

 

 カミュの著作「ペスト」

 そのカミュの不条理文学の代表作として「ペスト」があるという。これもWikipediaによるが、中世ヨーロッパで人口の3割以上が死亡したペストを、「不条理」が人間を襲う代表例と考え、自らが生まれ育った北アフリカのフランス領を舞台にした小説だという。

物語は、フランスの植民地であるアルジェリアのオラン市をペストが襲い、苦境の中、団結する民衆たちを描き、無慈悲な運命と人間との関係性が問題提起される。医者、市民、よそ者、逃亡者と、登場人物たちはさまざまだが、全員が民衆を襲うペストの脅威に、助けあいながら立ち向かう。 (出所:Wikipedia

 カミュは、この小説でノーベル文学賞を受賞したというが、読んだことは無かった。

 

ペスト(新潮文庫)

ペスト(新潮文庫)

 

Wikipediaにはこんな記述もある。

ペスト対策による「実効ある公正さによって、市民の間に平等性が強化されそうなものであったのに、エゴイズムの正常な作用によって、逆に人々の心には不平等の感情がますます先鋭化される」に至る。

完全無欠な死の平等だけは残されるが、誰もこの平等は望まない。(出所:Wikipedia

 

 

記者会見

 昨日、首相の記者会見があった。感染拡大が続く新型コロナについて話し、「静かな年末年始をお過ごしいただきたい」と述べ協力を求めた。同席した尾身会長は、記者の質問に対し、「ここで私は強調させていただきたいのは、年末年始が終わりますと、社会経済活動が活発になりまして、感染がまた再び急増する可能性が極めて高いと思います。したがって、今、この時期に下方に転じさせないと、一度、年末年始が終わって、感染が急拡大すると、それを下方に修正されるにはそう簡単ではなくて、かなり時間がかかります。恐らく、週単位では無理だと思います」と話された。

  イギリスや南アフリカで変異株が確認され、国内でも見つかったとニュースが流れた。昨日の記者会見でも、この件に言及し質問に立った記者がいた。その質問に答える中で尾身会長は、変異株でどんなことが起きているかどうかは少しまだ判断をするのは時期尚早だと述べ、「ただ、その可能性については危機管理の要諦ですから、最悪のことも当然考える。そういうことも想定して、いろいろなシナリオは考えておくべきだ」と話する。

 

 

 この他にも様々な報道機関の記者が質問に立ち、コロナ以外のことでも質問する。報道機関にも顧客がいて、その顧客のニーズを満たすことやニュース性という商業主義に則り、記事が書かれ、それが様々なニュースとして流布されていく。そして、そのニュースによって世論が形成されていくのかもしれない。

 記事執筆者は賢人でもなければ、コロナの専門家でもなかろう。執筆の専門家かもしれないが、どのように昨夜の記者会見の内容を現実に沿って事実として伝えることができるのだろうか。

 

知識人

 コロナが流行し始めた頃、多くの知識人たちがインフルエンザの感染率と死亡率を持ち出し、新型コロナ畏るるに足りずと語り、それもニュースになり流布された。言論自由が保障されているのだから、それを止めることは出来ないのかもしれない。

 ただ時として、立ち止まり振り返りレビューする時間も必要なのかもしれない。

 昨夜の記者会見で尾身会長が話した「危機管理の要諦ですから、最悪のことも当然考える」との言葉が印象に残る。最悪を想定すれば、その次には必ず希望が訪れてくるはずだ。

 気候変動の問題も同じところに根っ子があるのかもしれない。そんなことも感じる。

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 誰か他者にプレゼントを贈ると幸せな気分になったりする。また、誰からプレゼントされ、その箱を開けるときにはワクワクする。幸せの根っこはこういうところにあるのかもしれない。毎日がクリスマスであったら、平穏な世の中になるのかもしれない。

 2021年は希望に満ちた良い年になることを切に願う、そんなことを感じる昨夜クリスマスのニュースだった。