Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

米国製品の調達拡大、米ウォルマートは地産地消を目指すのか。国内に動きはあるのか。

 

 世界最大の小売りのウォルマートが2030年までに、米国の製造業に3500億ドル投資し、米国の雇用の改善に取り組むという。  

 ウォルマートによれば、テキスタイルや小型の電化製品、 食品加工、 医薬品および医療用品、再販不可の商品(GNFR)に焦点を当てるという。そして、このプログラムによって、75万人以上の新しいアメリカ人の雇用をサポートすると推定しているという。

 これによって、お客様の近くで調達することが可能となり、推定1億mtのCO2の排出量が回避されることになるという。

 いわばアメリカ版地産地消ということであろうか。

corporate.walmart.com

 低価格、効率だけを求めたグローバル化がアップデートされ始めているのだろう。

 

 

 

 過去に何度かウォルマートはこうした地産地消プログラムにチャンレンジしてきたそうだ。

 古くは1985年の「Bring it Home to the USA」イニシアチブがそれだという。

 しかし、その後、1989年にベルリンの壁が崩壊、グローバル化が加速すようになる。中国が世界の工場になり、ありとあらゆるものが中国で作られるようになった。そのグローバル化の波にのり、「Everyday Low Price」という低価格戦略に移行したことによって輸入品の調達が拡大していく。 

シンクタンク経済政策研究所(EPI)によれば、米国の製造業界では1997年以降、9万1000件以上の工場が閉鎖され、500万人近くの雇用が失われた。2016年から2019年にかけて、およそ50万人の雇用が回復したが、それは減税と連邦政府の多額支出に促されて国内購買力が高まったためだ。とはいえ、数年前に取り戻された雇用は、コロナ危機で帳消しとなり、2020年には74万人以上が職を失っている。 (出所:Forbes) 

forbesjapan.com

 一気に進む生産シフトはいくつかの問題を引き起こす。日本では、食品への異物混入など問題になり、一部商品の国内生産回帰の動きが起こった。

 ウォルマートも2013年には、地元で調達される優れた新製品をお客様に提供したいと考えるようになり、今回と同様な取り組みを行ったという。

 

 

 コロナ渦で、日本でも一部商品の国内回帰が進んだといわれるが、そこには課題が多いとも言われる。

「強靱な経済構造を構築する観点から、必要とされる製品や部材、素材については、単なる価格競争だけで左右されない、安定的な供給体制を整備することが必要」(梶山弘志経済産業相)との認識から、政府は、緊急経済対策で生産拠点の国内回帰やASEAN諸国への多元化を打ち出し、4月30日に成立した2020年度補正予算に2486億円を盛り込んだ。

生産拠点を国内に回帰させる場合、中小企業は費用の3分の2、大企業にも2分の1を補助する。 (出所:ロイター)

jp.reuters.com

「日本への生産回帰についてはやりたくてもなかなかできないのが現状」と指摘する自動車部品メーカーの幹部の声をロイターが紹介する。

「最大の課題は人手不足と高賃金。特に人手不足は大きな問題」とその幹部はいう。

 コロナ渦で職を失う人が増えているのにと思えば、矛盾を感じる。

 サプライチェーンの多元化に国からの多額の補助金が交付される。国内回帰した企業はどれだけあるのだろうか。足元と先々では、課題の見え方が異なるのかもしれないが、ウォルマートのような動きがあっても良さそうではないのであろうか。

 

 

 「『新しく作って、売る』だけではないビジネスモデルが広がれば、大量に作ってセールで売るというファッション業界の仕組みが変えられるかもしれない」と語るのは、異色のファッションメーカ「10YC」の代表下田将太氏。

「知ってもらうことで、良くなるかもしれない」とそのビジネスモデルに期待しているという。

服を作るのにどれくらいコストがかかるのか。

知って納得した上でお金を払ってくれる消費者が増え、自分たちのような発注元が増えれば、工場は工賃交渉をするようなブランドを断っても生活ができるようになります。 (出所:ハフポスト)  

www.huffingtonpost.jp

 国内の高い工賃を嘆く企業とは異なり、その高さを逆手にとったビジネスなのだろうか。

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 ハフポストの記事は、無印良品の「ReMUJI」を紹介する。

 回収した古着のうち状態のよいものを仕分け、色を染め直すことで新しい商品として再生している。無印良品によれば、国内で染色しているという。

日本は古くから染め直したり、布を組み合わせたり、刺し子をして補強をしたりしながら最後まで布を大切に扱っていました。
私達はその先人の知恵を生かし、服を日本で染め直し、新たに息吹を加え、服を大事に着るということをみなさまとともに考えていきたいと思います。 (出所:無印良品

www.muji.com

 

 ファーストリテイリングのようなグローバル企業にはグローバル企業としての都合もあるのだろう。それはそれで最適地でサステナブルな生産を目指せばいいのかもしれない。

 リユースやアップサイクルについては、間違いなく「地産地消」が理想なのだろう。この先の循環型経済が、そうした活動から拡大していけばいいのかもしれない。

 

 

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