ジョンソン英首相が10日、イングランドでのロックダウンを17日から、さらに緩和すると発表したという。そのイングランドでは、新型コロナの死者がゼロになったそうだ。スコットランドや北アイルランドでも死者数がゼロになり、英国全体の死者数は10日、4人になったという。
BBCによれば、英国では今年1月に新型ウイルス警報が最大のレベル5となり、全国的なロックダウンに入った。また国民保健サービス(NHS)も崩壊の危機にあったという。
危機的状況から4か月余り、英国のワクチン接種率はおおよそ3割まで進み、それ以外の3分の2も1回目の接種が終わっているという。
米国では独立記念日の7月4日までに、国内成人の7割に最低1回の新型コロナウイルスワクチン接種を行い、1億6000万人のワクチン接種完了を目指す。
ロイターによれば、ワクチンの接種ペース加速に向け、配車サービスのウーバーやリフトと連携し、ワクチン接種に向かう人の乗車料金を支援するとホワイトハウスが発表したという。ウーバーは料金を負担すると明らかにし、リフトは全額ではないものの、片道15ドルを負担するそうだ。
いち早くワクチン接種を始めたイスラエルでは、接種を終えた人の割合は6割弱。当初ほど接種が進まなくなり、頭打ちになったように見える。
マーケティングのイノベーター理論では、イノベーションを受け入れない人が16%あまり存在し、懐疑派がおおよそ36%存在するといわれる。それを参考にして考えれば、接種率50%を超えるとその伸びが鈍化して当然なのかもしれない。米国であの手この手、お金を払ってまで、何とか接種率を向上させようと試みるのもわかる気がする。
WHO世界保健機関の専門家は、ワクチンによって集団免疫を達成する方法として、60~70%の接種率を挙げているそうだ。
こうした欧米の状況を知れば知るほど、苛立ちを感じたりしそうだ。
共同通信によれば、河野太郎行政改革担当相が昨夜12日夜のテレビ番組で、ワクチンの高齢者接種予約に殺到している事態について、「効率性より住民の平等性を重んじる自治体が多かった。これは完全に僕の失敗だ」と陳謝したという。
一方、全国の自治体の85.6%が7月末までに接種を終える見込みになったと確認できたという。首相の発言が鶴の一声になったのだろうか。尻に火がつけば、否応なしに動かざるを得ない。それで火事場の大力が発揮されるかもしれない。もしかしたら今まではお尻の火に気づいていなかったのかもしれない。政府が掲げた7月末までに65歳以上の高齢者向け接種を終えるという目標も目標なんだからと等閑視していたのだろうか。
そろそろ産業界も協力できるところでは積極的に協力しなければならないときが来ているのではなかろうか。いつまでも医療従事者や自治体だけに負担を求めるべきではなかろう。
出口に近づいている国々があるようだ。置いてけぼりになってはならないはずだ。
「参考文書」