地球温暖化、その影響を研究する専門家が増えているのでしょうか。
AFPによると、英科学誌ネイチャー・クライメート・チェンジに、今後数十年で、さらに多くの致命的な熱波を目の当たりにする可能性を示唆する論文が掲載されたといいます。
それによると、「われわれは今、非常に急速な温暖化の時期にあり、従来の記録を大幅に塗り替えるような高温に備える必要がある」といいます。
あまり穏やかな話ではありませんが、こうした研究成果があるから、なおさら気候変動対策、脱炭素を加速させることが求められるのでしょう。
「2035年以降は全ての新車がゼロエミッション車となり、ハイブリッド車を含めて内燃機関搭載車の生産を実質禁止とする」、先に欧州委員会が発表した環境対策政策パッケージ「Fit for 55」が気になっています。
JETROによれば、欧州委は、EU全体の温室効果ガス(GHG)排出量の約20%を占める運輸部門は「排出量が増加し続けている唯一の部門」であり、乗用車・バンのCO2排出削減基準の厳格化が運輸部門全体からの排出削減の「主要な原動力」になると説明しているそうです。
一歩踏み込んだ指針との印象が拭えません。国内自動車産業にとっても無視し得ない憂慮すべき事項なのでしょうか。HVハイブリッド車の命運が尽きることになるのでしょうか。
トヨタの最新の電動化目標は、2030年に欧州で販売する新車は全て電動車とするといいます。ただ、EVとFCV燃料電池車の割合は4割に過ぎず、その半分以上はHVハイブリット車が占めるといいます。
JIJI.COMによれば、「(HVを含めたガソリン車販売禁止が)正式決定されれば、EV戦略の変更は避けられないだろう」と、自動車大手関係者は述べたといいます。
独フォルクスワーゲンなど欧州メーカーはEV化に積極的で、今回の指針について「欧州勢に有利な仕組みをつくろうとしている」と捉える関係者も少なくないといいます。
一方、JETROによれば、欧州自動車工業会(ACEA)は、2030年までにCO2を2021年比で55%削減という新目標はメーカーにとっては「非常に厳しい」とし、また、特に充電ステーションなどが十分に整備されていない現段階で「内燃機関」を禁止するのは「合理的な方法ではない」と反発したといいます。
また、フランス政府の高官が、フランスの主要メーカーは2035年までに新車のゼロエミッション化という目標に向けて「準備ができている」と述べたが、「Fit for 55」発表で「全てが決まったのではない」と、ハイブリッド車の扱いの見直しなど、今後多くの議論がなされるだろうと述べたといいます。
米EVメーカーでもあるテスラがドイツに工場を建設しているといいますが、環境保護団体の反対や当局による承認手続きの遅れなどで計画通りには進捗していないようです。理念に近づきそうことでさえ、また違う力が作用したりするのでしょうか。
クルマは脱炭素問題を身近に考える存在なのかもしれません。この先、誰が脱炭素のゲームチェンジャーになるのでしょうか。
この問題にトヨタは真摯に取り組んでいるようです。しかし、トヨタが導き出そうとする答えでさえ正解になるかはわかりません。現実的な解のようにも感じますが、それでも地球温暖化が進むということは変わらないのでしょう。
大きな価値観の転換の予兆と古きよき時代へのノスタルジア、まだそれらが拮抗、混在しているのでしょう。