Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

【進み始める脱炭素】欧州も進めるバッテリーのリサイクル、国内メーカの対応は?

 

 電気で駆動する製品には蓄電池を内蔵させた方がよいのではないかと考えたのは、もうかなり前のこと。これほどリチウムイオン電池が注目される前のことだった。日常使いでは電源ケーブルやACアダプタが不要となって、便利ではないかと単純な発想だった。その後になって、激甚災害が多発するようになって、防災用具としても活用できると確信したが、如何にせん、その価格が高すぎてなかなかアイデアを実現できなかった。

 今注目が集まる分散自立電源でも欠かすことのできない要素になっている。

 

  非鉄、希少金属の価格が高騰しているという。これではますますリチウムイオン電池など蓄電池の価格が高騰するばかりである。鉱山採掘には人権問題もからみ複雑化している。化学工業日報によれば、電池各社は希少金属の依存度を下げる開発に取り組んだり、業界をあげて政府へ資源確保に向けた政策提言を行う組織を形成するなどして、広がる暗雲を取り除くことに力を注いでいるという。

 電池メーカではないがエアコンのダイキンは銅の使用を現在の年9万トンから半減させるそうだ。日本経済新聞によれば、収益圧迫リスクの高まりを受けて他社に先行してアルミニウムに切り替えるという。価格高騰を契機に代替素材を探る技術開発競争が活発になるという。

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 EV電気自動車の普及には蓄電池は欠かせない。メーカ各社はその確保に躍起になり、一部では内製化の動きもある。一方、電池メーカでは、その需要に応えようとするのか、代替技術の開発が進んでいるようだ。

 日経XTECHによれば、世界最大の電池メーカーである中国CATL(Contemporary Amperex Technology Co Ltd、寧徳時代新能源科技)が、ナトリウムイオン電池(NIB)の商用化を開始すると発表したそうだ。CATLは米テスラにも電池を供給するメーカだ。

xtech.nikkei.com

 リチウム資源が豪州や南米に偏在しているの対し、ナトリウムは無尽蔵な資源といわれる。このため、コストの下げしろという点では、ナトリウムイオン電池はリチウムイオン電池より有利のようだ。エネルギー密度がEVほど要求されず、コスト重視である定置型に向いているともいわれる。

 

 一方、国内では住友金属鉱山が、使用済みのリチウムイオン電池からニッケル、コバルトを回収し高純度化することにより、LIB 用正極材の原料として再利用できることを実証したという。これに加え、独自のリチウム回収技術により、使用済みの二次電池から銅・ニッケル・コバルト・リチウムを再資源化する能力を備えた新リサイクルプロセスを確立したそうだ。

www.smm.co.jp

 市場価格を下回ってリサイクルすることはできるのだろうか。資源価格が高騰する今ならそのメリットを活かすことはできないのだろうか。

 欧州では、循環型経済に向けたバッテリー規制の改正案がEU委員会で承認されたという。それには、リサイクル材料の使用量や、ライフサイクル全体にわたるカーボンフットプリント 二酸化炭素の排出量を開示・申告を義務付けるという。

www.jetro.go.jp

 こうした規制に国内メーカは「技術を丸裸にされかねい」と危惧しているという。

 ノーベル賞を受賞した吉野氏の尽力があってリチウムイオン電池の開発が進み、ソニーが世界で最初に商品化した。しかし、今では中国メーカのCATLやBYDなどが市場を席捲し、新商品を投入しようとしている。

 欧州の規制におびえるのではなく、協力して、この業界をリードすべきではないのだろうか。

 欧州では2017年に「欧州バッテリー同盟(EBA)」が立ち上り、域内のバッテリー産業への投資誘導を図ってきたという。JETROによれば、「わずか3年前、EUのバッテリー産業は世界的にはほとんど存在感がなかったが、EBAの活動を通じて、欧州はバッテリー投資の世界的なホットスポットとして注目されるようになった。われわれは2025年までに、少なくとも毎年600万台の電気自動車にバッテリーを供給できる体制を築く」と、EBAはその成果を強調しているという。

 日本からは欧州のこの活動に東海カーボンが参加しているそうだ。

newswitch.jp

 同じ轍を踏んではならないはずだ。テスラが北海道に建設する蓄電池発電所の電池はどのメーカが作るのだろうか。CATL製が濃厚との見方がされているようだ。それでいいのだろうか。