百貨店の丸井という表現はもう古いのでしょうか。報道される丸井のニュースでは、そんなことを感じます。PB プライベートブランド事業は2023年3月期までに撤退し、2026年3月期までには、売り場面積の約3割を「売らないテナント」に転換するといいます。
かつては消費の主役だった都心の大型商業施設は苦境にある。百貨店の市場規模はコロナ禍直前の19年にはピークの6割に落ち込んだ。
主力テナントのアパレルは大量生産・大量消費が時代に合わず、若者は流行を素早く反映した商品を展開するネット企業に流れている。 (出所:日本経済新聞)
その丸井グループはESG投資の常連、優等生ともいっていいのではないでしょうか。
GPIF 年金積立金管理運用独立行政法人が選定している4つの ESG 指数である「FTSE Blossom Japan Index」、「MSCI ジャパンESG セレクト・リーダーズ指数」、「MSCI 日本株女性活躍指数(WIN)」、「S&P/JPX カーボン・エフィシェント指数」の構成銘柄に採用されているといいます。この他にも『FTSE4Good Index Series』 の構成銘柄にも、5年連続で採用されているそうです。
日本経済新聞によると、丸井は有力なテナントを確保するため、今後5年間でスタートアップに200億円出資するそうです。
現時点では化粧品や飲食品通販など28社に出資し、うち12社がテナント出店している。これを出資70社、出店34社に引き上げる。丸井が店員を出して運営を受託するケースもあり、そのための人員も約60人から300人に増やす。 (出所:日本経済新聞)
丸井は 11月30日にピッチを開催し、スタートアップとの出会いの場を設けるといいます。「丸井グループのアセットとノウハウを活用し、すべての人が「しあわせ」を感じられるインクルーシブで豊かな世界を共に創る協業ビジネスアイデア」をテーマに、事業アイデアを募集するそうです。
具体的には、「ビジネスを通じて脱炭素やサーキュラエコノミーを実現するアイデア」、「一人ひとりの自己実現や「好き」を応援するアイデア」、「インクルーシブな金融を提供するアイデア」、「既存事業の枠を超えた新しい事業・サービスの創出につながるアイデア」などをあげています。
こうした丸井の取り組みは、従来の経済構造からの脱却につながっていくのでしょうか。大量生産を助長していた従来の百貨店モデルからD2C事業支援などにシフトすれば、その分だけムダが減ることになるのかもしれません。しかし、その一方で、その分、物流に負担をかけることになりそうです。そうしたことも包括した新たなビジネスが立ち上がって欲しいものです。
マルイ池袋が8月29日、閉店したといいます。1952年に開業し、44年にわたる歴史に幕を閉じたといいます。入居ビルの建物の老朽化などが閉店の理由だといいます。
営業終了はコロナ禍よりも前から計画していたそうです。少しさみしい気もします。コロナ渦と相まって、街の風景や人の流れに変化が起きるのかもしれない、そんなことを感じます。それもまた自然の摂理なのかもしれません。
丸井の言う「すべての人が「しあわせ」を感じられるインクルーシブで豊かな世界」に近づいていくことを願うばかりです。