国の「スーパーシティ」構想が頓挫しかねい。
スーパーシティの選定に関する国の専門調査会が、応募した31の自治体グループ全てに再提案を求めることを決めたという。
「抜本的な規制緩和の提案を求める国と、地域課題の解決を重視する自治体とのすれ違いが「まるごと未来都市」の実現を遠ざけつつある」と日経ビジネスはいう。
スーパーシティ構想には期待があった。形式的に陥りがちだった前政権のサステナビリティ施策からすれば、効率性の追求がサステナビリティへの近道のように感じていた。それを地方から推し進めることには共感はできた。しかし、政権が変わると、前政権の経済政策を継承するといったものの、いくつかの見直しがあった。
カーボンニュートラル政策やデジタル庁構想は的を得ていたし、現実的だった。
困難な道のりに入り込んだ感があるスーパーシティ構想だが、都市のデジタルトランスフォーメーション(DX)の機運を全国的に盛り上げたことは事実だ。高齢化や人口減で地方都市の活力が徐々に失われていることは論を待たない。 (出所:日経ビジネス)
地方発のイノベーションもいいが、中央官庁のデジタル化がどこより遅れていたのではスーパーシティもあまり説得力がないのかもしれない。絵空事になりかねない未来の地方都市より、「ゼロカーボンシティ」の方が現実的だったのかもしれない。気候危機を実感する災害が頻発するようになり、その適応と緩和の重要性を肌で感じるようになったはずだ。目指すべきものを間違えていただけなのかもしれない。時が経てば過去の構想も陳腐なものになるということだろうか。
イノベーションとスタートアップは親和性が高いのかもしれない。尖ったアイデアに投資すれば、未来が近づくという常識があったのだろうか。効率は向上し、便利にはなる。地球環境も改善されていくことも期待されたが、こちらはあまり効果はないようだ。逆に、便利になり過ぎたことで浪費が生まれたのかもしれない。
スタートアップの成長を支えるVC ベンチャーキャピタルとは一体何であろうかと考えるときがある。ESGやSDGsが世界標準になっているのに、時として、それから逸脱するものを生み出すのがVCと感じることもある。言い過ぎなのかもしれないが。
AMPによると、ESGやSGDs関連のインパクトを投資条件とするVCが増えているという。ただ、まだユニバーサルな評価基準はなく、VC各社それぞれの評価軸を模索中のようだという。
ベルギーを中心に活動するVC、Astanorでは、スタートアップ創業者向けの長いESG質問表を作成。資金調達狙う創業者にはその質問表の質問90%以上を回答することが求められる。このほか、ベルリンを拠点とするPlanet A Venturesではライフサイクルアセスメント(LCA)を実施。これにより、環境インパクトを算出し、ビジネスとして規模が大きくなる可能性があっても環境に良いインパクトを与えられないことが予測される場合は、投資を行わない判断を下すという。 (出所:AMP)
もしかして、VCが「サスティナビリティ」から一番遠いところに存在していたということなのだろうか。
TechCrunchによれば、英国のテックアクセラレーターFounders Factory(ファウンダーズファクトリー)は、新たなプログラムの立ち上げ、欧州の同業と力を合わせて、気候テックのスタートアップへ投資しているという。
プログラムは世界の温室効果ガス排出を削減し、循環型経済への移行を加速させ、持続可能な住宅供給や製造のソリューションを生み出し、また気候に優しいモビリティ、食糧生産、二酸化炭素・メタン回収・貯留に対応できるスタートアップの起業家に投資する。(出所:TechCrunch)
国内のVCはどうなのだろうか。元々ユニコーンが生まれにくい土壌であるようだが、気候テック、環境テックが大きく成長できる後押しをするようになれば、良い変化が生まれるのかもしれない。
政権は変わるが、環境政策を後退させること無く進めてもらいたいものだ。必要に応じて、その前からあった施策の見直しがあっても良さそうだ。たとえばスーパーシティ構想もその一つなのだろう。全面的にやめなくても、見直しがあって然るべきなのではなかろうか。
欧州のように、環境や気候系のテックやVCが育つ土壌になればいいのかもしれない。