パナソニックが環境を経営の中心に据える姿勢を鮮明にしたという。世界最大のテクノロジー見本市「CES」の記者会見で、パナソニックの楠見社長が公開したビデオメッセージで、「パナソニックグリーンインパクト」を発表し、「環境分野で大きな責任を果たす必要がある」と言及したそうだ。
パナソニック楠見社長「環境分野で大きな責任を果たす」: 日本経済新聞
事業活動だけでなく、自社商品の利用により排出される二酸化炭素(CO2)の削減も加速する考えを示したという。
背景にあるのは、商品ライフサイクル全体における環境負荷の大きさだ。
工場など事業活動に伴うCO2排出量は年220万トン程度だが、調達や顧客による家電など商品利用も含めた総排出量は1億1000万トンに及ぶ。
パナソニックによると世界の電力消費による排出量の1%相当を占め、国に換算すると世界37位の排出量という。(出所:日本経済新聞)
パナソニックグリーンインパクト
「パナソニックグリーンインパクト」、 パナソニックの事業活動だけではなく、パナソニック製品を通じて排出されるCO2というインパクト(IMPACT)に対する責務と、 それに対応し、CO2削減に貢献していく、 より大きなポジティブインパクト(IMPACT)を与えていきたいというパナソニックの思いを込めているという。
2030年までには、 全事業会社のCO2排出量を実質ゼロにし、 2050年に向けては、 顧客が使う商品からのCO2排出量を減らし、 さらには、 B2B/Gの顧客へは省エネソリューションやクリーンエネルギー技術を提供して、 社会のCO2を減らす活動を進めるという。
貢献分野として、環境をメインテーマにして、 くらし、 街、 工場、 モビリティなどを挙げ、CESにおいて、これらをオンライン展示したそうだ。
CES 2022パナソニックの主な出展内容 | プレスリリース | Panasonic Newsroom Japan
パナソニックによれば、「くらし・家」では、冷暖房の効率化や自然の力を活用しながらCO2を削減する、熱交換換気扇や真空断熱ガラス、ヒートポンプ式温水暖房機などの技術を紹介する。また、「街」においては、ビルや街全体のエネルギー効率を高めて、 総合的にCO2排出を削減する、ビル・オートメーションシステムやRE100化ソリューションなどを出品する。
この他にも「モビリティ」や「スマートモビリティ」などを展示し、動力の電動化、 電力の効率的な利用によるCO2排出量削減への貢献をアピールする。
家電系では、コンパクトオーブンやAlexa対応オーブンレンジを紹介し、これらを含めて「ライフスタイルテクノロジー」とし、ヘッドホンやゲーミングスピーカー、ミラーレス一眼カメラなどを展示した。
「Immersive Experiences」分野では、VRグラスなどメタバース関連製品も展示したようだ。さらに「Healthy Environments」、「Food Tech Solutions」などの展示もあるという。
いかにもパナソニックらしい総花的な展示のようだ。
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冒頭の楠見社長の環境メッセージが薄らぐようなことはないのだろうか。 コングロマリット・ディスカウントではないが、焦点がボケるように感じる。伝え方、見せ方を工夫すれば、パナソニックが何をしたいのかがより鮮明になるのではなかろうか。
くらしの身近なところで、こんな工夫でカーボンニュートラルに貢献できるということが一目瞭然となればいいのかもしれない。