「都市鉱山」、大量に廃棄される家電製品などの中に存在する有用な資源を鉱山に見立て、そう呼ぶ。そこから資源を再生し、有効活用しようというリサイクルの一環で、有益な地上資源の一つでもあるという。
昨年の東京オリパラのメダル5000個あまりはこの都市鉱山から集められたリサイクル金属が活用された。組織委員会が「都市鉱山からつくる! みんなのメダルプロジェクト」を立ち上げ、行政や企業など関係者が回収に参加し、資源化への機運を高めたという。
その事例にならってのことか、伊藤忠商事がファミリーマートの一部店舗で、使わなくなったスマートフォンや携帯電話を引取る実証を始めた。しかし、開始早々、回収休止になったようだ。
ファミリーマートで使わなくなったスマホなど端末を渡すと、1台につき1000円相当のクーポン券がもらえたという。
“ファミマで不要スマホをクーポンに”事業、急きょ中止に 「想定を超えて数万台が持ち込まれた」 - ITmedia NEWS
「環境に優しくお得になる」取り組みが始まりました。
伊藤忠商事によると、回収した携帯端末は検品され、状態の良い物は中古販売したり、分解して希少価値の高い“レアメタル”を取り出したりするといいます。こうした資源は、「都市鉱山」と呼ばれ“レアメタル”の新たな供給源として注目されています。(出所:日テレNEWS)
こうした報道の影響もあったのだろうか。端末を持ち込んだ人が当初の想定よりもはるかに多く、人的オペレーションに負荷がかかったためという。再開のめどは未定だそうだ。
家庭で使用されていない携帯電話端末(トレジャー端末)の回収事業の実証開始について|プレスリリース|伊藤忠商事株式会社
伊藤忠商事によれば、データ移行の手間や、個人情報流出の不安等の影響で、こうした使わなくなった端末(トレジャー端末)の数量は年々増加し、昨年時点で2.7億台あると推定されているという。そして、その価値は約3兆円にも上るそうだ。
トレジャー端末の活用は、中古市場の活性化に繋がることに加え、中古端末利用が約42%のGHG削減効果を有することや、産出量の少ない希少金属が多く含まれていることから、SDGsへ貢献する取り組みとしても期待されております。(出所:伊藤忠商事)
こうした小型家電の再資源化を促す「小型家電リサイクル法」が2013年に施行され、自治体をはじめ、認定事業者、家電量販店などによる回収の取り組みが広がった。無償回収があったり、一部では有償で一括回収などを始める事業者もあった。
ただこうしたことを利用するにはやや不安はある。データが不正に利用されることはないだろうかと。
この実験のこれまでの経過を伊藤忠商事はどのように分析するのだろうか。潜在ニーズがあると確認するのだろうか。もしそうであるなら、プロジェクトを再開させてもいいのではなかろうか。ただ買い取り価格を再設定する必要があるのかもしれないが。
アップルもすでに古い機種を店頭で下取りし、新規購入時に値引きし、回収した端末を再利用したり、リサイクルする仕組みを立ち上げている。
それに加えて、コンビニ店頭での回収があれば、さらに回収台数の増加にもつながっていくのかもしれない。天然資源の採掘ばかりでなく、ぜひ都市鉱山の開発に力を注いでもらいたいものだ。
「参考文書」
“使わない携帯”ファミマ一部店舗で回収 1000円相当のクーポンに(日テレNEWS) - Yahoo!ニュース