Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

深刻な「円」の実力低下、このままで日本は「持続可能な社会」を実現できるのだろうか

 

 円の真の実力が低下し続けているという。国際決済銀行(BIS)が発表した1月の実質実効為替レート(2010年=100)は67.55と1972年以来の低水準となったそうだ。

円の実力50年ぶり低さ 実質実効値、円安進み購買力低下: 日本経済新聞

 日本経済新聞によれば、実質実効レートの低下は円安と物価低迷が相まって円の対外的な購買力が下がっていることを示すという。この数値が高いほど対外的な購買力があり、海外製品を割安に購入できることを示しているという。

円の実質実効レートは円相場が初めて1ドル=70円台に突入した95年の150台が最高で、当時に比べ半分以下に低下した。(出所:日本経済新聞

 どのランキングにおいても日本の低下が指摘されることばかり多く、あまり気持ちいい話ではない。

 

 

「円が実質的に歴史的安値となり、日本人の購買力が著しく低下している」とロイターもいい、日銀政策の問題を指摘する。

コラム:官製相場で冷え込む日本経済、期待と違う円・国債・株の現実=佐々木融氏 | ロイター

 こちらもあまりいい気持ちのしない話だ。国は豊かであったほうがいいし、競争力はあったほうがいい。

募る将来不安

 地球温暖化を思えば、カーボンニュートラルは避けて通れない。それに失敗にすれば、暗澹たる未来となってしまう。将来世代が希望を持てないのも、理解できない訳ではないのに、国を代表する通貨までが、競争力に乏しく、輸入するにも他の国より高い値で買わなければならないようでは、不安は募るばかりだ。

 

 

再エネの街にも募る不安

 秋田県能代市三種町男鹿市沖」、「由利本荘市沖」、 国が入札公募した風力発電の促進区域だ。

 この区域での事業者選定で、三菱商事を中核とする共同事業体が独占した。選定理由はその低価格ゆえのことだった。しかし、それは地元の漁業者などの不安を募らせたという。

秋田洋上風力、低い売電価格が波紋 還元減る? 漁業者ら不安視 | 河北新報オンラインニュース / ONLINE NEWS

「売電価格が下がる中、見込んでいる収入が入らなくなるのでは.....」

 この促進区域では、地域や漁業との共存策として、基金を設け、選定事業者は20年間、売電収入見込み額の0.5%を基金に拠出することになっているという。

地元には売電価格が下がれば収入が減り、基金拠出額も減るのではとの懸念がある。(出所:河北新報

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持続可能な社会は実現するのだろうか

 地政学リスクの影響もあるのだろう。原油高の状況が続き、変化しそうにない。原油高が続けば、エネルギー価格も高止まりし、家計への負担は増すばかりである。

 秋田県沖の風力発電が本格的稼働するのはまだだいぶ先のことになる。しかし、こうした努力で再生可能エネルギーの低価格に努めなければ、極端な円高にでもならない限り、いつまでたってもエネルギー価格は高いままになってしまう。それでは自動車や半導体製造装置のような製造業の競争力も失いかねない。そんなことになれば、さらに国力が落ちていくのかもしれない。

 河北新報によれば、三菱商事は落札した2海域の地元に対し、水産関連のグループ企業を通じて漁業の販路拡大などに取り組むと提案し、「基金のみに頼らず地域との共存共栄策を示していく」と理解を求めたという。

 ここ最近、商社の活動がSDGsに沿うようになってきていないだろうか。

 口先ばかりでなく、確実に実現して欲しい。その先に持続可能な社会もあるのではなかろうか。やることをやっていけば、日本の国力がもうこれ以上も低下することもないのだろう。それが、サスティナブルな社会ということなのだろう。