DX デジタルトランスフォーメーションによる企業の変革が求められるようになっているようです。政府の肝入りの政策といいます。流れに乗り遅れることの弊害を恐れて、乗り遅れまいと活発化しているようです。
メールを開けば、DX関連の講演会の案内や書籍の紹介などの情報ばかりです。そんな中にもベストプラクティスはあったりするのかもしれません。ただDXが浸透したとは言い難く、その導入は遅々と進まずという状況なのでしょうか。それとも着手はしたが、まだ結果に至っていないということなのでしょうか。
トヨタ自動車の豊田章男社長が、岡山市内にある小さな豆腐工場で進めた「改善」の事例をForbesが紹介しています。
豆腐屋さんで見たトヨタ社長の「からくり整理術」 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)
その豆腐工場は、70代の夫婦が経営しており、パートの従業員たちも全員高齢、しかし、豆腐作りは重労働、作業をする高齢の従業員は腱鞘炎に悩まされ、経営者の奥さんの腕はアザだらけだったといいます。
豊田章男はひと通り工場内を見回すと、改善が必要なポイントを指摘した。
まずは、ホワイトボード。現場では、単位も期間もバラバラの注文書がホワイトボードに貼ってある。ご主人にしかわからない未整理のオーダーであるため、「属人的な」処理が行われている。豊田章男はそれを統一した受発注用紙にし、工場の皆が「今日やるべき仕事内容」をシンプルにわかりやすくした。(出所:Forbes)
また、豊田社長は、働く人の負荷を緩和するための「からくり」をつくったそうです。「からくり」とは、シンプルな省力化装置で、作業動作を軽減し効率的に動けるようにする。そればかりでなく、台車も通らない狭い工場の通路での運搬を見直し、重いトレイを両手で抱えて運んでいたものを、専用の台車を製作して、それを使うことで作業効率を改善していったといいます。市販品がなければ、自分たちで簡単なものを製作すればいいといいます。。
豊田社長もまた「TPS トヨタ生産方式」を学び、それを身につけているといいます。
TPSは「ムダを徹底的になくして、よいものを安く、タイムリーにお客様にお届けするトヨタの経営哲学」。
豊田社長は、豆腐屋の生産工程の手順を理解したうえで、基本に従って「カイゼン」を進めただけのことなのでしょう。
自分の担当業務だけを考えるのではなく、同僚たちをいかに楽にさせるかを考えて、「相手の視点」に立って仕事をする。その仕事も同僚を楽にさせて仕事の流れを生み出すだけでなく、顧客が喜ぶことを考えてモノをつくる。(出所:Forbes)
畑違いで、作るものが違っても、仕事の根幹は同じで、トヨタの改善手法「TPS」で、どんな現場での生産性の改善を進めることは出来るということなのでしょう。それほど身近で有用なものといっていいのかもしれません。
豆腐屋の老夫婦も大きな目標をもって、売上を伸ばそうとか、利益をもっと増やそうとの意識を持てば、豊田社長が進めた「カイゼン」はもっと違ったものになったのかもしれません。受発注システムを整え、製造工程の省人化を進め、生産性を改善し、生産能力を最大化していってもいいのかもしれません。現場の改善が進めば、それをシステム化することでさらに効率化することもできるのです。それはデジタルと非常に親和性が高いのかもしれません。
少ない投資で成果を最大化することが「カイゼン」の真骨頂であるともいえます。また、「改善は無限」といいます。こうしたことを続けていけば、いつしかDX デジタルトランスフォーメーションが定着していくのかもしれません。SDGs、サステナブルなども同様なことが言えるのでしょう。