Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

【脱炭素に食の安全保障】誰もが参加できる農業、そのために活用されるAI人工知能

 

 年々激化する異常気象を経験しては、気候変動を憂慮します。気候変動の緩和と適応が求められ、どの課題も重要性が増すばかりで、それぞれに迅速な対応が必要になっているのでしょう。

 これに昨今の国際情勢を加味すれば、農林水産業などの重要性がますます高まっているように感じます。

 食の安全保障が求められ、その解決策は脱炭素に影響し、効率性改善にはデジタルの活用が避け得なくなっています。

 

 

 活動を自動化し、より効率的、効果的に成果を生み出すことができるAI人工知能が、多くの産業の仕組みを変えつつあるといいます。そのひとつに農業があると、マッキンゼーが公表した分析レポートにそうあるといいます。

AIが代わりにできる作業はあっても、職業としての農家に取って代わることはできない

そしてAIにできる作業は、往々にして農家を苦難が多い職業にしていた要因でもある。(出所:ZDNet Japan)

人工知能がすべてを変えるかもしれない5つの業界 - ZDNet Japan

「AIには農業を最適化できる可能性がある」と記事は指摘しています。精密農業が可能になったり、一部の機能を自動化できたりするといいます。

「精密農業」とは、農家の細かいニーズに合わせて作物に与える農薬や肥料を調整する農業のことを指すそうです。

(写真:カゴメ

 電機大手のNEC 日本電気が、カゴメとAIを活用して加工用トマトの営農支援を行う合弁会社「ディクサス アグリカルチュラル テクノロジー」をポルトガルに設立しました。

DXソリューションで、世界の農業に革新を

気候変動に適応するサステナブル農業、Low input high output、生産効率の向上を実現する新しい農業の確立を目指します。(出所:NEC

カゴメとNEC、AIを活用して加工用トマトの営農支援を行う合弁会社をポルトガルに設立 (2022年6月15日): プレスリリース | NEC

 環境に優しく収益性の高い営農を推進し、世界各国での持続可能な農業に貢献するといいます。

 熟練の営農技術をAIに取り込んで作った最適なソリューションをそれぞれの畑にお届けすることで、誰もが、正確かつ効率的に農業を行える時代を目指すそうです。

作物の生育状況や土壌水分量など圃場状態を俯瞰できる(画像:NEC

 NECによると、AIと灌漑設備等との連携により営農作業をさらに効率化し、生産者の負荷を軽減し、さらに、カゴメの農業研究成果から作物生育に重要となる土づくりから収穫までの栽培手法を改善、環境に優しく収益性の高い営農支援をサービスとして提供するといいます。

 

 

 欧米が農業分野での脱炭素に動き始めているそうです。EU 欧州連合は新たに農業を温暖化ガスの排出削減の対象に加え、年内に炭素貯留農業(カーボンファーミング)の法制化に入るといいます。また米国は8月に成立した歳出・歳入法(インフレ抑制法)に農業の気候変動対策を盛り込んでいるそうです。

脱炭素、主戦場は「農業」に EUは炭素貯留を法制化へ: 日本経済新聞

 農水省は「みどりの食料システム戦略」で、有機農業やスマート農業を推進するとしています。完成された戦略ということはないのかもしれませんが、何も欧米に追従することだけがすべてはないのでしょう。

 日本らしく、日本の課題に根差した戦略であるべきはずです。

 もちろん、そこでは脱炭素や食糧自給率の向上などを考慮する必要があるのでしょう。それに加え、農業がより魅力的な産業になり、就業人口の増加につなげるべきなのでしょう。その解決の一助にデジタルやAIが役立つのかもしれません。

 主役は農業に携わる人々であること忘れてはならないのでしょう。

 

「参考文書」

NECと共同で最先端トマト栽培技術の開発に着手~海外における加工用トマト栽培にビッグデータを活用し、投入資源の最適化と収穫量の最大化を目指す~|カゴメ株式会社