Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

企業の脱炭素、業界団体が準備を進めるGHG排出量算定ツール

 

 政治が混乱し、政府、行政への疑念が生じます。政策のすべてが間違いということはないのでしょうけれども、信頼が揺らぎます。国民の声を蔑ろしていて、顕在化する危機に対応できるのかと不安を感じます。

 今冬の電力需給の問題、今後のエネルギー価格や食糧価格、それに加え、気候変動の問題。

 危険な台風といわれる14号が列島を縦断中です。

 政府に問題解決能力がないのであれば、脱炭素などに関しては、企業に解決を求めることが不可避ということなのでしょうか。

 

 

 日立物流が2030年度までに、国内約1000台の営業車両(乗用車)をEV電気自動車やFCV燃料電池車に入れ替えるそうです。脱炭素車両の導入を加速し、30年度のグループ全体の二酸化炭素排出量を13年度比で半減する目標達成を推進していくといいます。

日立物流が全営業車をEV・FCVに、1000台転換への道筋|ニュースイッチ by 日刊工業新聞社

 営業車に加え、全世界に約6000台あるフォークリフトのエンジンや鉛電池駆動をリチウムイオン電池へと順次交換を進めていくといいます。また中大型のトラックにおいても、EV化やFCV化を推進していくそうです。

 日立物流は、30年度のCO2排出量を6万5000トンに設定、13年度比で半減させ、50年度には実質ゼロにする目標を掲げているそうです。今年22年度から年平均でCO2排出量の2.94%減に取り組んでいるといいます。

 JEITA 電子情報技術産業協会が、サプライチェーンのGHG排出量見える化に関するルール作りを進めています。

「Green x Digitalコンソーシアム」を立ち上げ、その中に、「見える化WG」「バーチャルPPA早期実現対応WG」「DC脱炭素化WG」が設置されているそうです。

CO2見える化のルールづくりはどこまで進んだか、JEITA担当者が語る現状と課題:製造業×脱炭素 インタビュー(1/3 ページ) - MONOist

見える化WG」にはメンバー企業102社が参加し、サプライチェーン全体でのCO2排出量見える化に関する議論を進め、その成果として2022年5月に、「一次レポート」を公開したそうです。

 MONOistによれば、この9月から「実証フェーズ」に移行し、仕組みや技術の社会実装に向けた検証を行う予定になっているといいます。

 

 

 現在二酸化炭素の排出量は、GHGプロトコルの算定方法を利用して取引金額と排出原単位を基に推計するケース(2次データ)が主流になっていますが、この方法では、再生可能エネルギーの導入や省エネの実践を通じてGHG削減努力を行っても、その取り組みの成果が排出量データに反映されにくくなるという問題があるといいます。

 これを改善するため推計値を用いず、IoTセンサーなどで企業自らが測定したGHG排出量の実績値(1次データ)を使う方法を模索しているそうです。ただこの方法でもまだ多くの課題があり、当面は「過渡期」としての暫定運用にならざるを得ない状況といいます。

サプライチェーンを構成する企業の多くは中小企業だ。これらの企業が全ての工場や事業所においてセンシング機器やGHG排出量算定ツールを導入し、1次データを取得するようになるまでには、長い時間がかかると予測される。(出所:MONOist)

 この「過渡期」においては、サプライチェーン上に1次データと2次データの両方が混在し、段階的に1次データのシェアを上げることで進めていくといいます。

 

 

 脱炭素に関するルールづくりは、課題が次から次へと湧き出てくる状態で、まずは合意できる部分でルールづくりを進め、新たに出てきた課題には順次対応していくしかない状況だといいます。

 実証期間が終わる3月までに、何らかのルールが策定され、サプライチェーンのGHG排出量の見える化の共通基盤が立ち上がればと期待します。

 やはり企業主導で、カーボンニュートラルに向けての実行施策を進めた方がより効率的に進むことになるのでしょうか。国のかかわり方を再考すべきなのかもしれません。国の関与が強まれば、カーボンニュートラルが達成されるというものではないのでしょう。 かえってそれが自主性を阻害し、成長機会を摘んでしまうことになるのかもしれません。

 政治が混乱しているだけに、そう思えてしまいます。効果的に気候変動対策を進めることは、現政権には重荷過ぎるのかもしれません。