Up Cycle Circular’s diary

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【経済安全保障】高まるリスク、サプライチェーンの見直しの緊急度とその実践

 

 国際情勢は気にかけていなければならないものなのでしょうが、どうにも政府対応を不安に思うようになります。

 日本海に向かってミサイルを乱射する国があり、また海峡の緊張を高めようとする国もあります。東アジアの端にある日本が、地理的にはこうした影響を回避するのが困難な状況であることは理解しますが、その最前線に立たされてしまったら割に合わないと感じずにはいられません。何のため日米同盟なのかと思ったりします。米国は極めて有利な場所に位置し、最前線に立つことはないのでしょう。

 

 

 経済財政諮問会議が開催され、初めて防衛政策がテーマになったといいます。

 岸田首相は、企業が持つ先進技術の活用で防衛産業の基盤を強化すると述べ、防衛力強化の具体策と予算、財源を一体的に議論するとし、防衛装備の研究開発で官民連携を深める方針を示したといいます。

防衛力強化「民間活力が不可欠」 首相、財源は踏み込まず | 共同通信

 防衛力の議論が必要なことは理解しますが、前のめり過ぎてはいないでしょうか。目先の脅威に今できることは限られています。そこに注力せずに、脅威を根拠にして防衛力強化という論理に危うさを感じずにはいられません。どんな理由があるせよ、歴史の繰り返しは許されません。

 一方で、こうした緊張の高まりを受けて、供給網 サプライチェーンの見直しが始まっているようです。米政府が「フレンド・ショアリング」に言及し、その影響もあるのでしょうか。経済安全保障を強く意識します。

 日立製作所も、中国と台湾における地政学リスクを念頭にサプライチェーンを見直し、日本や同盟国へ移すことを検討しているといいます。

日立、中台リスク念頭に供給網見直し検討-日本や同盟国にシフトも - Bloomberg

 ブルームバーグによると、サプライチェーン見直しの問題は日立の今年度下期から来年度にかけての大きな対応テーマになっているといいます。

東南アジア諸国連合ASEAN)を推す声もあるが、「中国との関係が非常に強いので全部ASEANとはいかない。国内とか、あるいはより中国との関係が薄いところに移していくということで全体のプランを作っている」と述べた。ただ、汎用品については「まだ一部を中国で作っても大丈夫かなとも思う」と付け加えた。(出所:ブルームバーグ

 

 

「フレンドショア=民主主義国家でのサプライチェーン構築」は容易ではない、理念は素晴らしいが、まだ概念にとどまると日経クロステックは指摘します。

脱中国っていうけれど、代わりを見つけられますか? | 日経クロステック(xTECH)

「現実的には難しい」と記事は述べ、「網の目のように張り巡らされたグローバルサプライチェーンにおいて特定国を排除するのは非現実的である」といいます。

 もうかなり前のことになりますが、自社の生産を東南アジアから中国に移管したときのことを思い出します。長く中国移管に反対し、会社の中ですっかり嫌われ者になりましたが、最後はその推進役に駆り出されていました。反対していた理由が次々と覆されての結末でしたが、どんなに1社が踏ん張ってみたところで、大きな流れができてしまえば抗うことはできません。

 その当時の中国を見て、もうここまで到達したのかと思い、その現実をみては、この先は有利に活用するしかないのだろうとのある種の諦めの気持ちを抱きました。

 

 

 世界の国々が協力して出来上がった理想に近い世界の工場「中国」、その流れを逆転させ、サプライチェーンを分散させることは容易なことではありません。

 中国移管前、サプライチェーンに求められることして、「政治的安定と法規制や諸制度」「人材と人件費」「産業集積度」をあげていました。今、国内回帰を目指すのなら、同じ視点でその評価が求められることになるのかもしれません。ただどの項目においても、だいぶ差が拡大していないでしょうか。