Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

【BBC特派員が見た日本】未来があった過去、行き詰まった現在、日本の未来はどこへ

 

 人は、自分自身のことは自分が一番よく分かっているとの錯覚に陥るといいます。

 自分が他者を見て評価するように、他者もまた自分を見て評価しているのでしょう。時に思いがけない辛辣な評価もあるのでしょうが、社会に生きるのであれば、他者の評価が正しいような気がします。

 その他人の目を気にすれば、上手に社会を生きていくことも、すり抜けていくこともできそうです。

 国についても同じなのかもしれません。自国民と外国人ではその見え方の違いがあるのでしょう。外国人が見た日本の方が結構客観性があったりするのでしょうか。グローバル化にあって、こうした外国人の目を気にすれば、外国とのつきあいも巧みになるのかもしれません。

 

 

 かつて未来がここにあったが、今日本は、行き詰まっていると、BBC記者がいいます。

自分が行ったことのあるアジアのどこよりも日本ははるかに裕福だと、当時の私は感じて、そのことに驚いた。アジアの他のどの都市よりも、いかに東京が見事なほど清潔できちんとしているか、そのことにも驚いた。(出所:BBC Japan

 自分にも覚えがあります。事実あの頃は日本は裕福であったし、アジアの国々が羨望なまなざしで日本を見ていました。円は強く、ちょっと豪華に現地に暮らすこともできました。

日本は未来だった、しかし今では過去にとらわれている BBC東京特派員が振り返る - BBCニュース

「1980年代後半に、日本国民はアメリカ国民よりも裕福だった。しかし今では、その収入はイギリス国民より少ない」と記事は指摘しています。バブルが崩壊する前は、ビジネスクラスで出張していたことを思い出します。

 当時、欧米はそんな日本を、現在の中国を恐れているように恐れていたといいます。しかし、世界が予想した「日本」は出現しなかったとも指摘しています。

日本はもう何十年も、経済の低迷に苦しんできた。変化に対する根強い抵抗と、過去へのかたくなな執着が、経済の前進を阻んできた。そして今や、人口の少子高齢化が進んでいる。(出所:BBC Japan

 そうなのかもしれません。

 

 

行き届いたホスピタリティ

 記事は、日本が世界最大の公的債務国になった理由に、1枚12万円もするデザインされた綺麗なマンホールの蓋が日本のあちこちにあり、免許更新時の講習会は定年退職した交通警官の働き口のためのものと指摘し、公的債務を軽減するためには、高齢者は働き続けなければならないといいます。

 一方、ガソリンスタンドでは給油中に従業員4人がかりで車の窓を清掃してくれ、出発する際には全員がそろってお辞儀してくれるといいます。日本の行き届いた優れたホスピタリティなのかもしれません。

 しかし、見方次第では過度なサービスと言えるのでしょう。世界各国が生産性の向上を競い合っているのだから、そう言われるのもわかる気はします。

少子化

 日本の移民受け入れ拒否の姿勢は、欧米の右翼運動にあっては、純血主義と社会的調和の輝かしいお手本と記事は指摘します。

 現実、マイノリティを平然と批判する国会議員もいるのですから。

しかし、そうした称賛をよそに、日本は実はそれほど人種的に一様ではない。北海道にはアイヌがいて、南には沖縄の人たちがいる。朝鮮半島にルーツを持つ人たちは約50万人。中国系は100万人近くいる。そして、両親の片方が外国人だという日本の子供たちもいる。(出所:BBC Japan

 

 

 「出生率が低下しているのに移民受け入れを拒否する国がどうなるか知りたいなら、まずは日本を見てみるといい」と記事は指摘します。身も蓋もありませんが、現実的なところでしょうか。

 歴史的背景も現実の国の危機を思えば、乗り越えるべきものということのような気がします。

賃上げ

 実質賃金は30年間上がらず、韓国や台湾にも追い抜かれ、それでも、日本は変わりそうにないとも指摘しています。そして、その原因の一部に、政治と誰が権力を握るのか決める、硬直化した仕組みがあるといいます。

圧倒的に男性中心のこの国の支配層は、日本は特別だという確信とナショナリズムに彩られている。第2次世界大戦において、日本は加害者ではなく被害者だったのだと、この支配層は信じている。(出所:BBC Japan

「特権的なエリートが支配する政党、アメリカに押し付けられた平和主義を廃止したいと切望する政党、それなのにもう30年も生活水準を向上させられずにいる政党に、なぜ日本の有権者は繰り返し投票し続けるのか」、「そこを不思議に思うのは、当然のこと」と記者はいいます。岸信介元首相(安倍元首相の祖父)の過去と自民党の歴史を紐解いてのことでしょうか。

 こうした見方があるのもわかります。現実、そのように振舞う首相もいたし、今もそうなのかもしれません。記者が日本の未来を心配するのも当然のことなのでしょう。

色褪せ、存在感を失う国

日本は次第に、存在感のない存在へと色あせていくのだろうか。それとも日本は自分を作り直すのか。新たに繁栄するには、日本は変化を受け入れなくてはならない。私の頭はそう言っている。しかし、日本をこれほど特別な場所にしているものをこの国が失うのかと思うと心は痛む。(出所:BBC Japan

 考えさせられる結びの言葉です。

 通常国会が始まりました。どんな論戦が繰り広げられるのでしょうか。国はこうやって衰退していくみたいな教訓を示す国にはなって欲しくないものです。

未来はすべて次なる世代のためにある

 若者たちに優遇されるとみられてしまう老人たちは、若者たちのためにお金を使うべきなのでしょう。最悪、それが消費であってもいいのかもしれません。何しろ墓場には現金も資産はもっていけないのですから。

 若者たちは、先人たちが遺した偉業と失敗に感謝し、そこから「チエ」を学び、今を少しずつ良くしていくべきなのでしょう。小さなパイを奪い合い、世代間の分断を助長するのでなく、またその現実を嘆くのではなく、先人たちがかつて一時的ではあっても裕福な国を作ったように、自分たちの未来を創造すべきなのでしょう。そのためには、変えるべきは変えなければならないのかもしれません。