医療DXにつながるはずの「電子処方箋」の全国運用が今日26日から始まったそうです。ただ初日に対応できる病院は6カ所、診療所は10カ所にとどまるそうです。普及すれば、患者の利便性は向上し、なおかつ安全性の向上に役立つといいます。
「電子処方箋」いつから運用?仕組みとメリット、課題は? | NHK | 医療・健康
「患者にとっての本当のメリットが何なのかが、よく見えないことが一番の課題」と専門家が述べています。
患者は目の前の医療従事者から説明を受けるのが一番わかりやすいが、医療従事者にも意義が浸透しきれていない。国は自分たちが進めていく方向性を将来の姿も含めて提示して、医療従事者に説明をしていかないといけない、(出所:NHK)
患者視点からの医療DXなのでしょうか。「DX」を積極的に推進しようとする国にしては何とも情けない進め方ではないでしょうか。
医療DX
電子処方箋を医療DXにつなげようとするなら、患者側にメリットを伝えるだけでは不十分で、それは病院、薬局、強いては国にとってのDXであることを自覚し、推進しない限りに利用増につながっていかないような気がします。
一体いくら使ったんだ! 医療費、コロナ対策含め50兆円時代: 日本経済新聞
高齢化の影響もあるのでしょうが、膨大な医療費が費やされているようです。
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母が骨折し、何度も病院に足を運ぶようになり、色々観察してはムダも多く、苦労が多いのだろうと想像します。
忙しそうに動き回る看護師さん、あちらこちらの職場をながめて、想像を巡らせます。いざ入院続きとなれば、紙対応があちこちに残り、手続きの煩雑さ辟易します。母にマイナンバーカードを取得させていたら、こんな煩雑さは無くなるのだろうかと思いますが、どうなのでしょうか。
人の命を預かる職場なので、軽々しく発言すべきではないのでしょうが、改善、効率化のネタは無数にありそうで、それこそDXの出番のような気がします。
DXが進み、生産性、効率化が改善すれば、薬価を含め大幅な医療費の圧縮も可能になるのではないでしょうか。そのメリットを一番享受するのが国民であり、それによって税負担の低減につながったり、そうできなくても、そのコスト圧縮分を財源にして、子ども予算を拡充してもいいのかもしれません。世代間格差の不満解消にもつながりそうです。
政府がこうしたことを目標とし、それを公表しないのが不思議でなりません。そうできない事情があるのでしょうか。
DXとは
経済産業省は「DX」を「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義します。
また、 「デジタルツールの導入=DXではなく、データやデジタル技術はあくまで変革のための手段」とし、「デジタルを使った製品やサービスを提供するだけでなく、データやデジタル技術を活用したプロセスの改善や、デジタルを活用しやすい組織づくりへの取り組みが必要」といい、「環境変化の中でも、企業が市場で淘汰されずに、成長し続けることが目的」とします。
賢者の石
「ビジネスで収益をあげるのに最も重要なのは、低コストの維持だろう」と、あの著名な投資家ウォーレン・バフェットが言っています。
出費を収入以下におさめる術を学べば、あなたは賢者の石を手に入れたに等しい(ベンジャミン・フランクリン) 出所:「バフェットの大不況を乗り越える知恵」)
さらに、「コスト意識とは、業績不振をコスト節減で打開する能力ではない」といい、生活の一部として常に実践する能力と言います。
企業の場合でも、個人の場合でも、コストカットは最も手っ取り早く、最もたやすく収支を改善させる方法である。金持ちになる方法と言い換えても良い。なぜなら、金儲けに関する限り、「簡単」は常によい結果をもたらすからだ。(出所:「バフェットの大不況を乗り越える知恵」)
著名な投資家がこんなシンプルな法則に従っていることが意外ですが、最も効果があるということなのでしょうか。
コスト意識
国家においても同じなのでしょう。国債を乱発したり、増税しなくても、コスト意識があればいい、それだけのような気がします。
定義が異なるのかもしれませんが、バフェットがいうコストカットのために「DX」の活用があってもいいのでしょう。ただ、人は得てして変革を好まないといいます。これが課題ではないでしょうか。
それ故、患者のみならず、関係者みなで、強いては国民に変革の意義とメリットを共有する必要があるのではないでしょうか。それをするのが国の役割のような気がします。
「参考文書」