Up Cycle Circular’s diary

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【価格転嫁と賃上げ】進む業界、進まない業界、その差は何なのか

 

公取から厳しい指摘をいただいたのは痛恨の極み。襟を正して率先してやっていたつもりだったが、隅々まで行き届いていなかった」と、デンソーの松井経営役員が決算記者会見でそう述べたそうです。

デンソーが下請けのコスト増分適正に価格転嫁、1500億円-公取委指摘 - Bloomberg

 原材料やエネルギー価格の上昇などコスト増を取引先からの購入価格に適切に反映しないとして、デンソーは、公正取引委員会によって社名を公表されました。

 企業にとって、これほど不名誉なことはなく、それだけでなくブランドイメージや信用を棄損し、株価下落にもつながりかねません。「痛恨の極み」と表現する経営陣の気持ちはよく理解できます。

 

 

記事によれば、この問題への対応として、副社長を調達グループ長に任命し、部品サプライチェーン内の取引適正化などに対応するといいます。総調達額の10%弱に相当する約1500億円を原資にして価格反映を実施するそうです。また、客先とは値上げに向けた協議を進めているといいます。

 こうしたことをきっかけにして、「賃上げ」機運がさらに高まっていけばいいのでしょう。

イオン、40万人を対象にした賃上げ

 イオンが、国内のスーパーやドラッグストアなど連結子会社147社で働く約40万人のパートを対象に7%の賃上げをするそうです。

イオンがパート時給7%上げ、賃上げ広がる?: 日本経済新聞

 記事によれば、3月に平均で約70円時給が上がり、パートの平均年収は約8万円増える見通しといいます。人手不足感も強まっており、人材確保の意味合いもあるようです。争力維持につなげる」としています。

 パート人数が国内最多のイオンの賃上げは、様々な企業の賃上げ判断に影響するのではないかと記事は指摘します。

 モノの価格は高騰していますが、一方で飲食や宿泊などサービス価格はそれに反し、それほどに上がっていないと言われます。賃上げの裾野がどこまで広がっていくのでしょうか。

 

 

IT化による変革

 賃上げに関連するかのように、「リスキリング」、「DX(IT化による変革)」との言葉をよく耳にするようになりました。価格転嫁の機運に乗り遅れ、賃上げにはまだ遠いところにある業界が、「リスキリング」や「DX」を上手に活用して、賃上げの時流に乗れることはあるのでしょうか。

  一方で、こうしたことを見透かしたかのように様々なソフトウエアサービスやアプリが開発されています。しかし、まだまだ普及していないのでしょうか。

 使う側のスキルの問題なのか、それともそれを見越して、もっと使い勝手が良いもの、利用者目線にたったサービスが開発されれば、状況は改善していくのでしょうか。

 

 

バズワードの専門家

 新たなバズワードが誕生すると、その専門家と称する人やそれに対応する企業が雨後の筍のように生まれます。様々な人が様々な意見を述べるようになり、どれが正解なのかよくわからなくって行きます。

なぜ、これほど「リスキリング」が必要とされているのか 専門家が解説:DX時代に必要なのは?(1/2 ページ) - ITmedia ビジネスオンライン

 デジタルサービスを提供する側が、顧客に寄り添い顧客の業務効率を優先して対応することはできているのでしょうか。自分たちの利益を優先し、顧客を食い物にするようなサービスばかりになったなら、賃上げは厳しくなってしまいます。

 例えば、予約サイト、低料金での利用を探せることはありがたいことですが、それが低価格を招くことはなのだろうかと思ったりします。

 

「参考文書」

「仕入れ先に1500億円還元」とデンソー幹部、10%値上げ | 日経クロステック(xTECH)