Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

日本の再エネ比率90%も可能との研究結果がまとまる

 

「やろうと思えばできる」、あとは国の対応次第。

 まだ総発電量の2割程度にとどまっているクリーンエネルギー(含む原発)を2035年までに90%まで引き上げることが可能との見解を、米エネルギー省の研究機関であるローレンス・バークレー国立研究所が公表したそうです。

クリーンエネルギー、日本では35年に9割達成可能=米国立研究所 | ロイター

 この研究所が公表した「日本の電力の脱炭素化に関する研究結果」によれば、化石燃料の輸入は金額ベースで85%削減でき、発電の平均卸電力コストは2020年比で6%減にできることが分かったといいます。

 その上、LNG 液化天然ガス火力発電所の新設や石炭火力発電所の稼働を想定しなくても、電力システムの信頼性が保たれるとの見解を示したといいます。

 

 

国富流出の抑制効果も

 この試算は、2020年以降、日本に毎年10GW分の再生可能エネルギーが導入され続けることを前提にしているそうです。また、このシナリオの実現には国の政策的支援が不可欠としているともいいます。

日本の電力の脱炭素は2035年にも9割実現、日米研究機関が試算 | 日経クロステック(xTECH)

 記事によれば、これを実現するための再生可能エネルギーや連系線、水素インフラなど、2020年以降の設備導入費用の合計は原発関連を含めないで、2035年時点で累積約38兆円に上るといいます。

 一方で、化石燃料の輸入について、石炭はほぼゼロになり、LNGも大幅に減らせるといいます。その費用は2020年の3.9兆円から2035年には85%減少し、5900億円になる試算しているそうです。2035年以降は、国富流出を防ぐことができ、またこの削減効果は関連設備の導入費用を充当できるといいます。

企業の取り組み事例~積水化学

 積水化学工業が築50年にもなる大阪本社をリニューアルすると発表しました。

積水化学大阪本社の入居ビル改修 外壁に新型太陽電池 - 日本経済新聞

 従業員の働きやすさと働きがいを両立する職場づくりと建築物の長寿命化によるライフサイクルCO2の排出削減を目指しているそうです。また、外壁には自社開発の「ペロブスカイト太陽電池」を使い、その他にも自社製品を建材の一部として利用するといいます。

 様々な工夫により高い断熱性能や日射遮蔽性能によって省エネを実現し、室内の快適性も向上させるそうです。

(画像:積水化学工業

 記事によれば、ビル内の電力は非化石証書付きの電力で、再生可能エネルギー100%を実現するといいます。

 

 

海外でも活発化する小規模な地域ソーラー

 国土が狭く太陽光発電の適地も少ないオランダは、創意工夫し、複数の用途を持って土地を利用することで、太陽光発電比率がEU加盟国中トップになったといいます。

アングル:国土狭いオランダ、創意工夫でソーラー発電大国に | ロイター

 駐車場や湖、羊の放牧地、イチゴ農園、使われなくなった教会、鉄道の駅、飛行場などにあらゆる場所に太陽光パネルを設置するその取り組みは、世界中で再生可能エネルギー施設の設置問題に新たな智恵を与えてくれるかもしれないと記事は指摘しています。

 また、オランダの太陽光発電業者は地域社会に投資する傾向があり、新しいプロジェクトは地元の利益をしっかりと考慮したものになっているそうです。

 米国でも同様な動きが見られるのでしょうか。

 首都ワシントンの土壌汚染によって使用されなくなった土地に太陽光パネルが設置され、そこで生まれる電力は、地元の低所得世帯約7000戸の電気料金負担は半減しているといいます。

焦点:クリーンエネと低所得層支援、米で「地域ソーラー」拡大 | ロイター

 広大な土地を有し、太陽光発電の適地も多いはずの米国でも、さまざまな用地を利用し、小規模な地域プロジェクトが活発化しているといいます。

 連邦政府もこうした地域プロジェクトを後押しし、その発電量は2020年から2025年にかけて700%拡大させることを目標としているそうです。また、今年に入り「地域ソーラーが輝く時」と題する会議も開催しているといいます。

 日本政府、地方自治体はどんな対応策を検討しているのでしょうか。G7 主要7カ国は35年までの電力部門の大部分の脱炭素化で合意しているが、日本は明確な道筋を示していないといいます。

 

 

輸入に頼る太陽光パネル

 現状、多くの太陽光パネルが中国からの輸入されていることを心配しているのでしょうか。それも一種の国富流出です。それゆえの原発の新増設なのでしょうか。

 しかし、安価な中国製パネルには、競争に勝つために中国政府が多額の補助金を出しているといいます。それを利用することはある意味で、「中国国民の税金を日本などそれを輸入する国でのエネルギーコストを下げるのに使える」ということであると日経クロステックは指摘します。

「ペロブスカイト太陽電池」など国産の次世代太陽電池に移行するまでの間、割り切って安価な中国製パネルを活用し、欧米に負けじと、再生可能エネルギーを拡大させていくのも悪くないのかもしれません。

 このご時世、実利を優先してもいいのではないでしょうか。

 

「参考文書」

大阪本社を全面リニューアル開始 | 積水化学工業株式会社