WBCで金メダルを獲得した栗山監督が率いた侍ジャパンが凱旋しました。
数々の感動的なエピソードが報じられています。
【WBC】ヌートバー独占手記「日本人としての誇り」栗山監督の手紙と大谷翔平に学んだ事 - WBC2023 : 日刊スポーツ
美しい物語があっての世界一だったのかと思ってしまいます。
こうした雰囲気にいつまでも包まれれば、明るくて健全な社会になっていきそうな気がします。しかし、現実は真逆なのかもしれません。
治安の悪化、増加に転じた犯罪の認知件数
回転すしなど外食店での迷惑行為が横行するようになり、ここには様々な「悪意」が凝縮されているといいます。
スシロー「ペロペロ事件」が映し出す SNSで反転する正義感:日経ビジネス電子版
記事は、SNSがコミュニケーションの在り方を多様化させた半面、今回の事件のように悪意の「増幅装置」として機能していると指摘します。
また、新型コロナウイルス禍の中で問題となった「持続化給付金」の不正受給に言及し、手続きの簡素化が不正を招いたとし、利便性向上と悪意の露見しやすさがトレードオフの関係になったといいます。
こうしたことが続いてのことか、近年は治安の悪化を感じている人が増えているとの結果も出ているといいます。
現実、減少傾向にあった日本の刑法犯の認知件数が2022年、20年ぶりの増加に転じたそうです。
悪、なぜ人は犯罪に手を染めるのか
芥川賞作家の川上未映子さんの最新長篇小説『黄色い家』が話題を呼んでいるそうです。
生まれた環境ゆえに苦難が絶えず、生きてゆくために犯罪に手を染める少女たちが描かれているそうです。
川上未映子の新境地『黄色い家』インタビュー 「人間のどうしようもないエネルギーを物語にしたかった」|Real Sound|リアルサウンド ブック
社会的な問題、顔が見えない犯罪、連帯の暗部とか、切り口みたいなのってたくさんあると思うけど、でも、それよりも、金、家、犯罪、それらが絡みあったときのカーニバル的な祝祭感、そういう、人間のどうしようもないエネルギーを物語にしたかったんだ (出所:リアルサウンド ブック)
主人公の花が陥っていく《悪》を書きながらも、私は自分が世界に対してどういう姿勢でいればいいか、今なお定まっていませんと、川上さんはいいます。
「ただ言えることは、人が苦しんだり、痛がったりすることはどうにかして世の中から取り除いていきたい。それが、小説を書くことと読むことと、どう呼応するのか。考えている途中です」とも語っています。
カード詐欺、暴力団対策法の制定と半グレの登場、ネット社会、顔が見えない匿名性、核家族化――。実際、90年代は、今、問題になっていることがあらわれ始めた時期なんです。(出所:婦人公論)
物語はそんな90年代を起点にして始まるといいます。
新聞記事からは、事件の起こった時と場所とか、だいたいの概要しかわからないですよね。それが記事の役割だから。でも、事件の裏には、そこには現れてこない事情があります。その個別性について考えたり、想像したりするのが、文学や映画の仕事のひとつだと思っているんです。 (出所:Vogue Japan)
こうした小説を通して、現代を知るのもいいのかもしれません。少なくとも自分にはこうしたアプローチが欠け、見えていない世界があることに気づきます。
GPT-4が考える善悪とか
一方で、文学とは別に気になる最近のテーマ。
AIを用いた「普遍的な善やイデアの数学的な演算」というものの仮説が、だいたいできたのだけど、機械学習とか自然言語処理詳しい人、この辺の理解が間違ってないか教えてほしいっす。
— 深津 貴之 / THE GUILD / note.com (@fladdict) 2023年3月22日
GPTとかでまず、「善」や「悪」の行為のサンプルを100万個とか作って(続く)。 pic.twitter.com/oS9JHWhILR
こちらも時間を作りながら、考えてみたいところです。
AIが勝手に議論を深めてくれる弁証法エンジンの構築|深津 貴之 (fladdict)|note
「侍ジャパン」の眩いほどの感動の物語が美し過ぎて、現実のギャップをちょっと考えてみたくなりました。
「参考文書」
作家・川上未映子の死生観と「お金」への思い──「お金は生死のルールを超越していると見せかける」 | Vogue Japan