Up Cycle Circular’s diary

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【再エネ利用の促進】鉄道架線を利用した再エネ送電

太陽光・風力発電の出力を一部止める「出力制御」が、電力需要の大きい三大都市圏の中部エリアで初めて4月に実施されました。需給バランスが崩れると大規模停電を招きかねず、「やむを得ない措置」だったといいます。

「限界迫っている」再生可能エネルギー拡大、崩れる需給バランス - 日本経済新聞

 こうした事態を回避させるための対策を早期に実施すべきではないでしょうか。送電網の整備ばかりでなく、蓄電池などできる対策はあるはずです。このままでは貴重な電力を有効活用できないままになってしまいます。

 

 

鉄道架線、新たな再エネ送電網

 再生可能エネルギーの送電網として、電車に電気を供給する鉄道架線を活用する検討を国土交通省が始めたそうです。関連法令を見直し、2030年度までの実用化を目指す方針といいます。

 ただ高圧送電網と比し、鉄道架線は送電距離が長くなるほど電圧が落ちやすいとのデメリットもあり実用化には課題解決が欠かせないといいます。

鉄道架線で再生可能エネルギー送電検討…コスト削減や赤字路線維持への期待も : 読売新聞

 記事によれば、国交省は今年度、まず静岡鉄道の静岡市中心部と沿岸部を結ぶ静岡清水線の架線約11キロ・メートルを使った送電構想を支援するといいます。

今年度から民間事業者の実証実験などを支援し、電車運行への影響や技術的な課題を洗い出す。地域で発電した再生エネを、近くの鉄道架線につなぎ、沿線の公共施設や災害拠点などに供給することなどを想定している。再生エネの活用を通じた地域の脱炭素化や防災にも役立つ。(出所:読売新聞)

 再生可能エネルギーの有効活用には送電網の整備が欠かせませんが、その費用は6~7兆円となるといわれ、鉄道架線の活用で整備費用の抑制につながる可能性もあるといいます。

 また、北海道や九州の鉄道の在来線は、不採算に陥っている路線も多く、こうした地域の架線を使ったり、電力会社が新たな送電線を並行して引かせてもらったりすれば、設備の有効活用となり、収益の改善を通じて路線維持の期待も高まるといいます。

 北海道や九州は再生可能エネルギーの有望地とされ、鉄道網は、再生可能エネルギーに適した山林や原野を通りながら、電気を消費する市街地を結んでいます。九州ではたびたび出力制御が実施されています。その対策にならないのでしょうか。

 

 

日本は27位、エネルギー転換の促進

 世界経済フォーラムが「効果的なエネルギー転換の促進2023年報告書」を公開、「エネルギー転換指標」のランキングを公表しました。日本は120ヶ国中27位だったといいます。

エネルギー転換の促進「日本は27位」に学ぶこと|サマーダボスリポート2 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

 このようなランキングは興味関心を惹くためのもので、重要なことはこれから何ができるかということにあるといいます。

日本は自国のエネルギー資源が少ない。そんななかで、より良いポジションを確保するにはどうすればいいのか、どのような角度から検討すればいいのか。ランキングはこうしたメッセージを伝えている。(出所:Forbes)

 日本は環境整備の5つの指標の中で「イノベーション」と「教育と人的資本」のスコアが低かったそうです。既存の確立されたシステムがあるほど、変化をもたらすのは難しいと記事は指摘します。

 全く新しいことを始めようとすれば、ますますイノベーションから遠ざかります。それよりは今あるものを組み合わせて有効活用し実用化、それによって社会実装が早まれば、それもまたイノベーションになったりするのではないでしょうか。

 原発に執着するより、国交省のこうした対応の方がより現実的な取組になるような気がします。