セブン&アイ・ホールディングスのそごう・西武の売却計画を巡って、労働組合と協議したといいます。労組側は納得できる回答が得られなければ、31日に西武池袋本店でストライキを実施する構えだといいます。
セブン&アイ、そごう・西武売却で労使協議 労組は31日にスト検討:時事ドットコム
売却を最終決定するために7&i HDが31日に取締役会を開催した場合にはストを実施する方針といわれていますが、どうなるのでしょうか。
経営に「サステナビリティ」「パーパス」などが問われるようになり、多くの企業で実際に取り組んでいるようです。欧米では、そうした企業が結果を出すケースがあるそうですが、日本ではどうなのでしょうか。
「サステナビリティ」に熱心に取り組み、その結果を示している7&i HDが、労組との協議で難航することが少々疑問にも感じます。どこかに欺瞞があるのでしょうか。
7&i HD社是
私たちは、お客様に信頼される、誠実な企業でありたい。
私たちは、取引先、株主、地域社会に信頼される、誠実な企業でありたい。
私たちは、社員に信頼される、誠実な企業でありたい。(出所:7&i HD)
ステークホルダー資本主義が説かれ、利益の追求のみが企業の役割であるとするこれまでの見方が否定され、株主第一主義から決別、顧客、社員、そして国に価値を提供する方向へと転じたはずですが、7&i HDは、まだ過去への執着が残っているのでしょうか。
セブンイレブンを始めるとする日本のコンビニを絶賛する訪日観光客によるSNSへの投稿が相次いでいるそうです。
「10ドル持って日本のコンビニ行った、帰国したくなくなった」外国人たち | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)
日本のセブン=イレブンで売ってる食べ物は正気の沙汰じゃないくらいヘルシーで安い。たとえばフルーツや野菜のスムージー、米、サラダ、プロテイン飲料、調理済みの鶏のむね肉、豆腐、サーモン……。しかも全部買っても10ドルしない。もしニューヨークでセブン=イレブンから買ったもので食事したら、1週間は寝込むことになるよ。(出所:Forbes)
コンビニ各社の努力もあて完成したこのシステムが、円安と相まってインバウンドに喜ばれ、それを労働者の安い賃金が支えるというのなら、少々虚しさも感じなくもありません。
「日本の「Konbini」はすでにコンビニエンス・ストアの域を脱している。それはすでに社会の小宇宙であり、現代日本のダイナミクスと世界における役割を理解する上で欠かせない要素である」と、日本のコンビニを研究する海外の専門家もそう評しているそうです。
7&i HDは、日本代表するグローバル企業のひとつです。「サステナビリティ」の解釈が世界標準に近づき、それが実践できるようになれば、日本社会も少しずつ変化していくのかもしれません。
さて、そごう西武労組がストを実行するような事態になるのでしょうか。
職場の透明性が向上したことも極めて大きな推進力となってきた。企業は昔のように物事を隠蔽できない(中略)要するに、企業はマイナスの影響を隠すことはもはやできない。遠いどこかの国にある自社のサプライチェーンで人権無視などの酷い事態が起きていれば、人々はそれに気づく。1970年代や1980年代には決してなかったことだ。(出所:DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー)
「参考文書」
そごう・西武労組31日にもスト、会社側が取締役会開催なら-関係者 - Bloomberg