Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

マイナカード、インボイス制度、失策続きの国、コンサル頼みで成長戦略を描けない企業

 マイナンバーカードに、インボイス制度が国が新しいことを始めようとすると、混乱がおき、反対の声があがります。制度設計に無理があるのでしょうか。

 政治主導で官僚の力が弱まっているといいます。その上、議員たちの国会答弁の準備などで官僚は大忙しで、「ブラック霞が関」と揶揄されるほどの職場になっているといいます。

国家公務員の答弁づくり深夜1時まで 悩む「一行通告」 - 日本経済新聞

  かつては東大生に人気のあった国家公務員も今ではその魅力が薄れ、キャリアと呼ばれる総合職の試験申込者数がこの10年で大幅に減少しているそうです。また、退職者も増加し、入省5年未満の退職率も上昇傾向が続いているといいます。

 優秀な人材の確保がままならなければ、ますます官僚機構の低下となっていきそうです。

 

 

 人事院が「人事行政諮問会議」を立ち上げ、給与や働き方、公務員制度のあり方について議論するそうです。

国家公務員にもパーパス 人事院、25年ぶり有識者会議 - 日本経済新聞

 それだけ職場環境が悪化してきているということなのでしょう。

 古き良き時代の官僚といえば、政治は官僚主導で動く、20年も我慢すれば、それなりのポストや天下り先が確約されていたといいます。しかし今では、天下りは規制の対象となり、政治は官邸主導で官僚の力は弱められるばかりです。それに加えて、官邸や大臣次第で、官僚自身のキャリアまで左右されてしまう状態だといいます。

官僚たちのパーパス 存在意義

「人事行政諮問会議」では公務員に関する課題を総合的に議論し、パーパス 存在意義に相当するような行動規範の導入を検討するそうです。現在の国家公務員法は職務内容を定めるものの、公務員のあるべき姿を明示していないといいます。

めざすべき方向性を共有し、職員それぞれが「やりがい」を再認識する――。そうすれば職場が活気づき、離職の防止につながるとの期待が人事院にはある。(出所:日本経済新聞

 政治・官邸主導に翻弄され、官僚が矜持を失い、国民生活を顧みなくなれば、国が乱れていくのも当然のように思えます。

 

 

コンサルの装置産業

 官僚を目指さなくなった学生たちに、コンサルが人気の職種だといいます。今では転職しながらキャリアアップしていくのが当たり前となり、ひとまず新卒で入る場所として、コンサル会社は、おいしい職場に映っているからだといいます。

冨山和彦 コンサルはなぜ必要とされ、なにが足りないのか|政治・経済|中央公論.jp

 しかし、コンサル業界もかなり変化しているといいます。かつては強烈なオリジナリティを持つコンサルが多かったそうですが、今ではコンサルにおいても、IT化が進み、装置産業化し、緻密な仕組みが構築されたおかげで、ファクトとロジックをベースに考える訓練さえ受ければ、それなりの正解を導き出すことができるようになっているといいます。

 業務の効率化が進み、生産性が向上したおかげで平凡な戦略を描くコンサルばかりが増えているということなのでしょうか。これでは、「情報の非対称性」を埋めようとコンサルに頼るようになった企業が停滞するのもわかるような気がします。

求められる政治の改革

 公務員制度に関する有識者会議の設置は1998年以来のことといいます。当時は公務員の贈収賄事件が相次いでいたといいます。会議設置で、公務員への処分を厳しくすることや、再就職先の透明化などの措置につながったそうです。

 今回の有識者会議設置でどんな成果がもたらされるのでしょうか。再び官僚が人気の職場に復活するのでしょうか。いずれにせよ、働きがいがあってなおかつ働きやすい、そんな職場の環境作りを進めるには、官庁単独での対応でなく、行政・官僚機構の改革なくしては実現することはないのかもしれません。そのためには政治の協力も不可欠で、政治において同様に改革が求められることになるのではないでしょうか。

 このまま官僚の地盤沈下が進むと、取り返しのつかない事態になっていくのかもしれません。