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敗訴続きの米連邦取引委員会、米アマゾンを独禁法違反の疑いで提訴

 米国の連邦取引委員会が、IT最大手のアマゾンを独占禁止法違反の疑いで提訴しました。

 FTCは、アマゾンを「独占企業」と批判し、ネット通販で「独占力を違法に維持」するために、「反競争的で不公正な戦略」を用いていると主張しているといいます。

米当局、アマゾンを提訴 ネット通販で「独占力を違法に維持」 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

 これに対し、アマゾンは「小売業界全体の競争とイノベーションを促進するのに役立って」おり、アマゾンで商品を販売する事業者にとっても「より大きな機会」を生み出していると反論しているそうです。

 

 

 FTCは、米IT大手各社を相手取って独禁法違反で相次いで提訴していますが、敗訴が続いています。規制を強化し、公平な機会の提供につなげたいのでしょうか。しかし、なかなか思うような成果はあがっていないようです。

 今回のアマゾンの提訴について、裁判所はどう判断するのでしょうか。仮にアマゾンが敗訴となれば、組織再編の可能性もあるようです。

 一方で、FTCの主張とは真逆に、アマゾンは積極的に販売者を支援しているという意見もあります。

 アマゾンの全体的な事業目標は変わり、売上に占める外部販売者の割合が増え、販売者の事業が発展するよう支えた結果、アマゾンに大きな利益がもたらされたといいます。

アマゾンの事業目標に変化、eコマースのセラー支援を拡充 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

アマゾンの強みの1つは、革新的であることや、小売やテクノロジーの枠にとらわれることなく新たな発想をすることを従業員に奨励する企業文化だ。これにより同社は業界を引っ張る存在となっており、他の小売企業はアマゾンに追随している。例えば、自社のeコマース用に開発されたアマゾンの有用なテクノロジーとインフラは現在では外部のセラーにもサービスとして提供されている。(出所:Forbes)

 アマゾンが多くの販売者とともに成長できているのであれば、アマゾンがまっとうなビジネスを行っているともいえそうです。もし仮にアマゾンが自分たちの利益を考えるだけで、搾取を続けているのなら、長きにわたり成長し、莫大な売上を築くことはできず、ましてグローバルな展開もなかったのではないでしょうか。

 

 

 かつて経営学者のP・F・ドラッカーは、企業経営を「企業は顧客に価値を創造するためにある」「企業はヒトを生産的な存在とするためにある」「企業は社会やコミュニティの公益をなすためにある」の3つから企業経営を考えるべきと主張しました。

 もしかしたらアマゾンをはじめとする巨大IT企業はこうした教えを上手に取り入れ活用できていそうです。

 日本のIT企業の中から米巨大IT企業に近づく存在が現れないことは不思議なことです。その決定的な差はどこにあるのでしょうか。ビジネスモデルを真似ることは出来ても、そこから学びができず、本質に近づいていないのかもしれません。

 日本でも公正取引委員会が、独禁法違反や優越的地位の濫用で企業を摘発するケースが続いています。つい最近ではヤフーニュースが「優越的地位にある可能性がある」などと指摘されていました。損保業界や電力業界、楽天など様々な企業の名があがります。

 日米の企業では何か決定的な差がありそうな気がします。

 

「参考文書」

ヤフー ニュース配信 契約内容の見直し検討 公取委の指摘受け | NHK | IT・ネット

『マンガ』ドラッカー 「マネジメント」を世に広めた伝道師 | Human Capital Online(ヒューマンキャピタル・オンライン)