Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

プラスチックス汚染防止の「パリ協定」を目指して 国際条約の準備進む

 

 世界の脱プラの動きを見ていると少しばかり焦燥感も募ったりする。流れてくる海外のニュースはサーキュラー・エコノミーを推奨し、使い捨てプラスチックスを敵視し、何とかそれを廃絶する方策を模索する。

 英ガーディアン紙は引き続き、国連による、危機的状況にあるプラスチック汚染に取り組むための新しい条約制定に向けての準備状況を報道する。

 

www.theguardian.com

 

 それによると、海洋ごみとマイクロプラスチックスに関する国連のワーキンググループが先週バーチャルで開催され、この問題について話し合ったという。アフリカ、バルト海カリブ海、北欧、太平洋諸国、およびEUを含む国連加盟国の3分の2以上が、新しい協定のオプションを検討する用意があると宣言したという。しかし、米国と英国は、これまでのところ、参加を表明していないという。

 

 

 

プラ汚染防止 パリ協定のように法的拘束力を持つ条約制定を目指す 

 この検討されている条約は、地球温暖化防止対策のためのパリ協定に似ているという。世界的な取り組みになり、法的拘束力があるという。今までに制定されたバーゼル条約などでは、プラスチック汚染を管理する国際的な法的枠組みが断片化されており、効果がないと、その反省を活かす。

 現在の傾向がこのまま続けば、海洋へのプラスチックス流入は2040年までに3倍になると予想されているという。これは、世界の海岸線1メートルあたり50kgのプラが存在することを意味するそうだ。これまでに行われ発表されたすべてのプラスチック廃棄物を抑制するための努力だけでは、その量はわずか7%の削減にとどまるという。

 

f:id:dsupplying:20200811083143j:plain

 

 記事には日本のことは書かれていない。昨年、G20大阪サミットで、「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」を共有し、2050年までに海洋プラスチックごみによる追加的な汚染をゼロにまで削減することを目指すという世界的な合意をリードした、そんな背景を鑑みれば、当然、この動きでもリーダーシップがあっても良さそうな気がする。不確かではあるが、太平洋諸国の中に含まれているのだろうと勝手に推測する。

 

 

 

あるデザイナーのパッケージは必要なのかという疑問

 1年以上前に書かれたnoteの記事を思い出す。グラフィックデザイナー/アートディレクターの荻原ゆか氏が書いたものだ。

 ドイツ ベルリンにある世界初の包装を使わないスーパーマーケット「Original Unverpackt」で買い物された経験からの気づきをもとに、デザイナー視点で書かれている。

そのパッケージが一切ない世界を目の当たりにして、本当にパッケージデザインは必要なのか?と頭の中がグルグルした

私もパッケージデザインを担当させていただくこともあるので、そもそも自分がつくったものが環境や誰かを傷つけているかもしれない、ということにもハッとする感覚を覚えた。

完全にグラフィックデザインの敗北を味わった気分になった。
同時にメッセージやコンセプトを伝えるときは仕組みから考え、形つくっていくこと自体がデザインであるというも得た。 

(引用:荻原ゆかさんのnote「包装ゼロのスーパー「Original Unverpackt」に行って感じたデザインの敗北と可能性」) 

 

note.com

 

”つくる”ということは「捨てる」も同時についてくる。今後「捨てる」までの設計を考えていくことがとても重要に思えた」 と、荻原氏はいう。

 今回、そもそも「捨てる」を出さない設計のスーパーに行き、コンセプトやメッセージを伝える手段として「仕組み」の部分から考えることもまたデザインという学びを得た

デザイナーは表面的な部分のみ考えるのではなく、仕組みの部分から見直しできることを考えていく必要がありそうだった。

(引用:荻原ゆかさんのnote「包装ゼロのスーパー「Original Unverpackt」に行って感じたデザインの敗北と可能性」) 

 

 「これから「つくる」者として、"人"や"社会"だけに目を向けるのではなく、"環境"などもう少し大きな枠組みで物事を考えられるようになりたいと思った」と、荻原氏は続けた。

 

 

 

 荻原氏のようなデザイナーが増えれば、いいのかもしれない。気づきがあれば、今までとは違った、新たな世界が目に映る。

 デザイナーが一番その商品のことをわかっているものだ。その商品がどのように作られ、お客さまにどのように届けられるか、そんなことを無意識下で想像していたりしている。そこに気づきがあれば、その想像したしくみ自体も創造できたりするのかもしれない。

 そうであるなら、より多くの気づきがあれば、もしかしたら、ごみのない世界だって実現するのかもしれない。

 人は何がきっかけで気づきを得るかはわからない。時として、気づいていることに気づかないことさえもあるものだ。それでは機会やチャンスを逃しているようなもの。

 新しい出会いやその風景を大切にすることが、気づきの機会になるのかもしれない。

 

 

毎秒トラック1台分の服が捨てられている 服のサスティナビリティを考える

 

 「繊維産業は、#世界最大の汚染産業の1つに数えられるんです」

と少しばかり過激な表現かなと思うツィートをグリーンピースジャパンが投稿する。

 そのスレッドには、「毎秒トラック1台分の衣類が、焼却あるいは埋め立て処分されています」と驚きの内容が書かれている。 

 

 さらに、「焼却処分されることで、埋立地から出る有害化学物質温室効果ガスにより、さらなる #環境汚染 の原因にもなっています」と指摘する。

「汚染」とは、広辞苑によれば、

①けがれに染まること。よごれ。しみ。

②細菌、有毒物質、放射性物質などによって、よごされること、また、よごすこと。

とある。 

 

 

 「衣食住」、生活に欠かすことのできない衣服が、現代の「汚染産業」のひとつといえるまでになってしまったことを残念に思う。

 捨てた衣服が埋立地に行けば、半永久的に残り、燃やせば、二酸化炭素が発生し、燃やし方によってはその他の有毒ガスも発生する。そう指摘されれば、「汚染産業」といわれても仕方がないのかもしれない。 

 政府が宣言した「2050年のカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現」を反故にするようなものだし、それが巡り巡って自分たちの生活の脅威になるのであれば、何が良くて、何が悪いのかさえもわからなくなる。

 グリーンピースは、まずは自分たちでできることとして、「新品を買う代わりに、古着を選ぶ」、「友達と服を交換する」など、いくつかのアイデアを提案し、業界には「サーキュラー・エコノミー」を推奨する。 

www.greenpeace.org

 

 

 ファッション業界も危機感を募らせ始めているのだろうか。WWD Japanが来月12月1日に、“サステナブルなファッションの未来を共につくる”と題した「WWDジャパン サステナビリティ サミット第1回」を開催するという。

 そのサミットの第3部では「服の廃棄物問題に対して若手研究者はどんな解決方法を考え未来を見ているのか?」をテーマにした対談も予定されているそうだ。WWD Japanによれば、この対談にユナイテッドアローズの栗野宏文上級顧問が登壇するという。 

www.wwdjapan.com

 

言い訳 ぬるま湯につかる 

 WWD Japanに「なぜ日本のファッション業界は遅れている」と問われた、その栗野氏は、「新しいものを作って買ってもらわなければ商売にならないよ」とか「エコ素材はコストが上がってしまう」とか、ネガティブ要素ばかりを考えているのが原因でしょう」と答える。

しかしそれらは言い訳に過ぎません

日本では世の中で新しいことに挑戦する時に「できない理由」を先に挙げる傾向がある。でも、それでは世の中は変わらない。この問題はやるかやらないかなんです。 (出所:WWD Japan)

 

 世界には成功先例がたくさんある。国内にだってユニクロのようなベストプラクティスがある。それにも関わず、できない理由ばかりを挙げる....

 言い訳は、そうした良い事例に対して目を閉じることであり、常に別の言い訳を準備することなのだろうか。それがまかり通れば、ぬるま湯につかっているのと同じこと。とどのつまり「茹でガエル」になるようなものだ。 

 

二者択一 シンプルに考える 

 WWD Japanは、栗野氏に「サステナビリティは企業活動を前進させるエンジンとなりうるか」との質問がぶつける。

捉え方次第でしょう。縛りがあると出来ないという人もいるでしょう。しかし、問題解決をすることで人々は進歩してきました。真剣に取り組めば必ず答えはあります。

出来るか出来ないかではなく、やるかやらないかです。 (出所:WWD Japan)

 

 結局は、できない理由をあげることは、単にやりたくないと言っているのに等しいということになる。

 

 

 できない理由が、「問題」とか「課題」であって、「問題」をひっくり返すと、それで解決に向かうし、成功につながる。問題は難しく定義しないことだ。

 

 「機会損失になると勘違いして実需以上に作るから、商品が余り在庫になる。在庫になるから無理に売る。それでも余るから廃棄する」。

 

f:id:dsupplying:20200920145503j:plain

 

 無駄を作らない、無理に売らない、作りすぎない、廃棄しない、まずこれらが徹底されれば、もっと素敵な服だって作ることができるのかもしれない。

 事実、ムダを徹底的に排除したトヨタは様々なデザインと色のクルマを多品種少量に作ることができるようになった。

 

不易流行 サステナビリティを流行にしない

 「もったいない」の精神がDNAに根付いている日本人は、その気になれば環境先進国になれると思いますと栗野氏はいう。

ただ、サステナビリティを流行りにしてはいけない

電気自動車に乗れば良い、オーガニック素材の服を着れば良い、ではなく暮らしの全てにおいて地球環境と結びついていることをみなが自覚して、努力することが大事です。 (出所:WWD Japan)

 

 努力というと少し重々しい。暮らしと自然は密接につながっていることを理解し気にかけ、正しい選択をするということなのかもしれない。それは仕事を含め日常生活全般について言えることなのだろう。

 そんな心構えが身につけば、2050年のカーボンニュートラル、脱炭素社会だって実現できることになるのだろう。

 

f:id:dsupplying:20201116123405j:plain

 

コロナ渦 あきらめるべきこと、あきらめないこと。スパイバーの野望から学ぶ

 

 ようやく米国大統領選の結果が判明したようだ。バイデン前副大統領が306人の選挙人を獲得し、それに対しトランプ大統領は232人、大差がついたという。

 トランプ氏の演説での発言が「バイデン氏が後継になることを初めて認めたようだ」との見方をロイターが伝えたという。日本経済新聞によると、選挙結果が正式に確定すれば、トランプ氏が2024年の大統領選に再出馬を表明するとの観測も浮上しているという。

 

www.nikkei.com

 

 諦めが悪いようだ。選挙というルールに則って選ばれた大統領が、その選挙結果が自分に不利な結果となれば、受け入れずに自己主張を続けることに疑問を感じていた。身勝手過ぎないだろうかと。ようやく鎮静化かと思えば、次回と口にする。

 一国のリーダーの言動は良くも悪くも社会に何らの影響を残すものだ。早くこの問題が適切な方向に収束されていくことを願うばかりだ。

 

 

 

 失敗は人類の重要な知見

 諦めが悪くても、結果が良い方向に進むのであれば、それは応援したくなるものだ。

 Spiber(スパイバー)を起業し、 人工クモの糸の開発に成功した関山和秀氏はその一人のだろう。その関山氏に「MUGENDAI」がインタビューする。

 

僕は、あきらめの悪い人間なので、最後の最後まで粘って突破口を探します。それでもだめだったらしょうがない」。

  起業してからブリュード・プロテインを実用化するまでに約12年もの時間がかかったという。「いろいろと紆余曲折があったと推察します。どのように対処されてきたのでしょうか」とMUGENDAIに問われた、関山氏は、

「ネガティブな感情に足をすくわれないよう、常に冷静に「この状況をどうすれば切り抜けられるか」に集中していました」と答える。

 先が見通せないと苦しい思いをしたりするが、この心構えがあるからこそ、12年もの間、目標に集中し続けることができたのだろうか。

スパイバーのスタートの場となった先端生命科学研究所の研究室では、失敗しても「ナイストライ」と言ってもらえるカルチャーが醸成されていて、失敗への免疫が育まれていたことも大きい。

失敗なんかない。うまくいかない1万通りの方法を発見しただけだ

エジソンの名言じゃありませんが、私の失敗も人類という規模で考えれば、将来同じ課題に取り組む人たちにとっての有用な知見になる。 (出所:MUGENDAI)

 

www.mugendai-web.jp

 

良き理解者を得る

 明確な目標があるからこそ、目の前に現れる問題を一つひとつ丹念に解決していくことができるのだろうか。また、目標があるから、よき理解者が現れ、協力をしてくれるのかもしれない。

アパレル領域においては、「環境分解」される素材づくりを目指しています。たとえば、洗濯排水から海に流れる化学繊維由来のマイクロプラスチックは、年間50万トンとも言われています。

多くのアパレルメーカーやブランドは、この課題に真剣に取り組もうとしています。原料を枯渇資源である石油に頼らず、環境負荷の高い動物にも依存せず、海洋を含めた環境分解性を持った新素材を開発し、アパレル製品に活用していくことで、地球環境の保全において大きな役割を果たしていけると考えています。(出所:MUGENDAI)

 

 関山氏は、「ムーン・パーカ」の製品化に尽力したゴールドウインの渡辺貴生社長、カットソーを共同開発した「sacai」のクリエイティブディレクターである源馬大輔氏、パリのオートクチュールコレクションでブリュード・プロテイン素材を使用した作品を発表した中里唯馬氏を協力者の名としてあげる。

 

長期的ロードマップに賛同していただけないと、一緒に共同開発は進められません

 いよいよ来年2021年からタイの工場が稼働し、ブリュード・プロテインの量産が始まるという。2022年には、米国でも生産開始となる予定だ。

 サステナブルな素材が本格的に市場に登場するようになるのだろうか。

 

dsupplying.hatenablog.com

 

時間がすべてを解決する

 コロナがまた拡大を始め、先がなかなか見通しにくい。それに加えて、脱炭素社会の実現とか、何か社会が大きく変化しそうなニュースが増えれば、なおさら先が見通せない。

 

「時がたてば分かるだろう」

 トランプ大統領が13日、ホワイトハウスで行った新型コロナに関する演説でそう話したという。そうなのかもしれない。結果はどうあれ、あとは時がすべてを解決してくるかもしれない。

 

もっと大きな視点で俯瞰すれば、私の人生における成功や失敗など、宇宙の歴史の中からみたら誤差にすぎません(笑)。極論ですが、海と山さえあれば、自分で食料を調達して生きていけると思っているので、もし事業が失敗しても、それで人生が終わるわけじゃない。そんな考えでいると、チャレンジもしやすくなるように思います。 (出所:MUGENDAI)

 

 このくらい楽観的に考えることができれば、乗り越えられない問題はないのかもしれない。

 

f:id:dsupplying:20201115103624j:plain

 

 

米企業に学ぶ「リーン・マネジメント」 脱炭素社会実現に活かすために

 

 米GEが火力発電から撤退すると聞いたときは少々驚いた。GEの祖はトーマス・エジソンだ。彼が火力発電で電気をおこし、白熱電灯を灯したことで電気の時代の扉が開いた。もう150年近い前のこと。今では誰もが電気を使るようになった。エジソンのおかげなのかもしれない。

 GEによれば、米ニューヨーク州北部に位置するスケネクタディという町で、エジソンが発電機の製造を始めたことで、この地が電気発祥地と呼ばれることになったという。GEは祖業のひとつから撤退することになったが、発電機事業自体は、130年以上前からこの町の工場で続いているという。 

 

 

GEが採用した「リーン・マネジメント」

 GEがこの工場の「リーン方式」によるカイゼン活動、経営改革を紹介する。この内容を誇らしいと思っていいのか、複雑な気分といっていいのかよくわからない。

 「リーン方式」とは、他ならぬ「トヨタ生産方式」のことで米国で昇華したといわれる。

 GEスケネクタディ工場に導入された最新鋭の設備が投入された工程では改善がみられ生産量が増加したというが、それはさに新たな問題を発生させることになったという。結局、リードタイムや在庫の問題解決にはならず、売上が伸びることもない。

事実、トヨタ生産方式を実現した大野耐一は、こうした「量産の無駄」を製造における「最大の罪」と表現しています。 (出所:GE Reports)    

「作業場の設備を撤去することで、「5S」(整理・整頓・清掃・清潔・躾)として知られるもう一つのリーン原則に焦点を当てることが可能となりました」

 

 「リーン方式」の考え方が、米国産業界に取り入れられていることは知ってはいたが、こう具体的に書かれると、日本の製造業が競争力を失ったのもわかるよう気になる。

まずは現場の掃除からです」とアームストロングは説明します。

「現場が整理されていないと、人間工学的にも安全性の面でも問題が生じるだけでなく、その日に必要となる銅線が十分にあるかどうかも分かりません。すべてを整理整頓することで、日々の業務に必要となる工具や材料を目視して確認することができました。」

さらに、生産ラインからは個人用ロッカーも撤去することで、従業員がロッカーから自分の工具を取り出す手間を省くことができました。

「これには反論もありました」とアームストロングは認めます。「現在はワークステーションのシャドウボード(工具の形を描いた壁)に必要な工具が完備されています。すべて共用可能で、現在の新型コロナウイルスパンデミックに対応した安全・衛生措置も強化されました。」 (出所:GE Reports)

「5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)」、「ムダの排除」、「効率化の追求、徹底」が世界標準になっているとは知ってはいたが..... ここまで徹底されるようであれば、必然生産性は向上するのだろう。 

f:id:dsupplying:20201114110724j:plain

 

「リーンは生き方そのもの」とGEはいう

「リーンマネジメント」は、 GEの変革の中核的なツールであるという。

 日本から導入されたリーン生産方式は、米国企業に劇的な変化をもたらしました

数多くの経営手法と同じく、この方式にも独自の用語集やアイデアが含まれていますが、日本語で継続的な改善を意味する「カイゼン」という一つの単語に要約することができます。

カイゼンとは日常的な作業の改善に努めることを意味し、発電機の製造工場や会計事務所、家庭にさえも適用することが可能です

リーンは「複数のツールのセットではなく、もはや生き方そのものなのです」とカルプは語っています。 (出所:GE Reports)

 

 

 

リーン生産方式の主要なツールである工場の「現場視察(ゲンバ・ウォーク)」を開始しました

この観察に基づいて、GEの主力製品であるH53発電機の具体的な「バリューストリームマップ」が作成されました。

このマップは、全体的な製造プロセスを個々の生産工程にまで分解したもので、従業員とマネージャーがどの部分に価値を加え、どこにムダがあるかを特定することに役立ちます。

重要なのは、お客様がリードタイムの短縮や品質の改善、商品の値下げを求めているという点です」  (出所:GE Reports)

 「kaizen」や「genba」、「5S」など、トヨタ生産方式の重要なワードがそのまま使われていること少々戸惑うし、ここまで「カイゼン」が信奉されていることに驚く。  

www.gereports.jp

 

 アマゾンのジェフベゾス氏やアップル、ナイキ、スタバなどそうそうたる企業がこの「リーンマネジメント」を経営に取り入れていると聞く。

リーンにおいては、経営陣から従業員までチーム全員が企業文化を変えることにコミットし、継続的な改善に集中する必要があります

私たちは最初から彼らの賛同を得る必要がありましたが、それを可能にする唯一の方法は自らが模範を示すことでした。 (出所:GE Reports)

  

 

 

 日本企業の「カイゼン」力はどのくらいなのだろうか

  BNPパリバ証券市場調査本部の中空氏が、政府が、温暖化ガスの排出を2050年までにゼロとし、脱炭素社会実現を目指すことを宣言したことを、世界の潮流を踏まえた方針発表は海外からも称賛されたと指摘し、後は実行あるのみだという。そのための3つの提案を日本経済新聞に寄稿した。

 その中で、中空氏は、国内に埋もれている技術を掘り起こし、活用することであるといい、「日本の製造業は技術が衰えてしまった」「時価総額の大きい『GAFA』のような企業は日本には生まれない」などと嘆いている場合ではないという。

とっぴな発想が不足しているだけで、日本人は目の前の課題を解決する能力にたけている

二酸化炭素の排出量を減らす」「プラスチック製品を循環型のものに変えていく」といった技術改良では、日本企業は必ずや成果を出すはずだ。そういう細かい技術を日本中のあちこちから発見し、サステナブルファイナンスで資金をつけ、その改良した技術を海外に輸出するのもいいだろう。 (出所:日本経済新聞) 

www.nikkei.com

 

 少し買い被りし過ぎてはいないだろうか。GEのレポートを読んでそんなことを感じる。果たしてどこまで、目の前の課題を解決する能力が残っているのだろうか。

 突飛なことを着想する外国企業も、結局、日々の活動では、「カイゼン」のような基本的なことをしっかりやり、原理原則に従って経営されているような気がする。逆に言えば、そうした活動があるから、突飛な発想に至るのかもしれない。それはトヨタをみてもいえることかもしれないが。

 

 エネルギー関連産業での構造改革のニュースがしきりに流れる。独自技術はなく海外企業との提携する話ばかりだ。

 マイケル・ポーター、フィリップ・コトラーに、チャールズ・オライリ、そんな輸入された理論ばかりでなく、日本生まれの経営手法に回帰し、徹底的に学び直す必要があるのかもしれない。そんなことを感じた。


f:id:dsupplying:20201114125135j:image

 

コロナ経済対策と第3波の襲来

 

 第三波ということなのだろうか。新型コロナの新規感染者が過去最多となったという。警戒してきたが、急激に増えていると聞くと、警戒レベルを一段高めないといけないのかと考えたりする。新規感染者の数が「ゼロ」になる日を期待していたが、その期待も遠退く。

 政府には断固感染を拡大させない、抑え込むとの強い姿勢で挑んでほしい。折角、ここまでみなで積み重ねてきた努力が水泡に帰してしまう。政策の抜本的な見直しも必要になってきているのだろう。

尾身氏も会見で、感染者が急増する状況を示す「ステージ3」に当たると判断すれば「『Go To』キャンペーンは当然停止だ」として、経済社会活動全般を制限するよう政府に求める意向を表明。

「今が最後のチャンスだ」と感染対策の徹底を訴えた。 (出所:JIJI.COM)

 

www.jiji.com

 

 寒い季節を迎え、室内の換気や手洗いの励行と言われても、理解は出来ても心情的に厳しいものがあるのだろう。その一方で、明るく「Go Toトラベル!」みたいなCMが流れてくるとただ残念に感じる。時宜を得た対応ができないのだろうか。業界の良心、良識が問われてたりはしないだろうか。自分自身の問題と考えて、冷静に対処して欲しいと願うばかりだ。

 

 

 

 イオンの新店舗はニューノーマル「新しい生活様式」を意識する

  イオンが新型コロナの感染拡大を受けた「新しい生活様式」の浸透を見据えた店舗を出店するという。11月21日に埼玉県ふじみ野市オープンするイオンタウンふじみ野は、「Well-Being Community」をコンセプトにし、健康的で豊かなくらしに寄り添い、地域の賑わいに寄与することを目指しているという。

「新しい生活様式を意識し、買い物の際の店員や他の客との接触をなるべく抑えるサービスを重視している点だ。

ネットスーパーで注文した商品を置いておくための、冷凍、冷蔵、常温に対応したロッカーを店舗の外に設置するほか、イオンタウンふじみ野では、車に乗ったまま商品を受け取ることができる専用レーンも設ける。

 スーパーでレジに並ばずに会計ができるシステムも導入する。客が商品のバーコードをスキャンしながら買い物し、専用端末で支払う仕組みだ。両店とも換気を徹底するとともに客数を常時把握し、場合によっては入場制限も行う。 (出所:SankeiBiz

 

www.sankeibiz.jp

 

 こうしたイオンの取り組みは、新たな「公衆衛生」の姿なのかもしれない。こうした取り組みを伝え、同じよう店舗が増えていけば、自然と顧客の意識に変化が芽生えるかもしれない。無意識的にソーシャルディスタンスを保とうとするようになれば、感染予防に役立つ。

 SankeiBizによれば、イオングループ関係者は「接触を抑える新しい買い物のスタイルを受け入れる人は増えるだろう」と期待を込めているという。

 

 

 

感染防止と「Go Toキャンペーン」

 星野リゾートの星野代表が、政府の観光支援策「Go Toトラベル」について、制度設計を見直すべきだと産経新聞とのインタビューで述べたという。もともと需要が見込める連休などを対象から外し、観光地の過度な混雑を防ぐ必要があるとしたという。

星野氏は、テコ入れしなくても客が見込める土日や連休はキャンペーン対象から外すか、還元率を10%に下げるべきだと提案。「需要が平準化され(土日などの)『3密』も避けやすくなる」とした。 (出所:産経新聞

 

www.sankei.com

 

 危険が過ぎ去ったことに気づけば、人は誰もが移動を始めたりするのだろう。何も特別な喚起策は必要はないのかもしれない。星野代表も指摘しているが、そうした施策が「3密」を生み出す機会になっているのであれば本末転倒なことなのだろう。

 あまり過保護な政策はいかがなものか。

 星野代表も、「地域差はあるものの「Go To」の押し上げもあって、9月以降は昨年業績を上回る施設もある」とインタビューで述べたうえで、「政策そのものや、政府内に浮上している、来年1月末までの事業の期間を延長する案は歓迎する考えを示した」という。

 それはそうであろう。この機に乗じてという心理が起きても不思議ではない。前年実績に近いところまで回復してきているのであれば、もう出口を考えるべきではなかろうか。制度を悪用する輩のニュースもたびたび聞くようになってきた。

 

 「過ぎたるは猶及ばざるが如し」。過剰も不足もどちらもよくない。頃合いが大切だということだろう。まして、感染防止が内閣の最優先課題といい、「自助、共助、公助」が目指す社会の姿といっているのだから。このままでは齟齬が生じかねない。

 

f:id:dsupplying:20201113123309j:plain


 

米中新たな覇権争い 気候正義とコロナ渦からのグリーンリカバリー

 

 コロナが最初に確認されてからもうすぐ1年経つという。1年経っても未だ終息せず、また猛威をふるい始めている。ファイザーのワクチンのニュースに希望に感じるが、すべての人に行き渡るにもう少し時間がかかるのだろう。

 この1年、様々な経験を味わい、社会の変化を目の当たりにしてきた。あたり前であった経済活動について、少し違った視点から考えるようになった。個人の考え方にも色々と変化があったりするのであろうか。

 それぞれの国が、それぞれの方法でコロナ対策を行う。ひとつの感染症を抑え込むのだから、みなが協力し、最優先で同じ手法で対処すれば、もっと早く根絶できるのかもしれない。しかし、そうはできない。それが現実の世界なのだろう。

 

 

 

 コロナ渦からの経済再生でも同じことが言えるのだろう。経済となれば、もっとその対策内容に差異が生まれる。それぞれの国で抱える事情も異なるから仕方ないことなのだろう。

 

コロナ渦からのグリーンリカバリ

 英ガーディアン紙が「Covid recovery plans threaten global climate hopes」という記事を出した。コロナからの回復計画が気候変動に対する脅威になっているというところであろうか。

 ガーディアンは、各国の経済対策を分析し、気候変動対策にどの程度寄与しているかを明らかにする。

 脱炭素社会へ向けての動きが加速することもなく、未だ化石燃料経済に資金を注ぎ込んでいる状態だと指摘する。「再生可能エネルギー、電気自動車、エネルギー効率などの低炭素の取り組みに資金を投入している主要国はほんの一握りです」という。

 

www.theguardian.com

 

 ガーディアンによれば、多くの国が、気候変動に対し貢献する対策を計画するが、その一方で、負の影響を及ぼす対策も同時に含んでいるという。差し引き全体でポジティブな対策を施しているのは、EUとフランス、スペイン、イギリス、ドイツなどEUの主要国のみだという。

 日本、アルゼンチン、メキシコ、シンガポールサウジアラビア、ロシアにいたっては、気候変動に貢献する対策がまったく含まれていないとの分析結果だ。しかし、記事が日本を批判していることはなく、グリーンニューディール計画を掲げた韓国やカナダ、石炭政策を続けるインドを批判する。

 

 

 

世界の気候変動対策を変える力

 記事は、米国トランプ政権がパンデミックからの経済回復を口実にして、気候変動対策を撤回、化石燃料産業を保護しているとし、これ同じ傾向が、 ブラジル、メキシコ、オーストラリア、南アフリカインドネシア、ロシア、サウジアラビアなどの国でみられるという。 

 しかし、バイデン氏が米国大統領に選出されることで、コロナ渦からの経済対策「グリーンリカバリー」を変革する可能性があるという。

「これらは非常に大胆な計画であり、それは他の国への重要なサインになるでしょう。米国が、コロナ後の「グリーンリカバリー」で、中国との間で、世界的なトップ争いを始めることになる」という。

バイデン氏は再生可能エネルギーを後押しし、2035年までにクリーンエネルギーですべての電力を供給し、2050年までにゼロエミッションに到達し、次の10年間で1.7兆ドルを投資し、民間投資は合計で5兆ドルになると見込んでいます。 (出所:ガーディアン)

 桁外れの投資額に驚愕するばかり。どこまでの予算を議会で確保できるかは別問題として存在するが、それでも、ゼロ・リセットされることはないのだろう。抑制されるのは、ある程度にとどまるのが一般的な見方なのかもしれない。 

 

 

 

 一方、中国は、「2060年のカーボンニュートラル実現に努力する」と習主席が国連で公表した。しかし、中国のグリーンリカバリーはまだ開始されていない。

 地球規模での気候変動対策を考えると、GHG温室効果ガスの排出が一番多い中国の新しい計画が重要な意味を持つ。今後示される中国の計画次第では世界全体の「グリーンリカバリー」が頓挫しかねないとガーディアンはいう。中国の次の5か年計画は来年3月に公表される。

 また、ガーディアンは、グリーンリカバリーを始めることのできない国は、数百万人規模の雇用機会を失う可能性があると指摘する。「住宅の断熱材」、「ソーラーパネル」、「電気自動車の充電インフラの設置」など、特に建設業において、雇用を後押しする大きな可能性があるという。

 f:id:dsupplying:20201112103847j:plain

 

カーボンニュートラルに向けた最初の一歩とするために

 政府は追加の経済対策を盛り込んだ2020年度第3次補正予算案の編成を指示したという。時事通信によれば、21年度当初予算案と一体的な「15カ月予算」として打ち出すことで、新型コロナの影響による景気の落ち込みや雇用情勢の悪化に対応するという。

(1)新型コロナの感染拡大防止策

(2)ポストコロナに向け経済構造の転換・好循環の実現

(3)防災減災・国土強靱化の推進 

(出所:JIJI.COM) 

これらを柱として経済対策を策定するよう指示したという。

 

www.jiji.com

 

 GoToキャンペーンによる消費刺激策もいいが、そろそろ違った施策も必要ではなかろうか。コロナ渦で失業者に数が増えるばかりと聞く。雇用を生む施策も必要ではなかろうか。

 カーボンニュートラル政策に貢献する重層的な産業構造への転換につなげていく必要があるのだろう。

 

 

動き始める脱炭素社会 変わり始める選択肢

 

 東芝が石炭火力発電所の新規建設から撤退するという。ようやくというか、今頃なのかとの気もする。

 共同通信によれば、二酸化炭素(CO2)を多く排出する石炭火力は需要が減っているという。需要が見込めないものに固執し続けてきたことが不思議でならない。国策だったのか、それとも石炭依存の産業構造があって国策になったかはよくわかないが、どちらにせよ、グローバル企業である以上、無理があったということなのだろう。みなが納得する説明ができない以上、どんな理屈を振りかざしたところで説得はできない。そんなことに時間を浪費してきたかと思うと、残念なことであるし、ただ信用を棄損させるだけだったということなのかなと思ったりする。

 

this.kiji.is

 

 共同通信によれば、今後は再生可能エネルギー分野に経営資源を集中し、2022年度までに1600億円程度を投入し、再エネ事業の売上高を30年度に6500億円と見込むという。

 

 

 

再生可能エネルギー加速 IEA見通し = ロイター

 ロイターによると、IEA 国際エネルギー機関が、2020年と21年の世界の再生可能エネルギーによる発電能力が過去最高を更新するとの見通しを示したという。

 今年の全世界の発電能力増加分のおよそ90%を再生可能エネルギーが占めるまでになっているそうだ。また再生可能エネルギーは2025年に石炭に代わって世界で最大の電力供給源となり、世界の電力の3分の1を供給すると予想しているという。

 

jp.reuters.com

 

 IEAの発表を待たなくても、こうしたことは予想できたことではなかったのだろうか。何のためにマーケティング活動をしているのだろうか。自らにとって都合の良いデータを集めているようであれば何ら機能しない。

 官僚主義大企業病という言葉が思い浮かぶ。こうした悪習までが「脱炭素化」を進めることで治療されていけばいいのかもしれない。

 

ANAバイオ燃料での定期便運行を始める

 カーボンニュートラル、「脱炭素社会」と日々の生活、ライフスタイルは何か相容れないようにも感じる。しかし、意外なところから、変わり始めるのかもしれない。

 たとえば、飛行機だ。JALANAもジェット燃料を化石燃料に頼らない「SAF(Sustainable Aviation Fuel)」に切り替えていくという。ANAはすでに10月24日から、この「SAF」を使った定期便の運航を始めているという。ANAが使用する「SAF」は、NESTE(本社:フィンランド)が製造し、廃食油・動植物油脂等を原料にしているという。

 

f:id:dsupplying:20201111133833j:plain

 

 Aviation Wireによれば、今回、ANAはNESTEの「SAF」約5500トンを調達したという。国際的な第三者認証機関ISCCによるライフサイクル評価で、原油の採掘や日本までの輸送を含め、既存のジェット燃料使用時と比べて約90%の二酸化炭素(CO2)削減効果が証明されているという。

 しかし、まだ「SAF」自体の生産規模は小さく、流通するジェット燃料全体の0.02%程度で、航空会社側は安定的にSAFを確保するのが当面の課題になるという。

ANAは、LanzaTechのSAFを2022年初頭から使用する予定で、オランダのロッテルダムから輸入しているNESTEのSAFは、同社のシンガポール製油所で生産されるものに2023年以降切り替え、アジア域内での安定供給を目指す (出所:Aviation Wire

 

www.aviationwire.jp

 

 航空会社は、来年2021年以降、国際線を運航する航空機を対象に排出権購入による温室効果ガス排出削減に取り組まなければならない。ICAO 国際民間航空機関の取り決めによるものだが、排出権購入を避けるためには、「SAF」のような燃料に変更していく必要がある。

 まだ未確定なのかもしれないが、「SAF」の調達状況次第では、航空運賃にも影響が出たりするのであろうか。この「SAF」の導入如何で顧客の選択が変ったりすることも起きたりするのかもしれない。

 

 

 

カーボンニュートラルで、変わる選択肢

 気づく、気づかないは別にして徐々に「カーボンニュートラル」が生活の中に入りこんでくるのかもしれない。

 もしかしたら、近い将来、販売される住宅はZEH対応になり、断熱性能に優れ、太陽光パネルが標準装備された家で、外部電力に頼らずとも生活ができるようになるかもしれない。積水ハウス野村不動産がそうした住宅の販売を始めている。そうなれば、誰も大手電力メーカと契約しなくなるかもしれない。 

 

dsupplying.hatenablog.com

  

 カーボンニュートラル政策が進むことで、様々なところで選択肢に変化が生まれてくることになりそうだ。今までとは違った基準で、選択する機会が増えたりするかもしれない。そんな世界が近いづいてきている。

 

 

 

 米国で加速度的にEVが普及し始めるかもしれない。バイデン政権になれば、50万か所の充電設備を設置するという。そうなれば、自動車メーカの主力がEVにシフトしてもおかしくない。国内もその流れになっていくのかもしれない。EVが増えれば、ガソリン車が少なり、ガソリンスタンドの数も減るのかもしれない。そうした変化がEVシフトを加速させていくのだろう。

 

f:id:dsupplying:20201111134009j:plain

 

 ファッションの世界も例外ではなくなるのであろう。

 変化が起き始めると、社会の動きが一変し始めるのだろう。そんな時を迎えようしているように感じる。