Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

【コロナ対策と脱炭素化】 カーボンニュートラルを現実に考えるとき

 

 またコロナが再拡大し始めているようだ。北海道の新規感染者数が200人になったという。やはり冬になった影響があるのだろうか。

 「急速な感染拡大に至る可能性が高い」との話が、昨日9日の政府新型コロナウイルス感染症対策分科会であったようだ。

 時事通信によれば、分科会の尾身会長は記者会見で、「全国的にも徐々に感染が増加しているのは間違いない」と強調し、感染者が急増する状況を示す「ステージ3」に当てはまると判断すれば、休業要請や感染地域への移動自粛など「社会経済活動に制約を求める強い対策を行う必要がある」と警鐘を鳴らしたという。

 

www.jiji.com

 

 またコロナのことを気にかけなければならなくなった。気が付けば、感染者の累計が10万人を超え、いつの間にか中国の感染者数より多くになっている。

 兎に角、感染が拡大しないようあらゆる手を尽くしてほしいと願うばかりだ。

 

 

 

新型コロナ対策と経済活動

 そんな中、政府の経済財政諮問会議が昨日9日に開催された。首相官邸によれば、会議では、金融政策、物価等に関する集中審議、グリーン成長に向けた投資・イノベーションについて議論が行われたという。

 この会議での首相の発言が官邸公式ページで公表となった。首相は、発言の冒頭、コロナについて言及、

「まず、新型コロナウイルスについてでありますが、先週末には新規陽性者数が1日1,000名を超えており、最大限の警戒感を持って対処する必要があります。

現在の病床利用率は感染拡大地域でも概ね3割程度にとどまっていますが、爆発的な感染を防ぎ、国民の命と健康を守り抜きます。

このため、これまでの経験を踏まえ、地域を絞った大規模・集中的な検査、専門人材の応援派遣などの対策を先手先手で講じてまいります」 (出所:首相官邸公式ページ)

と述べたという。

 

www.kantei.go.jp

 

 首相は、コロナの発言に続き、グリーン成長について、「ポストコロナの最大の課題であります『2050年カーボンニュートラル』の実現は、エネルギー供給のみならず、我が国の産業構造や資金循環など、経済社会全体の変革をもたらすものであると考えます」と述べ、「グリーン成長を推進する国際的な議論への貢献、グリーン投資の更なる普及、コア技術への重点的な資金支援、再生可能エネルギーの主力電源化に向けた電力ネットワークや規制の改革などの論点を含め、今後、成長戦略会議において具体的な検討を深めていただきたい」と話したという。

まずは、新型コロナウイルスの感染対策に万全の対策を講じ、社会経済活動との両立を図りながら経済を回復させ、さらに、グリーン社会の実現、デジタル改革などにより、社会経済の大きな変革に取り組みます。

 (出所:首相官邸公式ページ)

 

 何よりコロナ対策、その優先順位を違えないで欲しい。

 

 

 

 当日の会議資料が内閣府の公式ページで公表となった。民間議員の他、黒田日銀総裁、小泉環境相、梶山経産相らの資料もそれに含まれている。

 

www5.cao.go.jp

 

「ビヨンド・ゼロ」の社会実装 経済産業省

 経済産業省は、これまで、産業革命以降累積したCO2の量を減少に転じさせる「ビヨンド・ゼロ」技術の確立を目指して検討を進めてきたという。この先は、「カーボンニュートラル」を成長戦略として取り組むという観点から、イノベーションの加速と技術の社会実装を見据えた対応策について検討していくという。
 カーボンニュートラルを目指す上で、水素、蓄電池、カーボンリサイクル、洋上風力などを不可欠な重要分野にあげ、具体的施策、政策を成長戦略会議で報告するという。

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(資料:内閣府公式ページ 「グリーン成長の実現に向けて」

 

 

 

経済社会のリデザイン(再設計) 環境省

脱炭素ライフスタイルへの転換による需要創出」と小泉環境相はいう。

 

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(資料:内閣府「グリーン成長に向けた投資・イノベーションの提案」

 

 その背景には、国内の排出量の約6割が、ライフスタイル(住宅、移動等)に起因していることによるという。それらの可能な限り早期の脱炭素化が重要だと指摘する。

● 脱炭素ライフスタイルへの転換で、個人消費の誘発と、新たなグリーンビジネスの機会創出(脱炭素製品・サービスの製造・提供へ)
● 住宅関係の省エネ機器・製品、電動車は、国内市場のみならず、世界市場への展開も期待 

(出所:内閣府「グリーン成長に向けた投資・イノベーションの提案」)

  

原発再稼働を求めた経団連

 経団連は、「2050 年カーボンニュートラル」を目指し、また、来年開催されるCOP26 も見据えつつ、取り組みを抜本的に強化する必要があると指摘する。

 経団連から示された提言は、経済産業省のそれに近い。「脱炭素化を実現するための電化・水素化、CO2の固定・再利用等のコア技術の開発・普及を加速し、イノベーションで世界をリードしていく」といい、それがわが国流のグリーン成長、コロナ禍からのグリーン・リカバリーになるという。

 また、環境省が推奨する分散化電源にも言及、「屋根置き太陽光パネルや蓄電池、さらにはEVなどをデジタル技術で結び、エネルギーの地産地消を可能にするマイクログリッドの実現や、それによって得られるデータの利活用など、電力DXの実現に向けた投資も加速する必要がある」と指摘し、「分散型電力システムの構築は、エネルギー効率の向上はもちろん、地方創生の観点からも有意義である」という。

 その一方で、原発についても以下のような提言を出す。

既設原子力発電所の再稼働が進まない現状で、大手電力会社の投資は専ら原子力の安全対策費用に回ってしまっている。合理的な規制のもと、安全性が確認された原子力発電所の再稼働を推進すべきである。再稼働によって電力会社の投資余力が増すことも重要だが、それ以上に、脱炭素社会の実現を真剣に考えれば原子力の活用は不可欠である。

足元、原子力産業を支える技術・人材の維持・確保は限界に近付いている。リプレース・新増設を含め、今後の原子力利用の方針を速やかに明確化することが求められる。

(出所:内閣府「グリーン成長の実現に向けたイノベーションと投資の創出」

 

 

 

 大方針として「脱原発」とするのかなど早急にまとめる必要があるのだろう。未曾有の事故を起こし、その災禍を苛まれてきた事実を考えれば、期限を切っての利用というのが現実ではなかろうか。ドイツは「脱原発」「脱石炭」で動き出している事実もあるのだから。

 

現実的に考える

 米国は大統領が変れば、今までの遅れを挽回するかのように、4年で210兆円という大規模な投資を行ない、強力に脱炭素化を進めることになるのだろう。

 再生可能エネルギーを強力に推進、また、自動車についてはEV化を後押しするため、EV充電施設を50万カ所設けるインフラ整備を急ぐという。危機的な気候変動、地球のことを考えれば、現実的な政策ということなのだろうか。

 

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 NHKによれば、経団連の中西会長は入院先の病院からオンラインで会見を行い、「感染拡大で、経済成長のためにやるべきことのスピードが早まっている。政府と連携しながら戦略の共有を図っていきたい」と述べたという。

 そうであるならば、あまりイノベーションだ、DXデジタルトランスフォーメーションなどといわず、こだわらずに、まず今できること、やれることをやるべきではなかろうか。イノベーションを標榜するあまり、ガラパゴス化した技術革新が起きたりする可能性もあろう。それでは今までの成長戦略と何ら変わりないことになってしまう。

 国境を越えて、技術開発に連続性が生まれれば、必然どこかでイノベーションが起きるのだから。

 国際社会と共同歩調で進めると同時に、国内産業を発展させていくことが肝要なのではなかろうか。

 もう、同じ轍を踏んではほしくない。

 

 

「関連文書」 

dsupplying.hatenablog.com

 

r.nikkei.com

 

「参考文書」

www3.nhk.or.jp

自国第一主義の終焉と無常なる世界

 

 常に変化は起きるものなのだろう。米国の大統領選ばかりでなく、国内にもそんな動きがある。NHKによれば、経団連が「業界再編も含めた電力産業の構造改革」が必要だとする提案をまとめ、9日に開かれる政府の経済財政諮問会議で表明する方針だというのだ。また、再生可能エネルギーを主力電源とする必要性も打ち出す方針だという。

ただ、太陽光や風力など再生可能エネルギーの導入には、天候によって発電量が大きく変動するため、送配電網の増強や大型の蓄電池の開発など巨額の投資が不可欠で、既存の電力会社の再編を含めた構造改革が必要だと提言することにしています。 (出所:NHK

 

 今までは何だったのかと思ってしまうが、こうした変化も世界の動きを見れば、ごく自然なことなのだろう。少しばかり遅いかなと印象はあるけれども。世界は思った以上のスピードで変化を続けているということなのだろう。

 

 

 

コロナ渦と自国第一主義の米国から学んだこと

  一度変化が起きると望む望まないにかかわらず、もう後戻りすることはできなくなるということなのであろう。そのことをこのコロナ渦で思い知らされたような気がする。

 古き良き時代を懐かしんで、それを擁護しようとすれば、内に籠ることになる。外界との交流を遮断し仮想の敵とすれば、内の結束は高まる。生じる不平不満を外界に向けさせれば、それで発散されるが分断が生じる。

 外界では自然の流れに従って、新しいものが生まれ、変化することで少しばかり理想に近づいてく。内に籠る人々は取り残され停滞し、両者の溝は深まるばかりだ。内に籠るばかりで、外界を敵視したままであれば、外界の変化に気づけないものなのかもしれない。

 そんなことを米国から学んでいるのかもしれない。米国を真似て何か特定の産業を保護する政策が軋轢になったり、成長機会の損失になっていたのだろう。

 箍が外れれば、人はひとりでに前に進んでいくのかもしれない。その自ら外せる人もいるだろうし、誰か他の人がそっと外してあげなければならないときもあるのだろう。

 箍とは古ぼけた常識や固定概念なのかもしれない。

 

 

 

自国第一主義の終焉 変化を選択したアメリカ 

 米大統領選で当選確実になったバイデン前副大統領は、脱炭素社会の実現に向け、大規模な投資を行う方針だと産経新聞が伝える。先日正式に離脱した「パリ協定」に、就任初日に復帰するという。自国第一主義からの決別、変化の象徴にでもなるのであろうか。

 産経新聞によれば、バイデン氏は、太陽光や風力発電などのクリーンエネルギーを振興するため、4年で2兆ドル(約210兆円)の資金を投入するという。原油天然ガスなど化石燃料関連の産業を重視していたトランプ政権から大きな転換となる。

日系自動車メーカーの米国市場戦略に関係しそうなのが、電気自動車(EV)などの環境対応車の支援策だ。連邦政府による調達を後押しするほか、EV充電施設を50万カ所設けるインフラ整備を急ぎ、米国市場のEV移行を促しそうだ。 (出所:産経新聞

 

 一方で、国内の製造業を手厚く保護する政策は維持となるようだ。4年で4千億ドルを投じて米国製品の調達促進策「バイ・アメリカン」を推し進めるという。トランプ政権の政策を転換せず維持ということであろうが、急激な変化を求めなかっただけのことなのかもしれない。微妙なところで変化を急いでも反発を助長しかねないとの判断があるのだろか。

 

www.sankei.com

 

無常なる世界とミニマリスト

 ふと、鴨長明方丈記を思い出す。「行く川のながれは絶えずして、しかも本の水にあらず。よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて久しくとゞまることなし。世の中にある人とすみかと、またかくの如し」。長明が書き起こした無常の世界とでもいうのであろう。 

 今までは、少しばかり「よどみ」にとどまっていただけのことなのかもしれない。様々な事象が泡の如く生じ滅する。その「よどみ」自体も常に一定ということはなく変化し、いつしかは川の本流に戻っていくということであろうか。

 小さな流れもそれが多く集まれば集まるほどに大きな流れとなり大河となる。その流れに乗れば、いつしかゴールにたどり着くのだろう。

 アメリカが国際社会に復帰することを喜びたいし、世界が一致して気候変動に立ち向かえばいい結果も生まれるのかもしれない。

 

 鴨長明鎌倉時代ミニマリストだったのかもしれない。政変や災禍が続いた時代になると身の回りを軽くしておきたいとの気が起きるのかもしれない。

 

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「関連文書」

dsupplying.hatenablog.com

 

 

「参考文書」

www3.nhk.or.jp

 

 

バイデン氏勝利宣言 米国初の女性副大統領誕生へ 再び「可能性のある国」へ

 

 米大統領選がようやく決着した。バイデン前副大統領が、ラストベルトの一角ペンシルベニア州を制し、勝利宣言したという。よかったと素直に思った。

 「この厳しい悪夢の時代に今ここで終わりを告げよう」とバイデン氏は勝利宣言の中で述べる。早速、勝利宣言の全文を読んでみることにした(日本文のみ)。トランプ時代に進んだ「分断」によって傷ついた社会を修復しようとの強い意志が読み取れる。等閑にされ、世界最悪になったコロナに対峙していく姿勢を鮮明にした。場合によっては今度は経済よりコロナ対策が優先されるようになるのかもしれない。そして、宣言の最後に、子どもの頃に祖父や祖母に言われた言葉で締めくくった。「ジョー、信念を貫け」。「ジョー、信念を広めよ」。信念を貫く大統領になるのだろうか。

私は驚きを隠せない。今晩、我々はこの国、町、あらゆる場所に、世界に広がる、ほとばしる希望の喜びを目にしている。明日への新たな信念と、より良き日を迎える希望だ。あなたが私に与えてくれた信頼自信謙虚に受け止める。

分断させようとするのではなく、結束させる大統領になることを誓う。 (出所:日本経済新聞

 

 

 「私たちは国民のための政権だ。米国の魂を立て直す。米国の屋台骨を建て直し、中間層を再構築し、米国を世界から再び尊敬される国にする」とバイデン氏は続けた。やはり行き過ぎた政権の次には、「国民のための政権」というところに帰着するのだろうか。

 そして、自分の家族を紹介し、副大統領となるカマラ・ハリス氏を紹介し、一緒に働けることは光栄なことだという。

「彼女は女性かつ黒人で南アジアの祖先を持つ移民2世で初めて米国の国政選挙で選ばれた人物だ。何年も懸命に戦ってきた人がいるなか、ずっと先延ばしになっていた。だが米国は再び、道徳の弧を正義の方向へと向けた」とバイデン氏は語る。

 トランプ米大統領に投票した人々は今夜、落胆しているだろう....

暴言をやめて冷静になり、もう一度向き合い、双方の主張に耳を傾けるべきだ。前に進むために、互いを敵とみなすのはやめなければいけない。私たちは敵ではない。私たちは米国人だ。 (出所:日本経済新聞

www.nikkei.com

 

 「今や選挙戦は終わった」、バイデン氏はそういう。そして、「私たちの仕事は新型コロナを制御することから始まる」といい、「ウイルスを制御下に置くまでは、経済を修復し、活力を取り戻すことはできない」。「孫をこの手に抱いたり、誕生日や結婚式、卒業、あらゆる人生で最も貴重な瞬間を味わうことはできない」とコロナと戦うという。

人々の意志は何か。私たちの使命は何か。私は、米国民が私たちに、品位と公正の力を導くことを求めたと信じている。私たちの時代の大きな戦いのなかで、科学と希望の力を導くことを求めた。ウイルスを制御し、繁栄を築き、あなたたちの家族の健康を守るために戦う。(出所:日本経済新聞

 

 そして、さらに「この国の人種的平等を達成し、構造的な人種差別を根絶するために戦う。環境を守るために戦う。品位を回復し、民主主義を守り、この国のすべての人に公正な機会を与えるために戦う」と力強く戦っていく姿勢を示した。

 

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  バイデン氏の圧倒的な勝利とはならなかった。日本経済新聞によれば、バイデン氏の得票数は7400万票台に達し、08年大統領選のオバマ前大統領(6949万票)を超えて史上最多を更新している。一方、トランプ氏も7000万票を超えて前回を上回る票を集めたという。これまでの経済の実績やその他の政策でも評価があったのだろうか。前途多難なのかもしれない。 

 

 

 バイデン氏が当選確実になったことで、米国で初めての女性副大統領が誕生することになる。

 カマラ・ハリス氏、「障壁を打ち破った。私は女性として初めての副大統領だが、最後ではないだろう」と述べたという。

何世代にもわたる黒人女性に、思いをはせる。

この国の歴史を通じ、アジア人や白人、ラテンアメリカ人、そしてネーティブアメリカンの女性が、きょうこの瞬間への道を切り開いた。

平等と自由、正義のために戦い、犠牲を払ってきた黒人女性はあまりにも過小評価されてきた。

だが、それと同時に自分たちが民主主義のバックボーンであることも証明してきた。 (出所:日本経済新聞

 

「私は女性として初めての副大統領だが、最後にはならないだろう。今夜、これを見ている全ての小さな女の子たちが、「Possibility」可能性のある国であることを知ったからだ」

 この言葉に心をうたれる。

 そして、「パンデミックに打ち勝ち、経済を再建し、社会における人種差別を根絶し、気候変動と戦う大変な仕事だ。今後の道のりは容易ではない。しかし、米国は準備ができている。私とジョーも同じだ」と述べたそうだ。 

www.nikkei.com

 

 良くも悪くも米国の影響力は大きいのが紛れもない事実だろう。それが回りまわって社会の雰囲気を作ったりもするのだろう。

 この先何が起こるかは予断を許さない状況のかもしれないが、少しばかり希望みたいなものを感じている。

 

コロナ渦にあって、なぜトヨタやユニクロは強いのか

 

 トヨタが中間決算を発表した。この中間決算の発表の場に豊田章男社長が出席したという。トヨタイムズによると、トヨタの社長が年度の途中で決算説明会に出るのも2002年以来。今回の社長出席は“異例”のものという。しかし、決算内容、今後の見通しとも悪くはない。

 5月に発表した年間の営業利益見通し5000億円を早々に達成し、2021年3月期の連結業績予想を上方修正したという。売上高は5月の当初予想を2兆円上回る26兆円(前期比12.9%減)とし、営業利益は何と8000億円も上積みし1兆3000億円とした。

 

toyotatimes.jp

 

販売回復 ただ必死に自分たちの「仕事」をしただけ

 車の底堅い需要とでもいうのだろうか、4 - 6月期、前年比69%減に落ち込んだ販売台数が、7- 9月期には前年並みにまで回復、来年1 - 3月期に前年を上回る数字に回復するとの見通しになっている。

 コロナ渦で影響を受け、右往左往する企業が多いというのに、数字だけを見えば驚愕の内容だろう。

「お客様の1台が私たちの工場を、日本経済を動かす。その1台1台を積み上げるために生産も販売も必死になって自分たちの「仕事」をしたと思います。それが急速な販売回復につながりました」と 豊田社長は語ったという。

 

 

 

 トヨタイムズによると、会見で早々に「中間決算に初めて出席した理由を教えてほしい」という質問が出て、豊田はこう答えたという。

コロナ危機という「有事」であるということで出席しております。

特に有事の際は、「仕事」で貢献することが大切だと思っております。皆が「仕事」をすることによって、雇用を守り、利益をあげ、そして、税金を納める

これが国家を支える基幹産業としての役割・責任だと考えています......

当初、通期で見通しを出した時の想いにも通ずるのですが、基準となる計画に対して、本当に、仕入先、販売店、従業員が頑張って、「何かもっといい方法はないか」「もっと皆を元気にできないか」「我々ができることはまだあるのではないか」と前を向いて頑張ってくれている人たちに、この決算発表で感謝を伝えたかったと思います。

今もコロナ危機と闘い、苦しみに耐えながら、懸命に生き抜こうと努力されている方がたくさんいることは存じ上げております。

まだまだ中間、折り返し地点ではありますが、何とか皆でこの後、第3、4クォーターも頑張っていくという決意をこの場でお伝えしたかったということもございます。 (出所:トヨタイムズ)

 

 どの企業も業績回復に必死になるこの苦境にあって、とても新鮮に感じる。

「皆が「仕事」をすることによって、雇用を守り、利益をあげ、そして、税金を納める」

 中堅社員になりたての頃、トヨタ生産方式を学んだ研修で最初に嫌になるほど叩き込まれる「会社の使命」を、淡々と豊田社長が語られることに少しばかり驚くし、これがトヨタの根幹にあることに改めて思い知らされる。

 奇策を用いることなく、粛々と、淡々と自らの強みの「カイゼン」という仕事をしただけということなのだろうか。

 
toyotatimes.jp

 

「成り行きではない」第2四半期決算

 そして、豊田社長はこの結果は、「成り行きではない」と強調したという。

「本日発表いたしましたトヨタの数字はこうした多くの方々の頑張りに支えられた結果です。決して、成り行きのものではございません。すべての関係者の皆様に改めて感謝を申し上げます」 (出所:トヨタイムズ)

 この感謝の言葉を伝えるために中間決算の場に出席されたということなのだろうか。

 

 

 

「世界中すべての消費者に感動してもらう」そのためにユニクロはラディカルを追求する

 このコロナ渦にあって、ユニクロも元気がある会社のひとつなのであろう。このコロナ渦がユニクロを大きく飛躍させようとしているように見える。それとも、ユニクロが目指していた世界がコロナ渦によって早まってやってきただけのことなのだろうか。

 ユニクロに注目が集まれば、それだけ事例分析する記事も増える。

マーケティングの常識が揺れている

新型コロナウイルス下で消費者は商品の本質を見極めようとしており、これまでの商品開発や広告戦略が通用しなくなってきた。 (出所:日本経済新聞

 

 日本経済新聞は、ユニクロマーケティングを担うジョン・C・ジェイ氏にインタビューした日経MJの記事を紹介する。

 そのジェイ氏は、「ユニクロは世界で最もラディカル(急進的)なブランドです。私がこれまで仕事をしてきた多くのブランドの中で、最も急進的です」という。

ユニクロの一般的なイメージといえば、シンプルでベーシックなデザインの服ばかり作り、むしろ保守的なブランドでしょう。しかし、インフルエンサーといった一握りの人に選ばれる服を作るのは、簡単です。

世界中すべての消費者に感動してもらうというユニクロの発想こそが、実は過激で急進的なのです。 (出所:日本経済新聞

 

r.nikkei.com

 

 「この2年間でマーケティングに起きた変化は過去50年間よりも大きい」とジェイ氏は語る。

「例えば、気候変動や国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)への企業の取り組みが求められ、消費者の環境意識なども大きく変化しています」と指摘し、「欧米企業などは真剣に取り組んでいますが、日本にはまだ伝わっていない。世界と日本で温度差を感じます」と語る。

 確かに柳井さんはしきりに「サステナブルはすべてに優先する」と口にする。

 

dsupplying.hatenablog.com

 

 また、ジェイ氏は、「多くの企業の問題として、ブランディングマーケティング顧客の信頼を得るための投資として利用していないことがあります」という。「長期的なマーケティングの効果が理解されていない」ともいう。

マーケティングで得られる)信頼は、単なる製品よりも深いものです。短期的な意思決定はリスクを避けがちにもなります。 (出所:日本経済新聞

 

 

 

 ことアパレル関連となると、「マーケティング」の切り口で語られがちだが、突き詰めれば、やはりトヨタと同じように、ただ必死に自分たちの「仕事」をしているだけのことなのかもしれない。言葉の表現に違いはあっても、「仕事」をするということが、他の誰かの幸福とか、感動につながっているのかもしれない。

 それがお客様であったり、従業員であったり。その感動の大きさが「売上」になり、「利益」という結果になっただけのことなのかもしれない。

 

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ニューノーマルな生活で変わり始める「豊かさ」 

 またコロナが拡大し始めているようだ。これから寒い冬に向かうだけに少しばかり心配にもなる。この先、私の暮らしに何か影響があるのだろうか。

 意識するしないに関係なく、知らず知らずのうちに「ニューノーマルな生活」を取り入れてきたような気がする。コロナが長引けば長引くほど、それが生活の当たり前になっていくのだろう。

 消費行動に変化があれば、企業はマーケティングをやり直して、次の施策を考えたりするのだろうか。

「商品の主役となるのは『お値打ち』ではなく、『シンプル』さだ」と日経ビジネスは指摘する。何か、ユニクロと相通じるものがありそうだし、ユニクロの成功があるからそう考えるのだろうか。

 

business.nikkei.com

 

例えば『散らかす(clutter)』という言葉があるが、散らかった生活であるべきではない。

これからはシンプルで、なるべく散らかさない生活を人々は求めていくのではないか (出所:日経ビジネス

 

 家で過ごす時間が増えれば、こうした生活に変わっていくのは自然な流れなのかもしれない。

 

 Retail Futuristの最所あさみ氏は、「こんまりさんがアメリカで大ブレイクしたのも、「片付ける」という面倒な作業に精神性を付加することで自分と向き合い、真の豊かさと向き合うきっかけに昇華したことが大きかったのではないか」という。

 

note.com

 

 ここ最近の社会での変化が、人々の心理に影響していても何ら不思議はないのだろう。「豊かさ」を感じる対象が変わりつつあったりするのだろうか。

 

 最所氏は、「大金持ちになるために競争するよりも、ゆとりを持って一日一日を過ごし、日々の満足度を高めていきたい」という。

これから「もっと稼ごう」の梯子を降りて「もっと豊かに暮らすには」を考えはじめる人が増えていけば、身の丈にあった「ていねいな暮らし」が自分にとってのラグジュアリーだと感じる人も増えていくだろう。
暮らしを自分の手で営む喜びこそが、日本的な精神として他の文化圏に発信していくべき至宝なのではないかと思うのだ。

(出所:最所あさみ氏note「「ていねいな暮らし」は、庶民による庶民のためのラグジュアリー」)

 

 日々の暮らしも、生活の糧の仕事も「ていねい」をもっと大切にしていくべきなのかもしれない。

 

 

「関連文書」

dsupplying.hatenablog.com

 

足踏みなのか、循環型経済「サーキュラーエコノミー」の未来

 

 脱プラを進めなければならない。気がつけば、海も陸上もプラごみばかりになってしまっている。

 循環型経済「サーキュラーエコノミー」がメガトレンドになり、脱プラ社会はそこから始まるようように語られる。多くのグローバル企業が率先、推進し、今では国内企業もこの動きに加わり、国も循環型経済への移行を目指すようようになった。

 

 

 

サーキュラーエコノミーとエレン・マッカーサー

 2010年、一人の英国人女性が財団を立ち上げ、「サーキュラーエコノミー」を推奨し始めた。

 デイム・エレン・マッカーサー、エレンマッカーサー財団の創設者である。

 

www.thetimes.co.uk

 

 2005年、彼女はまだヨットに乗り海の上にいた。そして、その年の2月7日、ヨットの世界最速単独世界一周の世界記録を更新した。28歳の若さであったという。

 彼女の記録は、71日と14時間18分33秒、27,354海里(50,660 km)をカバーした世界記録だという。彼女はこの航海で気づきがあったという。

At sea, what you have is all you have, stopping en route to restock is not an option and careful resource management can be a matter of life or death....

My boat was my world, I was constantly aware of its supplies limits and when I stepped back ashore, I began to see that our world was not any different.

I had become acutely aware of the true meaning of word ‘finite’, and when I applied it to resources in the global economy,  I realised there were some big challenges ahead. 

(出所:エレンマッカーサー財団) 

 

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(写真:Wikipedia Ellen MacArthur on her arrival in 2005

 

 それから10年あまり、2018年にはスイスダボスで開催された「世界経済フォーラム」に参加していた。2025年までに、100%再利用や堆肥化可能なパッケージの使用に取り組む主要なブランドのリストとその目標を「New Plastics Economy グローバルコミットメント」としてまとめ、発表した。

 その企業リストには、ロレアル、ペプシココカ・コーラユニリーバウォルマートなど11社の名があった。

 最終的には使い捨てプラスチックスの必要性を無くすことが目的だという。

 

 

 

New Plastics Economy グローバルコミットメントの進捗

 英エレンマッカーサー財団は11月5日、「The Global Commitment 2020 Progress Report」を公表し、2018年の世界経済フォーラムで発表した目標の2回目の進捗を報告した。

 

www.ellenmacarthurfoundation.org

 

 使い捨てプラスチックスを無くそうとする、このプロジェクトに賛同した企業全体で、2018年から19年の間で、再生プラスチックスの使用量が22%増加したという。

 ユニリーバは、リサイクル素材の使用を2018年の1%から5%に増やし、SCジョンソンやダノンでも改善が報告されたという。ウォルマートは、再生プラスチックの量を年間で0.47パーセントから9パーセントに増やしたが、ネスレはその使用率は2%のままで変化がなかったという。世界最大の消費財メーカーであるP&G プロクター・アンド・ギャンブルにいたっては、このプロジェクトに参加しないことを選択したという。

 

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(資料:エレンマッカーサー財団「The Global Commitment 2020 Progress Report

 

 この報告書でエレンマッカーサー財団は、次のように警告し、提案を行う。

・今日リサイクルできていないパッケージタイプに対して大胆な行動を取る—リサイクルを機能させるための信頼できるロードマップを作成して実行するか、それらから離れて断固として革新する。
・野心的な削減目標を設定する

 

 

 

 また、業界だけによる自発的な行動では、必要な規模とペースで変化をもたらすことはできないとし、各国政府に次のことを呼びかける。

・収集と選別に専用の安定した資金を提供するポリシーとメカニズムの確立。これがなければ、リサイクルは拡大する可能性はほとんどない。

プラスチックスの循環経済のビジョンに基づいて、国連環境会議を通じて、グローバルな方向性と目標を設定し、行動するための国際的な枠組み、条約の締結。

 

dsupplying.hatenablog.com

 

 エレンマッカーサー、決意と信念の人と呼ぶのだろうか。彼女の財団は個人が立ち上げた慈善団体のはずだが、今では国連にまでその影響力を行使する。 

 

 刃物の貝印が紙カミソリを発表

 総合刃物メーカーの貝印が「紙カミソリ™」を発表した。2021年春に公式サイトで先行販売し、一般販売は来秋になるという。価格は未定。

 使い捨てカミソリ分野においてのシェアNo.1のメーカーとしての責任から「30年までにCO2排出量の半減を目指す」と宣言したこともあり、その活動の一環として商品化するそうだ。

 

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(写真:貝印 PR Times

 

 本製品は「環境に配慮したカミソリ」という価値だけでなく、「紙を使ったおしゃれで先進的なカミソリ」として独自のポジションを築いていくと貝印は表明する。

 この発表は、「KAI Edge Museum 刃物で切り開く未来」というオンラインイベントで行われ、ゲストで夏木マリさんや冨永愛さんも参加したという。また、ゲストとコラボした製品の紹介もあり、その製品でも素材を工夫し環境に対し配慮する。

 

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(写真:貝印 PR Times

 

 脱プラに向け、こうした活動に加え、少し違ったアプローチも必要なのではないであろう。今までにないことをやろうと思えば、今までと同じアプローチではお客様の気づきにつながらないのかもしれない。

 自然や私たちが暮らす環境を守るために経済社会を変えていくには、忍耐強く、地道に活動を続け、共感を生み、理解につなげていかなければならないのかもしれない。

 

 

「関連文書」

www.wwdjapan.com

 

 

 

「参考文書」

prtimes.jp


www.ellenmacarthurfoundation.org

 

www.ellenmacarthurfoundation.org

混沌とした米大統領選 気になるパリ協定の行先

 

 米国が4日で、「パリ協定」から正式に離脱したことになったという。地球温暖化に懐疑的なトランプ大統領が昨年11月に国連に離脱を正式に通告、規定をもとに、1年後だった昨日で正式に離脱手続きが完了したようだ。

 

www.jiji.com

 

 その米国では大統領選の開票が進むが、まだどちらが勝利するかわからないという。結構、隠れトランプが多いとのニュースを目にする。ラストベルト激戦州での結果が勝敗を左右することになるのだろうか。

 

 

 

ラストベルト

 ラストベルト、「錆びついた工業地帯」。

 4年前の大統領選で初めて「ラストベルト」という言葉を知った。

  Wikipediaによれば、ボストンとワシントンを結ぶ、ボスウォッシュ回廊の西に始まり、そこから西方にウィスコンシン州東部までという。この領域の南はアパラチア山脈の炭田地帯であり、北は五大湖で、カナダのオンタリオ州の工業地帯を含み、その場所が故に製造業と重工業の中心となってきたとある。  

資源である「石炭」はウエスバージニア州南部、テネシー州およびケンタッキー州ペンシルベニア州西部と北東部で産出された。(中略)「石炭」、「鉄鉱石」などの原材料は周りの地域から船に積まれて鉄鋼業の中心となったピッツバーグなどの都市に送られた。シンシナティは石炭産業の中心地として栄えた。シカゴ、クリーブランドバッファローデトロイトおよびトレドは五大湖の主要港として栄え、鉄道で輸送可能な地域への中継点となった。 (出所:Wikipedia

 石炭産業に、鉄鋼業、さぞかし大量のGHG温室効果ガスを排出し続けてきたのだろう。

 

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 この地域が衰退した原因を、1960年代以降のグローバリゼーションと世界的自由貿易合意の拡大にあったとWikipediaは説明する。

1970年から1971年の不況に始まって、生産が国外に移転され合衆国内の製造職の数が減り始めた。国内の仕事はサービス産業に傾くようになり、また新しい種類の製造職が頭角を現してきた。アメリカの製造業の雇用数減退は北西部や中西部での工場の廃棄につながり、これを強調する「銹地帯」(ラストベルト)という別名が付いた (出所:Wikipedia

 

 古きものが衰退し新しいものにとって代わり、産業の新陳代謝が進む。それでも米国は成長し、豊かな消費生活を謳歌してきた。

 4年前に大統領候補だったトランプ氏が声高に「Make America Great Again」だと叫び、人々の感情を揺るがしたのだろうか。この地帯を思えば、悲哀に満ちた感動的なストーリーが生まれそうな気になる。隠れトランプファンが多いのもわかるような気になる。あの時、「うまいな」と思ったりもした。

 

 

 

 ラストベルトに焦点を合わせて選挙戦を展開したことはプラグマティズムのトランプ氏ならでの手法だったのかと思ったりする。そのストーリに乗っかれば、地球温暖化対策の「パリ協定」離脱に動くことも理解はできる。先鋭化し過ぎたプラグマティズムとの印象もある。

 少し穏便な方向に変化があって欲しいが、一度根付いた社会的雰囲気を変えるにはもめごとも多くなるのだろうか。少しばかり心配しながら見守るしかない。

 

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これまでの日本の石炭政策はどことなく米国の政策とタブってみえていた。政権が変わり、政策が変わった。米国でもそんな変化が起こるを期待したい。

どんな結果が待っているのだうか。暴動などが起きずに穏便に進むことを願うばかりだ。

 

 

紙製ボトルに挑戦するコカ・コーラとプラ素材メーカ 本気のサーキュラーエコノミー

 

 政府が2050年のカーボンニュートラルを宣言し、温暖化対策と自然保護の機運が高まればと願うのだが、社会が変化していくにはやはり長い時間をかけていくのが現実的なところのであろう。

 昨年のCOP25では、それまでの石炭政策が皮肉られ化石賞まで頂いていた。そのころからすれば、ポジティブな変化が起きているのかもしれない。

 海外のニュース記事を読んでみても、この宣言がインドでも報道されるし、マレーシアでは、この政策に見習うべきという解説記事も出たりしている。日本の国際的なプレゼンスの改善にもつながっていけばいいのかもしれない。

 

 

 

As Japanese Prime Minister Yoshihide Suga asserted recently: "Carbon neutrality itself is a growth strategy, and we must carry it out with all we have."

日本の菅義偉首相が最近主張したように、「カーボンニュートラル自体は成長戦略であり、私たちは私たちが持っているすべてでそれを実行しなければなりません」。 (出所:New Straits Times)

  

www.nst.com.my

 

 コカ・コーラが紙製ボトルのプロトタイプを発表

製造販売されるすべてのパッケージが、使用後に収集されリサイクルされる世界、つまり廃棄物のない世界を想像してみてください」。

 それが私たちの目標ですとコカ・コーラはいう。

 そのコカ・コーラは、紙100%で作られたボトルを作ること目指しているという。紙製ボトルは、無駄のない世界を実現するのに役立つ革新的なパッケージング技術だと紹介する。

 

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(写真:コカ・コーラEU

 

 そして、最初の紙製ボトルのプロトタイプが完成した。

 このプロトタイプはパブコの他3社の協力にて実現したという。 

「2030年までに販売するすべてのボトルまたは缶を収集してリサイクルすると同時に、未使用の梱包材の使用を大幅に削減し、100%リサイクル可能な梱包材のみを使用することを目指しています」とコカ・コーラはいう。

 しかし、まだプロトタイプは100%リサイクルできる状態にまで至っていないという。

 

 

 

「この第1世代の紙瓶のプロトタイプは、プラスチック製のクロージャーと内部にプラスチック製のライナーが付いた紙のシェルで構成されています。私たちが使用するプラスチックは、100%再生プラスチックでできており、使用後に再びリサイクルすることができます。しかし、私たちのビジョンは、他の紙と同じようにリサイクルできる紙瓶を作ることです。次のステップは、プラスチックライナーなしでボトルを作成するための解決策を見つけることです」とコカ・コーラは説明する。

 そこにたどり着くには、イノベーション、さまざまなテクノロジーの探求、そしてパートナーシップとコラボレーションへの継続的な投資が必要ですという。

 

www.coca-cola.eu

 

 近い将来、この紙製のボトルが実用化し、店頭に並ぶその日が訪れることを期待したい。 

 海外のニュースに圧倒されるばかりである。国内にもこうした革新的なプロジェクトが増えて欲しい。社会にポジティブな変化が増えることで、そういう動きが生まれてくるだろうか。

 

プラスチックス素材メーカ 本気のサーキュラーエコノミー

 国内はまだ大手企業頼みなのかなと思いながら日本経済新聞の記事を目を通す。

 

r.nikkei.com

 

 三菱ケミカル、サーキュラーエコノミーに熱心な会社のひとつだ。エレンマッカーサー財団が推進する「CE100」に参加する数少ない国内企業のひとつでもある。

 

 

 

 その三菱ケミカルの和賀昌之社長に、日本経済新聞がインタビューする。

――「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」に注力する狙いは何ですかと問われた和田社長はこう答える。

地球が危篤状態にあるなか、治療するための技術的なイノベーションを起こしたい。

(政府が掲げる)2030年にCO2を13年比26%削減をするためには石炭火力発電を止め、電気を使うのをやめ、基礎化学品のエチレン製造設備も止めれば達成できるかもしれない。

ただ、それでは社会の発展はなく、全く自慢にならない。 (出所:日本経済新聞

 

 日本経済新聞によれば、三菱ケミカルは環境対応の事業戦略を相次いで打ち出しているという。8月にはドイツで、炭素繊維のリサイクル事業者2社の事業を取得し、国内では、プラスチックの再資源化を手掛けるリファインバースにも約2億円を出資したという。

 リファインバース、産業廃棄物のリサイクルを手掛けてきた会社に、三菱ケミカルのノウハウを融合させ、効率的なリサイクルや環境に配慮した素材の設計を目指すという。

よく耳にするニュースはいつも海外での出資話ばかりだった。 国内の企業に出資したと聞くと新鮮さを感じる。

 

使い終わった漁網から再生ナイロン作る

 リファインバースのことは知らなかった。建設系廃棄物の収集運搬業から始まった企業が、再生樹脂製造事業を始め、ある会社から技術供与を受け、ナイロン樹脂のリサイクル事業に参入した。使い終わったのナイロン製の漁網を回収、リサイクルし、再生ナイロンを作るという。この取り組みの始まりは20年前に遡るという。

 そして、今、再生ナイロン「リアミド」は、アパレル業界からの引き合いも増えているそうだ。アパレル資材商社のモリトジャパンと協業しアパレル向け資材で用途開発を進めているという 。

 

www.r-inverse.com

 

 リファインバースは、日本財団が設立した「ALLIANCE FOR THE BLUE」に参加し、まずは仲間を増やしていこうということなのだろうか。

 

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  「ALLIANCE FOR THE BLUE」のキックオフミーティングに参加したリファインバースの常務取締役の言葉を日本財団が紹介する。

毎年約1万トンの魚網が海に捨てられていると言われ、その背景には廃却コストが年々上がっていることも影響していると考えられます。そこで私たちは、廃魚網を回収して再資源化することで廃却コストを削減し、資源を有効に使えないかと考えました。

魚網の原料にもプラスチックは使われていますが、プラスチックにも多種多様な素材があり、素材によって価値が大きく違う。経済合理性の面でリサイクルが難しいものも多く、生活者の価値観を変えるために訴えることや、法規制を変えていくことも課題の一つだと考えています。 (出所:日本財団

 

www.nippon-foundation.or.jp

  

 海外では当たり前に使われるようになった再生ナイロンが、国内でも動き出す。引き合いも増えたことで原料ソースの拡大、多様化の必要性にも迫られるようになったという。

当社はこれまで、廃棄漁網およびエアバッグ工程端材を主要な原料として「リアミド」を製造販売してまいりましたが、今般、ナイロン製船舶係留用ロープについても弊社の開発したプロセスを用いてリサイクル可能であることを確認いたしました。
今後、ナイロン製船舶係留用ロープを新たな原料として「リアミド」事業をさらに拡大してまいります。 (出所:リファインバース

 

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(写真:リファインバース

  

 

 

世界はひとつのつながっている 求められる国際協力 

 「7つの海という言い方を良くしますが、世界は一つの海でつながっているのです。海洋ごみ問題は、世界が抱える問題なのです」

と、日本財団の笹川会長が「ALLIANCE FOR THE BLUE」のキックオフミーティングの冒頭で話したという。 

リファインバースにしろ、彼らが参加する「ALLIANCE FOR THE BLUE」にしろ、欧米の動きに比べると活動規模が小さいようにみえる。無暗にスケールアップする必要はないのかもしれないが、東南アジアの国々と協力することはできないのだろうか。多くのプラスチックスが東南アジアの国々から漏れ出ていると聞く。

 国をまたいで協力することで、何か違った化学反応を起こり、活動が勢いづいたりしないだろうか。

 

 

「関連文書」

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