Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

社会課題って何? 経済活動のパラドックス

 

 電気はあって当たりまえで、電気のないの生活などまったく考えることができない。

 

 もう100年以上前に、エジソンが煤けた汚いガス灯を見て白熱灯の普及を目指したことは有名な話である。エジソンの着想が今日の電気のある社会のきっかけになった。エジソンの偉大な功績は白熱電球の発明だけにとどまらず、発送電を同時に行うことで、みなが等しく電気を利用することを可能にすることだった。

 しかし、エジソンのシステムでは広範囲に電気を送電することができなかった。テスラはこの弱点に着目して、大規模に電気を送電することに成功する。電気が人々の暮らしを変えた。誰もが等しくその利便性を享受することができるようになった

 

 一方で、電気の大量消費は、その先、多くの社会的な問題を引き起こすことになっていく。

 

 

 

 世界最大の石油メジャーのひとつエクソン・モービルニューヨーク州から訴訟を起こされた。

訴訟内容は、『環境破壊によるリスクを知っていたにもかかわらず、投資家にその情報を隠していたのは詐欺行為にあたる』というもの。

 

 エクソン・モービルは40年前に石油消費に環境への影響を正確に予測していたという。現在のCO2の濃度は危機的な状態で415ppm。エクソン・モービルの予測値は400~420ppm。

 

 地球温暖化の原因は石油消費だけではないかもしれないが、温暖化の影響と思われる災害が世界各地で発生している。今年のヨーロッパの熱波もそのひとつだ。

 

gigazine.net

 

 

 現在の石油消費の40%が、火力発電などの熱源用

 電気普及の弊害なのかもしれない。

 

 

 2015年9月の国連サミットでSDGsが採択された。2030年までの国際開発目標。

No.7「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」、No.13「気候変動に具体的な対策を」と定義された。 

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 MDGs開発途上国のための目標であったのに対し、

SDGs格差の問題持続可能な消費や生産気候変動対策など、先進国が自らの国内で取り組まなければならない課題を含む、全ての国に適用される普遍的(ユニバーサル)な目標です。

また、その達成のために、先進国も途上国も含む各国政府や市民社会、民間セクターを含む様々なアクター(主体)が連携し、ODAや民間の資金も含む様々なリソースを活用していく「グローバル・パートナーシップ」を築いていくこととされています。 

(外務省資料「持続可能な開発のための2030アジェンダと日本の取組」より抜粋)

 

  電気が普及し始めたのは、もう100年以上前のこと。しかし、100年経っても、まだ、電気が使えない地域があるのも事実

  

 企業の経済活動は、効果・利益を最大化するために、効率化でロスを最小化する。全体最適を目指しているが、ロスは決して”0”にはならない。必ずどこかでロスやムダが発生して、それが、あるとき、社会問題になっていく。 

 

  グローバル企業が途上国で生産を行えば、その国に就業機会を与えるが、その中に児童がいたケースもあった。

一方で、国内は空洞化して、中間層が崩壊、富の集中が起き、格差社会が生まれる。そして、世界はフラット化に向かう。

 

あのアマゾンは、世界の人々の消費に革命を起こした。誰もがその利便性を感じている。そして、世界一の大富豪を生みだしたが、一方で、物流センターで働く人々の賃金が問題視された。

 

 

 

経済活動は、一見すると矛盾だらけの世界でもある。しかし、確実に世界に暮らす人々の生活を向上させてきた。

 

 こうした矛盾の解決に、ソーシャルビジネスやNPO活動で挑戦する人たちがいる。

 

 2006年、ソーシャルビジネスを提唱したムハマド・ユヌスグラミン銀行ノーベル平和賞を受賞した。受賞理由は「底辺からの経済的および社会的発展の創造に対する努力」であった。 

 

2018年(平成30年)には、日本の芸能事務所の吉本興業グラミン銀行の総裁で社会起業家ムハマド・ユヌスとの共同出資で脱貧困と格差社会を減らす為のマイクロクレジットの会社(金融機関)のユヌス・よしもとソーシャルアクション株式会社(yySA)を創立した。(出所:Wikipedia

 

 稼げば稼ぐほど競争の世界にどんどんはまっていく。

しかし、大きな会社でたくさん働いたほうが偉い、賢い、そんな物差しに疑問を感じていた。

「町の工場の親父の哲学と大企業の社長さんの哲学を比べることはできない」。

大﨑は新たな物差しを求めて行動し始めていた。

自分の当時の問題意識とユヌスの考え方が合致し、「ユヌス・よしもとソーシャルアクション(yySA)」の計画が進んだ。

 

利益の最大化ではなく、社会問題の解決が目的、財務的な持続性を持つ、楽しみながら取り組む

 

などユヌスのソーシャルビジネス7原則を守りながら会社として初年度の黒字化を目指している。 (出所:Forbes)

  

forbesjapan.com

 

 

 貧困削減に繋がる革新的なテクノロジーの普及に取り組むNPOがある。

 

コペルニクとは、途上国の最貧層の人たちの生活を改善するため、現地に根ざしたテクノロジーを届ける非営利団体だ。

僕らが届けるテクノロジーは、ソーラーライトや、浄水器、燃料効率の良い調理用コンロ、太陽光で再充電できる補聴器など、誰でも簡単に利用できるシンプルなものばかり。家庭レベルで日々の生産性を一気に向上させ、彼らの経済的自立を支援している。 (出所:Diamond)

 

diamond.jp

kopernik.info

 

 100年以上も前、あのエジソンが提唱したのはシンプルな分散型の直流送電のシステムであった。今にして思えば、持続性のある画期的なアイデアであった。中心点にあった発電機を再生可能なエネルギーに置き換えれば、今この時代に求められている分散型のスモールグリッドとして使えるはずだ。

 

 少し立ち止まり、「賢明」に考えることが求められている。

 

イデオロギー対立が終焉し、グローバリズムが潮流となって30年の時間が経過した。経済至上主義の時代だったのかもしれない。豊かさと便利さを手にしたが、その代償として失ってしまったものも多い。モラルもそのひとつのかもしれない。

 

次の30年は、失ったものを取り戻すということになるのかもしれない。

SDGsはそうしたインクルーシブな世界を目指すことを目標にもしている。

 

(参考文献)

クラウド化する世界~ビジネスモデル構築の大転換

クラウド化する世界~ビジネスモデル構築の大転換

 
FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

 
 

 

 

「関連文書」
jbpress.ismedia.jp

business.nikkei.com

toyokeizai.net

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