Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

ポストコロナ SDGsのもとで、答えのない答えを探すことになる

 

  気候変動対策とコロナによる経済対策は相反する関係になるのかもしれない。

 「国際エネルギー機関(IEA)によると、世界中で実施されたロックダウン(都市封鎖)による経済成長の落ち込みが原因で、今年の二酸化炭素(CO2)排出量は8%減少する見通し」とロイターが伝える。

 その一方で、「地球の気温上昇率を摂氏1.5度未満に抑えるには、2030年までCO2排出量を毎年7.6%減らす必要があるとされるが、ほぼ世界全体で経済活動を停止させてやっと、これをわずかに上回る減少率なのだから」ともいう。

 

jp.reuters.com

 

 難しい問題だ。答えのない答えを探すような気がする。こういう時は、一度、ふりだしに戻るのがいいのかもしれない。

 

 

 

 「最悪301万人が失業恐れと試算」と共同通信が報じる。最悪ケースの話だが、300万人との膨大な数字に驚愕する。

 最悪ケースとは、パンデミックが 2020 年中続き、訪日外国人旅行者数が 2021 年3月まで回復せず、緊急事態措置の期間が3か月程度となる想定に基づくという。

 最悪ケースとはいうが、これが現実ケースになったりしないかと危惧したりもする。

  

this.kiji.is

 

 共同通信は「生活に困窮する人が急増するリスクが高まっている」と指摘する。雇用への影響は切実な問題だ。

 この報道のもとは、中部圏社会経済研究所が発行した「新型コロナウイルス感染症が全国・中部圏の産業別の雇用」という経済レポートだ。

 産業別でみてみると、

宿泊・飲食サービス業▲58.9万人 (▲ 14.1%)

卸売・小売業▲84.5万人 (▲ 7.9%)

建設業▲30.1万人(▲ 6.1%)

製造業▲61.4万人(▲ 5.8%)

と、「自粛要請」の影響を受けた産業ということのようだ。

 帝国データバンクの「新型コロナウイルス関連倒産」の業種別データとあまり変わらないから、これから深刻さが増すということになのだろうか。

「ホテル・旅館」(34件)、「飲食店」(19件)、「アパレル・雑貨小売店」(13件) 「食品製造」(8件)、「食品卸」(7件)、「建設」(6件) (出所:帝国データバンク

 

 

 

 英国では、航空機エンジンを製造するロールス・ロイスが、全世界の従業員5万2000人のうち少なくとも9000人を削減する方針を明らかにしたという。新型コロナウイルスの感染拡大を受けた航空業界の大幅な市場縮小に対応するためで、工場の閉鎖も検討しているとロイターが伝えた。

 

jp.reuters.com

 

 昨年、スウェーデンの環境活動家グレタトゥンベリさんに注目が集まり、「飛び恥」という言葉が生まれ、彼女自身も飛行機を使わず、鉄道などを利用していたと聞く。

 アパレル業界では、衣服の大量廃棄が問題視された。流通関係でも食品の大量廃棄や食品ロスが問題に上がり、食品・飲料関係に使われる使い捨てプラスチックスも問題になった。

 

 今、コロナの影響を受けている業界と同じであるということは単なる偶然なんだろうかと考え込んでしまうことがある。

 

dsupplying.hatenablog.com

 

 ANAの社員がボランティアで医療用ガウンの縫製支援をスタートしたようだ。

 ANAによれば、奈良県合同会社ヴァレイが厚生労働省より受注した10万枚のガウン製作の内、約5万枚の製作工程の3割程度をANAが担うという。ANAが担う製作工程の作業はヴァレイの専門知識を有するスタッフの指導の下、ANAのボランティア社員が行い、縫製職人が専門領域に特化できるようサポートをしていくという。製作されたガウンは、ヴァレイから厚生労働省へ納品になるという。

 

www.aviationwire.jp

 

 ANAグループは従業員の休日を増やす一時帰休を実施している。客室乗務員約6400人の一時帰休から始まり、間接部門やグループ会社にも拡大、2万人が対象になっているといい、期間は最長で1年間だという。

 

 

 

 星野リゾートの星野代表は、ワクチンと治療薬ができるまで、コロナの影響が1年~1年半にわたって影響が続くと判断しているようだ。それまでの間は、「マイクロツーリズム」を提唱し、「3密回避」という新たな旅行の在り方を模索、国内観光に注力することで、コロナ後には日本の観光力をさらに強くしたい考えていると、日経XTECHの取材で答えたようだ。

 

「地元観光」を見つめ直したい

 インバウンドに注目が集まりがちだが、実は日本人による国内観光が80%を占めていて、今も強いニーズがあるという。 

地元の人々による魅力の再発見にもなる

これは、日本の弱さを克服することにつながります。観光力というものは、観光事業者だけが作り上げるものではありません。

「我が地域の魅力は何か」というコンセンサスが地元の人々の間で取れていることが、強い観光地であることの一つの証し。

ところが日本では、地元の人々が魅力を理解し切れていない実情がありました。1年~1年半という期間は、地元の良さを知ってもらう良いきっかけになります。 (出所:日経XTECH)

 

xtech.nikkei.com

 

「有事には平時の仕組みが通用しません。正しいかどうかを検討するよりも、速く変化することが重要です」

と取材に答えた星野代表の言葉が印象に残る。

 

 星野さんが運営する星野リゾートは、「勝手にSDGs」とユニークな活動を続ける。

 

www.hoshinoresorts.com

 


 ワクチンが出来上がり、再び人々が何の憂いもなく移動するポストコロナのインバウンドがどうなるかは、まだ見えない。

 折角、飛行機が飛ばなくなってきれいになった空気のこと、観光客が激減してきれいになったベネチアの水路のことを思うと、色々と心配になることもあるが、今は、星野さんが言う通り、正しいかどうかを検討するよりも、今の状況に合わせて、速く変化することが重要なのかもしれない。

 

 

「参考文書」

www.anahd.co.jp

www.asahi.com

 

f:id:dsupplying:20200521114931j:plain