Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

ガラパゴス化したりしないだろうか、SDGsとスーパーシティ法案

 

 スーパーシティ法案が5月27日に成立したという。地域の「困った」を最先端のJ-Techが、世界に先駆けて解決するという。

 

「スーパーシティ」構想は、「まるごと未来都市」の実現を、地域と事業者と国が一体となって目指す取組みだという。

「まるごと未来都市」とは、2030年ごろに実現されるだろう世界のことらしい。SDGsがゴールとする年に同じである。

 

 何か関連性はあるのだろうか。

 

スーパーシティとは何なのか

内閣府が20年3月に公表した構想案によると、

「移動、物流、支払い、行政、医療・介護、教育、エネルギー・水、環境・ゴミ、防犯、防災・安全の10領域のうち少なくとも5領域以上をカバーし、生活全般にまたがること」

2030年頃に実現される未来社会での生活を加速実現すること

住民が参画し、住民目線でより良い未来社会の実現がなされるようネットワークを最大限に利用すること」

という3要素を満たす都市と定義されている。(出所:日経XTECH)

 

xtrend.nikkei.com

 

 

 

 政策とは複雑なものだ。それを読み解くことは、何かとてつもなく難解な連立方程式を解くような気分になる。

 

 

「スーパーシティ」構想

 首相官邸公式ページに”「スーパーシティ」構想について”とのページがある。

 構想の背景に、「AI及びビックデータを活用し、社会のあり方を根本から変えるような都市設計の動きが、国際的に急速に進展している」ということがあるらしい。

 

 エネルギー、交通などの個別分野にとどまらず生活全般にわたり、最先端技術の実証を一時的に行うでのではなく暮らしに実装し、技術開発側・供給側の目線ではなく住民目線未来社会の前倒し実現

(出所:首相官邸公式ページ

 

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(資料出所:官邸公式ページ)

 

「先行している部分もあるが、世界各国でも、「まるごと未来都市」は、未だ実現していない」といい、

「我が国にも、必要な要素技術は、ほぼ揃っているが、実践する場がない」という。

 

 海外での先駆的な事例を具体的に示すが、まだ数例にとどまるようにも見える。

 

 この「スーパーシティ構想」は、政府が推進している「Society5.0」に関連し、スーパーシティが「Society5.0」の実現の場らしい。 

 必要なインフラ整備は国主導で迅速に推進。予算確保、官民連携のファイナンス手法を検討。

1)Society5.0に向けた政府の技術基盤整備を、スーパーシティ実現を視野に、各省と連携し加速化

2)整備した技術基盤を、スーパーシティに係る取組に円滑に導入できるよう、必要な支援策を検討 (出所:首相官邸公式ページ)

 

 Society5.0

首相官邸公式ページによると、Society5.0とは、人類史上5番目の新しい社会のことをいうらしい。

「人口が減ってもイノベーションによって成長できるものだ」と首相はいい、

第一号の証拠になることを目指している」という。

 

Society 5.0とは、

「狩猟社会」「農耕社会」「工業社会」「情報社会」に続く、人類史上5番目の新しい社会のことです。

IoT、ロボット、人工知能(AI)、ビッグデータといった先端技術をあらゆる産業や社会生活に取り入れ、経済発展と社会的課題の解決を両立していく新たな社会であるSociety 5.0の実現を目指します。 (出所:首相官邸公式ページ)

  


「未来投資戦略2017-Society 5.0の実現に向けた改革-」―平成29年6月9日

 

 

 

 この「Society5.0」は、政府が掲げる成長戦略の目玉になっているようだ。

 

成長戦略実行計画のポイント

 第一に、Society5.0の実現について

デジタル市場のルール整備を進めるとともに、モビリティについて「自家用有償」制度の法改正を図る。

 第二に、全世代型社会保障への改革について。

人生100年時代を見据え、70歳までの就業機会の確保に向けた法制度を整える。また、生活習慣病などの疾病予防や介護予防を強化するため、交付金制度の抜本強化を図る。

 第三に、人口減少の下においても、地域の暮らしを支えるインフラを維持するため、独占禁止法の特例法制を設け、乗合バスや地域銀行の維持を図る。 (出所:首相官邸公式ページ)

 

www.kantei.go.jpf:id:dsupplying:20200605052151p:plain

 (資料出所:官邸公式ページ)

 

 また、「Society5.0」は、政府が推進するSDGsにも関連しているようだ。

 

SDGsアクションプラン2020

 SDGs推進本部が、昨年12月に「SDGsアクションプラン2020~2030年の目標達成に向けた「行動の10年」の始まり~」を公表した。

 

 このプランの中に、「Society5.0」の位置づけが定義され、「2.飢餓をゼロに」「8.働きがいも経済成長も」「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」「11.住み続けられるまちづくりを」に関連していることのようだ。

 

 『SDGsアクションプラン2020』のポイント

 日本は,豊かで活力のある「誰一人取り残さない」社会を実現するため,一人ひとりの保護と能力強化に焦点を当てた「人間の安全保障」の理念に基づき,世界の「国づくり」と「人づくり」に貢献。SDGsの力強い担い手たる日本の姿を国際社会に示す。

 SDGs アクションプラン 2020』では,

改定されたSDGs実施指針の下,今後の10年を2030年の目標達成に向けた「行動の10年」とすべく,2020年に実施する政府の具体的な取組を盛り込んだ。

国内実施・国際協力の両面において,次の3本柱を中核とする「日本のSDGsモデル」の展開を加速化していく。 

1.ビジネスとイノベーション
~SDGsと連動する「Society 5.0」の推進~

 2.SDGsを原動力とした地方創生,強靱かつ環境に優しい魅力的なまちづくり

3.SDGsの担い手としての次世代・女性のエンパワーメント

(出所:首相官邸公式ページ) 

 

 日本のSDGsモデルを国内実施・国際協力の両面で展開するという。果たして国際社会は、日本のモデルを受け入れてくれるのだろうか。

兎角、国際NGOからは批判され、様々な世界ランキングでは、毎年低い評価に苦しんでいる。

 

 

 

 まとめ

 首相官邸公式ページが公表している、これら3つの資料を読み解くと、目指している輪郭が浮かんでくる。

 

 日本モデルにこだわり過ぎていないだろうか。

 受け入れ難いことなのかもしれないが、EUが推進する「サーキュラーエコノミー」が世界的なトレンドになり、名だたるグローバル企業も、この施策に賛同し、それぞれがビジネスモデルを調整し、使用する資源と排出されるごみを最小化、サプライチェーンを健全化させることで、SDGsに貢献、経済成長を謳歌している。 

  消費財メーカばかりでなく、グーグルやマイクロソフトもこの「サーキュラーエコノミー」に賛同している。

 

 なぜ、日本だけ独自路線をとる必要があるのだろうか。

 将来、世界市場から爪はじきされてしまう危惧はないのだろうか。

 

 スーパーシティ構想には、なぜか国内大手企業が名を連ねる。オープンラボとか、コンソーシアムの表現は聞こえがいいが、かつての「護送船団方式」も連想させる。

 

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(資料出所:官邸公式ページ)

 

 2次補正予算の審議が8日から始まるようだ。

 緊急事態宣言が解除されるときの記者会見で、「空前絶後の経済対策」という表現があり、何か強い違和感を覚えた。

 救済措置が必要であることは理解できるが、それが「世界最大」とかにつなげてしまうことが理解できなかった。

 

 こうして官邸公式ページをチェックすることで、その違和感が、「大量消費」や「使い捨て社会への回帰」への危惧だったということがわかった。折角、コロナで見えてきたミニマルでエシカルな暮らしや、持続的な世界が遠ざかっていくことになってしまう。

 

 結局、政策の一丁目一番地は「経済対策」のままだし、その経済対策は「消費」で支えられているのだから。

 

 何か、未来を急ぎ過ぎているようにも感じる。世界トップでありたいという焦りがそうしたことになっていないだろうか。

 もう少しスローであっていいのかもしれない。国内はもちろん国際社会と調和した世界の方が暮らしやすいように思う。

 まして、今はコロナ対策で社会のありようを再検討すべき時期で、浮き彫りになった様々な課題を解決していかなければならないはずだ。

 そうしたことを考えたほうが、もしかしたら世界トップに近づくことになるのかもしれない。

 

 「関連文書」

dsupplying.hatenablog.com

  

「参考文書」

www.nikkei.com

 

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