ようやく国の「脱石炭」政策が動きだすのだろうか。
梶山経産相が記者会見を開き、石炭火力発電など「脱石炭」に関わる発言をしたという。
一方、小泉環境相は「経産相のリーダーシップに敬意を表したい」と発言したという。
「動かざること山のごとしといわれていたエネルギー政策に風穴が開いた。エネルギー政策全体の議論にもつながると思う」
と、小泉環境相が経産省の方針について述べたと日本経済新聞が伝える。
小泉進次郎環境相は3日の閣議後会見で、低効率の石炭火力発電所を休廃止するという経済産業省の方針について「脱炭素社会の実現に向けた日本の姿勢を国際社会に示す大きな一歩だ」と評価した。
今後の石炭火力の技術開発については、二酸化炭素(CO2)排出ゼロを追求すべきだとの考えを示した。 (出所:日本経済新聞)
(資料出所:「企業の脱炭素経営の支援について」環境省)
多くの企業が自家発電設備を持ち、事業に使用する電力を賄っている。以前は石炭火力であったりしたが、ここ最近は「ESG投資」の流れもあってか、再生可能エネルギーを使用するケースが増えている。
投資環境の変化が、企業の「脱炭素経営」を後押しているのだろうか。
「SBT」や「RE100」などの国際イニシアティブが立ち上がり、目標設定を行ない、企業にその達成を求める。
こうした企業の脱炭素経営の状況を環境省が逐次まとめ公表する。また、中小企業などにも啓発、そうした流れへの転換を求めているようだ。
【企業の脱炭素経営への取組状況を公開!】
— 環境省 (@Kankyo_Jpn) 2020年6月1日
気候変動に対応した経営戦略の開示(#TCFD)、脱炭素にむけた目標設定(#SBT ・ #RE100 )などにより脱炭素経営に取り組む企業を環境省HPで紹介しています。
日本の脱炭素経営への取組企業数は世界トップクラスとなっています。https://t.co/LUo1QBHN9i pic.twitter.com/YgqRtqTEi2
(資料出所:「企業の脱炭素経営の支援について」環境省)
こうした企業活動が経済産業省の方針転換を後押ししたのだろうか。
政府が従来のエネルギー政策を転換 (東京新聞)
地球温暖化問題が深刻化する中、欧州ではCO2排出を抑止する「脱炭素化」の一環として、石炭火力からの脱却が加速化している。
一方、日本は先進7カ国(G7)で唯一、石炭火力の新設計画があり、国際的な批判にさらされていた。
国内の石炭火力は約140基あり、うち114基が旧式で非効率とされる。このうち、離島などの特殊地域を除く約100基が休廃止の対象になる見通し。
政府は今後、石炭火力の比率を下げて再生可能エネルギーの普及を進める考え。
これまで政府は石炭火力を「ベースロード(基幹)電源」と位置付けており、エネルギー政策の大きな転換となる。 (出所:東京新聞)
日本経済新聞は、「送電網、再生エネを優先 普及促進へルール見直し」へと伝える。
経産省は今年から国のエネルギー基本計画の見直しに着手する。
現在の計画では2030年度の電源構成に占める再生エネの比率を22~24%(18年度は17%)まで高める目標を掲げている。
今回の送電網のルール変更を計画の見直しに反映する。
現状のルールでは電力供給が増えて送電網が送れる容量を超えた場合、再生エネ事業者は発電量の抑制を求められる。
送電可能容量を超えた場合でも再生エネは発電を続けられるようにし、代わりに老朽化などで効率が悪くなった石炭火力の発電に制限をかける。(出所:日本経済新聞)
「脱炭素」へ、一歩前進したということなのだろうか。
今まで石炭火力に頼ってきた電力メーカの中には、今回の経産省の方針に転換に戸惑いを見せているところもあるという。
例えば、北陸電力の場合、「18年度の発電電力量の構成をみると、石炭火力が50%を占める」(出所:北國新聞)という。
安定した電力供給を維持しつつ、石炭から再エネへの転換が徐々に進むということになるのであろうか。
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