環境省がファッション業界と意見交換をしたとTwitterで公表した。
【ファッション産業界との意見交換】
— 環境省 (@Kankyo_Jpn) 2020年8月26日
8/26 #小泉環境大臣 は、7月に手交された「サステナブルなファッションの促進に向けた提案」に続き、ファッションに関わる民間企業の取組を発表いただくとともに、サステナブルをより加速するための連携について意見交換を行いました。 pic.twitter.com/fSU7jUNmPV
WWD Japanによると、参加したのは伊藤忠商事や豊島、ファーストリテイリング、H&Mジャパン、アダストリア、帝人フロンティア、日本環境設計、クラボウ、東レなど9社のファッション企業という。
NPO団体ファッション レボリューション ジャパンの提言を受けての開催だったようだ。
小泉環境相は、「ファッション トランスペアレンシー インデックス」に日本ブランドの名前がまだまだ目立っていないと指摘、欧米の有力企業・ブランドが入っている「ファッション協定(The Fashion Pact)」にも日本企業が一つも入っていないと述べたそうだ。
「まずは加盟することで向こうの土俵に乗り、その上で取り組みをアピールしてほしい」と逆提案を行ったという。
FTI:ファッション トランスペアレンシー インデックスとは
WWD Japanによると、 英国の「Fashion Revolution(ファッションレボリューション)」によって定義され、「サプライチェーン、ビジネスの手法、それらが労働者・コミュニティー・環境に与える影響について、広く一般に情報公開していること。そしてそのデータは包括的で信頼性が高く、他企業と比較できるものであること」だという。
企業のエシカル度を表すものではなく、情報開示に関するランク付けだと繊研新聞はいう。
ファッションレボリューションの日本支部「ファッションレボリューションジャパン」が、『Fashion Transparency Index 2020 (ファッション・トランスペアレンシー・インデックス)』の日本語翻訳版を発表している。
日本からは6社が対象になりスコアリングされている。その中で、アシックスがトップで46%のスコアを獲得したが、73%の最高スコアをマークしたH&Mと比べると30%近い開きがある。無印良品、ユナイテッドアローズはいたっては10%以下のスコアに沈んでいる。
250ブランドの平均スコアは23%、最高点はH&Mの73%。C&Aが70%、アディダスとリーボックが69%、エスプリが64%で続いた。
ラグジュアリー部門の最高点はグッチの48%。
日本ブランドは、アシックス46%、ユニクロ40%、ミズノ27%、イトーヨーカ堂21%、無印良品10%、ユナイテッドアローズ7%だった。 (出所:繊研新聞)
BALLY(バリー) FTIの透明度のスコアが”0%”
WWD Japanは、各ブランドの「FTI」のインデックススコアを記事で紹介する。
スイスの「バリー(BALLY)」はこのインデックスで「0%」だったという。
バリーのニコラ・ジロットCEOはWWDのインタービューで、自社の取り組み事項を説明するが、「FTI(Fashion Transparency Index)は、この活動のいかんにかかわらず、外に向けて伝えていくことを重視している」という。
WWD Japanによれば、バリーは、「環境への影響が少ない推奨素材リストの策定」、「プラスチックパッケージの削減」、「未販売在庫を減らすための予測分析」、「廃棄物を減らすための3Dデザイン」、「社内での再生可能エネルギーの使用促進」など、全てのビジネス領域でサステナビリティのための方策をとっているという。
企業がサスティナビリティといって活動したところ、「伝える」ことを怠れば、誰もそれを認知することはできない。
バリーは、この秋、サステナビリティリポートの公表して報告していくという。
バリーは「ファッション協定(The Fashion Pact)」にも調印した。
私たちは業界のリーダーとして最新の動向を共有し、気候、生物多様性、海洋とういう3つの柱において、この地球を守るための新たな解決策を明確にしている。私たちは今秋、これらを報告する予定だ。 (出所:WWD Japan)
イトーヨーカ堂はFTIの透明度スコアは21%
「FTI」のスコアが21%だったイトーヨーカ堂は、8月26日、セブン&アイグループ内で回収したペットボトルを原料としたポリエステル再生糸を一部使用した「ボディヒーター」の販売を始めた。
そのセブン&アイホールディングスは、『GREEN CHALLENGE 2050』という環境宣言を行ない、「CO₂排出量削減」「プラスチック対策」「食品ロス・食品リサイクル対策」「持続可能な調達」のそれぞれに目標を設定し事業活動を行う。
プラスチック対策では、「循環経済社会に向けたプラスチック対策」という動画を作成、取り組み内容を公開している。
『GREEN CHALLENGE 2050』:循環経済社会に向けたプラスチック対策(1:30)
作られた服の半分は一度も着られずに捨てられていく
「作られた服の半分は一度も着られずに捨てられる。こんな状況を放置して良いわけがない」と、小泉進次郎環境相が意見交換会の席上で述べたと共同通信は伝える。
WWD Japanによれば、「環境省も、今後は音頭を取って“日本版ファッション協定”やサステナブルファッションアワードの創設などにも取り組んでいきたい」とも語ったという。
この意見交換会に参加していないアパレルも多くあるようだ。こうした企業を含め、ファッション業界に変化を促す機会になっていくのだろうか。
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