Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

空間除菌に強みを持つパナソニックの業績が伸びない不思議

 

 立春の翌日、早速春一番が関東地方で吹いたという。1951年以降、最も早い記録だそうだ。

 2月になると企業から昨年12月までの業績発表が相次ぐ。巣ごもり需要で業績を伸ばす企業がある一方で、業績悪化に苦しむ企業もある。家電量販店各社は業績を伸ばしたようだ。テレビやゲーム、パソコンなどが売れたという。

 ソニーは大きく業績を伸ばし純利益が通期で1兆円を超える見込みだという。一方、パナソニックは業績改善しているものの前年割れの状況だという。

 少しばかり不思議になった。空調・空質、公衆衛生に資する商品をもつパナソニックであれば、業績が伸ばしてもよいのではなかったのかと。

 

 以前からパナソニックの「ナノイー」とシャープの「プラズマクラスター」が気になる技術だった。

 特に感染症に対する効果とかそういうことではなく、花粉症であったり、浮遊するアレルギー物質に対する効果が気になっていた。

 

クリーンな空気環境 シャープ プラズマクラスター技術

 シャープが昨年9月、空気中に浮遊する「新型コロナウイルスSARS-CoV-2。COVID-19の原因となる、SARS関連コロナウイルス(SARS-CoV)に属するコロナウイルスのこと)」にプラズマクラスターイオンを約30秒照射することにより、感染価(感染性を持つウイルス粒子の数)が90%以上減少することを世界で初めて実証したと発表した。

 その時のシャープの発表によれば、2005年には「新型コロナウイルス」と姉妹関係にある「SARSコロナウイルスSARS-CoV)」に対する効果を実証、今回新たに「空気中に浮遊する「新型コロナウイルスに対する効果を実証した」という。

 2000年より約20年にわたりプラズマクラスター技術の効果を世界の第三者試験機関と共同で実証するアカデミックマーケティングを実施しており、これまで多数の第三者試験機関で「新型インフルエンザウイルス」「薬剤耐性細菌」「ダニアレルゲン」などの有害物質の作用抑制や、小児喘息患者の気管炎症レベルの低減効果などの臨床効果を実証。併せて、プラズマクラスターの安全性についても確認してまいりました。 (出所:シャープ) 

jp.sharp

 

長崎大学感染症共同研究拠点 教授 安田 二朗(やすだ じろう)氏のコメント>

付着したウイルスへの対策としては、アルコールや洗剤(界面活性剤)等の消毒薬が有効ですが、エアロゾル(マイクロ飛沫)を介した感染を想定した対策としてはマスク等の着用以外に有効策がありません。

今回、プラズマクラスター技術が空気中に浮遊した状態の新型コロナウイルスを不活化することが実証されたことは、一般家庭だけでなく医療機関などの実空間で抗ウイルス効果を発揮する可能性があると期待されます。 (出所:シャープ) 

corporate.jp.sharp

 

 読売新聞によれば、「実験は、小型の密閉容器内で、高出力の業務用イオン発生装置を利用して実施した。実際の家電製品での効果は証明されていない」というが、実証実験に携わった安田教授は「ウイルスを抑える原理は市販品も同じだ。手洗いで対応できない飛まつ感染の防止に有効ではないか」とコメントし、シャープは「住居やオフィス空間での効果についても、検証を進めていきたい」と述べたと伝える。

www.yomiuri.co.jp

ダイキン工業が7月に、空気清浄機やエアコンに搭載している「ストリーマ」に新型ウイルスを抑制する効果が認められたと発表し、パナソニックも、微粒子イオン「ナノイー」の技術に効果があったと公表しているという。

しかし、狭い密閉した試験空間など、限定的な条件での結果だった。 (出所:読売新聞)

 

 

 これら技術を活用して、職場や飲食などの場にクリーンな環境を作っていければ、公衆衛生の向上にも役立っていくのではないかと思ったものだが、現実の新型コロナの感染対策までに発展させることはできていないということであろうか。

 

「QUALITY AIR FOR LIFE」を謳うパナソニック

 パナソニックは、ことあるごとに家電分野、車載分野、住宅関連分野など、くらしや社会のさまざまな空間において「QUALITY AIR FOR LIFE」の実現を追求し、健やかなくらしを届けていきますという。

 屋内環境の空質を維持するための3つの重要なポイントとし、エアコン、換気、空気清浄技術を挙げ、ウイルスや細菌、アレルギー物質、カビや臭気を抑制し、空質の改善を図るという。

www.panasonic.com

「空気清浄技術」を支えるのがパナソニック独自の技術「ナノイー」だ。

 

 

 パナソニックは1月、シンガポールの配車サービス大手グラブと連携し、マレーシア クアラルンプール、シンガポールベトナムホーチミンハノイインドネシア ジャカルタで稼働しているグラブの車両5,500台にナノイー X発生機を搭載すると発表した。

近年、世界的に空気質に対する関心が高まっています。パナソニックは、東南アジアを中心に「QUALITY AIR FOR LIFE」というスローガンを展開し、温度、湿度、換気、気流などを制御した空気質ソリューションを通じて、住宅や店舗、オフィスなど空間に合わせた良質な空気環境を提供しています。(出所:パナソニック

f:id:dsupplying:20210205094124p:plain

(写真:パナソニック

  「ナノイー」の技術を活用した清浄機で「新型コロナウイルスの活動を抑制することで、乗客や運転手の安全対策を強化する考えだ」とJIJI.COMが伝える。

www.jiji.com

 

 パナソニックはこの他にも、次亜塩素酸の力でより確実な除菌・ウイルス対策ができる「ジアイーノ」技術を保有し商品化している。

 


ジアイーノCM 近藤芳正さん篇ロングver. 【パナソニック公式】

 

 コロナが蔓延した社会では、こうした商品がもっと売れるのではないかと思っていたが、パナソニックの業績発表を見ると必ずしもそうではないのかと実感する。

 

 

 c/net Japanによれば、パナソニックの梅田CFOが業績発表の会見の場で次のように述べたようだ。

ナノイーXおよび「ナノイー」搭載商品の生産台数は、2019年度の800万台から、2020年度は850万台へ拡大すると見込んでおり、さらに2025年度には1500万台の規模にまで生産を拡大する計画を示した。現在、ナノイーは、エアコンや空気清浄機、冷蔵庫など、40商品に搭載。

自動車メーカー8社、鉄道事業者11社に導入しているという。

 また、空間除菌脱臭機ジアイーノは、2019年度実績では、「2桁億円の手前」(梅田CFO)であったが、2020年度は100億円を突破し、「3倍ぐらいの伸びになっている」という。中国でも生産を開始するなど増産投資を進めており、2025年度の販売目標として500億円を掲げている。

 さらに、「中国の住宅市場向けに、空調と空質を融合したシステムの販売を予定している。単品だけでなく、空調空質ソリューションにも力を注いでいく」と述べた。 (出所:c/net Japan) 

japan.cnet.com

 

 このご時世である。まして、SDGsの時代でもある。

 もっと求めやすい価格で、もっと人々に知ってもらい、公衆衛生を向上させようとの意志を伝えていくべきなのではなかろうか。そうすれば、必然業績も改善するだろう。 

 どんなに優れた技術、商品であっても、知られ、売れなければ宝の持ち腐れになるだけだ。

 

 

 他者への配慮ということでも、こうした空気清浄技術が色々な場所で活用されればいいのではないかと思う。

  我が家は、終日ではないが、シャープのプラズマクラスターが稼働する。最近は自動車に乗る機会がめっきり減っているが、そこではナノイーが稼働していた。

 

「関連文書」

dsupplying.hatenablog.com

 

 「参考文献」

panasonic.jp