Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

動き出すサーキュラーエコノミー 米国でコカ・コーラの100%リサイクルペットボトル始まる

 

 北米のコカ・コーラが100%リサイクルPET(rPET)ボトルのコークの販売を始めると発表した。そして、その新しいボトルは13.2オンスと、少し小さなボトルになるそうだ。

www.coca-colacompany.com

 コカ・コーラノースアメリカによれば、今月、フロリダ州、カリフォルニアと北東部の一部の州で始まり、スプライトも同様にrPETボトルを採用するという。

 ニューヨークやテキサスでは、20オンスのコークでもrPETボトルが採用され、DASANIやスマートウォータのボトルにも採用されるという。

 

 

 コカ・コーラは 昨年12月、ペプシコネスレとともに、「Break Free From Plastic」によって、3年連続で世界最悪のプラスチックス汚染者に選ばれた。この北米の取り組みで、その汚名を返上することはできるのだろうか。

「RecycleMeAgain」 サーキュラーエコノミーへ

 コカ・コーラノースアメリカは、この取り組みがサーキュラーエコノミー循環経済への移行に貢献するといい、そのためには、消費者にその有用性を伝え、消費者が行動を起こしていくように啓蒙していく。認知度を高め、行動を促すため、すべての100% rPETボトルのパッケージラベルには「RecycleMeAgain」というメッセージが添えられる。

 コカ・コーラカンパニーは「廃棄物のない世界」を目標に掲げ、現在、25を超える市場で100% rPET(ペット)ボトルの提供を始めているという。

dsupplying.hatenablog.com

 日本では、「いろはすい」が100%リサイクルペットボトルを採用している。

 

タイから広がるペットボトルリサイクル

 タイ バンコクポストが、「A solution to plastic pollution: circular economy (プラスチック汚染の解決策:循環経済)」という記事で、サーキュラーエコノミー循環経済を紹介する。

 世界銀行の開発金融部門である国際金融公社(IFC)の融資を利用した企業のサーキュラーエコノミー活動を解説する。

 タイを拠点にする世界最大のペットボトルの原料「PET」の生産者である「Indorama Ventures」の取り組みがそれだという。

 

 

 廃棄されたペットボトルを収集して分類することは、骨の折れる労働集約的な取り組みであり、あまり儲かるビジネスではないという認識がタイでもあるという。そして、それが企業がリサイクルしない主な理由になっているという。ほとんどのPETメーカーは、廃棄された材料を再利用して再処理するよりも、未使用のPETを製造する方が安いと感じているという。どこの国でも抱える問題は共通ということであろう。

 しかし、サーキュラーエコノミーが進めば、使用される天然資源が減り、新しいPETを生産するために排出される温室効果ガスが減り、埋め立て地から小川、川、海に漏れる廃棄物が減る。

www.bangkokpost.com

「Indorama Ventures」は既存のリサイクル施設のネットワークをブラジル、インド、インドネシア、フィリピン、タイに拡大することができるといい、これらの国は、沿岸部の人口が多く、漁業や観光に依存しているため、海洋汚染に対して特に脆弱だという。

「Indorama」の取り組みを背景に、毎年500億本のPETボトルをリサイクルし、新しいボトルの製造に使用される300万バレルの原油を節約し、165万トンの炭素汚染を排除することができるという。

 

 

勢い増す「緑の革命

 「再エネ大手の時価総額が石油メジャー超え」とBusiness Insiderが伝える。

緑の革命によって、新世代のエネルギー・メジャーが登場した。

新たなエネルギー・メジャーは、規模においても名声においても、伝統的な大手石油・ガス企業にとって代わり、エネルギー業界を席捲する勢いだ。 (出所:Business Insider) 

www.businessinsider.jp

 それによると、イタリアの電力会社エネル、デンマーク風力発電会社オーステッド、スペインの電力会社イベルドローラの合計時価総額が、2310億ユーロ(約28兆円)に達し、伝統的スーパーメジャーであるBP、シェル、トタルの合計時価総額2140億ユーロ(約26兆円)を超えたという。

 再生可能エネルギー事業に早期参入したこれらの企業は、今後も世界市場で大きな利益を生み出すというとBusiness Insiderは指摘する。

 

オホーツクの町から始まる乳牛のふん尿を利用

 オホーツク海沿岸の町、北海道興部町では、乳牛のふん尿を利用し、そこから発生するバイオガスを液体燃料のメタノールなどに変換し、地域で利用する構想があると朝日新聞が伝える。

 この技術が実用化されれば、世界初となり、二酸化炭素(CO2)を出さない「脱炭素」のエネルギーとして、酪農が盛んな道内各地に広がる可能性があるという。

 

 

興部町では、ふん尿を活用したバイオガス発電も手がけるが、再生エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)による売電期間の終了後にバイオガスをどう有効活用するかが課題だった。ためることが難しい電気ではなく、液体燃料のメタノールやギ酸に変換して保存できるようにして、「脱炭素」の街づくりにつなげる構想を描く。 (出所:朝日新聞) 

 朝日新聞によると、量産でコストが下がれば、合成繊維や塗料、農薬など様々な製品の原料にもなるメタノールの外部への販売も検討するという。大阪大学の大久保教授は、「メタノールは全量を輸入に頼るが、国内の乳牛のふん尿をすべて使えば、輸入量の2割を代替できる」と指摘しているという。

www.asahi.com

 興部町の硲町長は「酪農は著しい規模拡大をみせているが、発生するふん尿の処理が課題だ。研究がさらに加速し、町だけでなく、北海道全体の発展や、日本の産業にとって重要な役割を果たしたい」と語っているそうだ。

 24年度をめどに試験プラントを増強して実用化し、30年度以降は興部町以外の道内外での展開もめざすという。

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 「グリーンリカバリー」、ポストコロナの経済復興が世界各地で動き出す。

 点から面へ、地域での取り組みが拡がれば、規模が大きくなり、メリットも大きくなる可能性もある。そればかりではなく、温室効果ガス低減効果もさらに大きくなる。

 それに加え、早期に取り組み、規模を大きくしていけば世界市場で大きなメリットを出すことも不可能なことではないという。内に籠らず、仲間を増やしていけばいいのかもしれない。

 そして、それは地球共通のカーボンニュートラルの目標にも一歩一歩近づいていくことにもなる。

 

「関連文書」 

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