武田薬品工業が24日、米バイオ製薬ノババックスの新型コロナウイルスワクチンについて、日本で臨床試験(治験)を始めたという。
日本経済新聞によれば、武田薬品は200人規模の国内治験を実施し、治験結果は21年後半に出る見込みだという。2021年後半の供給開始を目指すそうだ。
ノババックスは「組み換えたんぱくワクチン」を開発する。ウイルスの遺伝子情報をもとにして昆虫細胞を使ってワクチンをつくる。すでに海外で最終段階の治験を実施しており、英国治験では89.3%の予防効果が確認されたと発表した。 (出所:日本経済新聞)
武田薬品はノババックスから技術移転を受け、光工場(山口県光市)で生産すると日本経済新聞が伝える。
年2億5000万回分(1億2500万人分)以上の生産体制を整えるそうだ。
米バイオ製薬モデルナ製ワクチンの治験と輸入に携わる武田が、米ノババックス製ワクチンの治験と国内生産も検討する。
自社開発のワクチンではないにしろ、国内生産と聞くと、心強さを感じる。
武田薬品はモデルナ製ワクチンの治験をはじめたと公表している。
米ノババックス
ウォールストリートジャーナルがその米ノババックスのこれまでの歩みを紹介する。
「昨年1月、米ノババックスの社員は地元のバーに集まり、今後の身の振り方を話し合っていた。この小さなバイオ医薬品会社は創業から33年を経ても、ワクチン開発で承認にこぎ着けたことがまだ一度もなかった」との言葉からその記事は始まる。
ウォールストリートジャーナルによれば、ノババックスが今年1月28日に公表した英国の第3相試験(フェーズ 3)データの暫定分析では、89%の効果が示されたという。ノババックスは他社と同様、変異ウイルスへの予防効果を上げるためワクチンに調整を加えているそうだ。
そのノババックスの視界に、新型コロナウイルスワクチンの承認がはっきりと入ってきた。承認されれば、パンデミックとの闘いで強力な武器となり、競合他社のワクチンよりも利点がおそらく大きいと科学者は考えている。初期段階のデータでは、同社のワクチンが無症状のコロナ感染を抑制し、しかも予防効果が長期にわたり持続する可能性が示された。これは業界でも初の部類に入る。 (出所:ウォールストリートジャーナル)
「ワクチンが承認されても、ノババックスはこれを大量に生産・配布するという課題に直面する」とウォールストリートジャーナルは指摘する。同社は2019年、何とか手元資金を確保しようと、一部の製造設備を売却していたという。
そのノババックスと、武田薬品は20年8月、提携を発表した。
アストラゼネカ
武田薬品に先行、アストラゼネカもコロナワクチンの国内生産を準備する。
アストラゼネカによれば、日本におけるワクチン供給について、AZD1222のグローバルサプライネットワークを活用してワクチンの調達を行う一方、パートナー各社と協力、国内における製造体制を確立していくという。
国内においては原液をJCRファーマ株式会社が製造し、バイアル充填や包装などの製剤化を第一三共株式会社とKMバイオロジクス株式会社が行い、ワクチンの保管・配送はMeiji Seikaファルマ株式会社が行う予定です。 (出所:アストラゼネカ)
そのアストラゼネカのワクチンがEUでは、第2・四半期の供給量が契約の半分にも満たない見込みだとロイターが報じる。国内への影響は有るのだろうか。
アストラゼネカは、3千万回分は2021年第1四半期に供給できる見通しとしていた。
国内生産がアストラゼネカのみでなく、武田薬品も準備を進めると聞くと安堵する。それだけコロナに対するレジリエンスも強化されるということだろう。治験で良好な結果になることを期待したい。
政府が高齢者向けの新型コロナウイルスワクチン接種について、4月12日から開始する方針を明らかにしたという。
スパコン富岳がコロナウイルスの分子機構を解明
理化学研究所がスパコン富岳を使って「新型コロナウイルス感染の分子機構を解明」と発表した。
スーパーコンピュータ「富岳」と「Oakforest-PACS」を用いて新型コロナウイルスSARS-CoV-2の表面に存在する「スパイクタンパク質」のシミュレーションを行い、ウイルスがヒト細胞に侵入する際に起こるスパイクタンパク質の構造変化において、スパイクタンパク質表面を修飾している糖鎖が重要な役割を果たしていることを発見しました。 (出所:理化学研究所)
理化学研究所によれば、この研究成果は、新型コロナウイルス感染症 COVID-19に対する感染予防や治療に向けた医薬品の分子設計に貢献すると期待できるという。
目を通してみたが、さすがに専門家でないので全く理解できなかった。ワクチンや治療薬開発に役立っていって欲しい。
「参考文書」
jp.reuters.com