Up Cycle Circular’s diary

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【変わる地球の風景を守れるか】気候変動で消え失せる運命の氷河、縮小する北極海の海氷

 

 気候変動の影響がまたひとつ顕わになる。ネイチャー誌が世界の氷河が減少していると報告する。

気候変動21世紀に入って加速した世界の氷河の質量減少(Climate change: Accelerated global glacier mass loss in the twenty-first century)」

 今回研究対象となったのは全世界の21万7175か所の氷河(氷床を除く)。

 21世紀初頭の20年間における標高の変化を推定した上で、この推定値を高精度測定値を用いて検証、個々の氷河の体積と質量の変化が算出されている。その結果は、2000~2019年の全世界における氷河の質量減少量は、平均で年間267ギガトン、観測された海水準上昇の21%に相当すると推定されたという。世界の氷河の質量減少は、2000年以降の各10年間に毎年48ギガトンのペースで加速しているという。

www.natureasia.com

 研究チームは、これまでの研究と比べて、氷河の質量減少を巡る不確かさが著しく減り、氷河の質量減少に関する地域的パターンの定量化、背後にある気候要因、質量減少の推定加速度に対する信頼性が高まったと結論付ける。

 

 

消えゆく運命の氷河 一部が2050年までに完全に消失

今回の研究結果は厳しい未来に警鐘を鳴らしている」と、wiredが指摘する。

現在の傾向が続けば、標高の低い山地の一部では2050年までに氷河が完全に失われることが分析で示されていると、バンバーは言う。「研究自体やその成果は素晴らしいものですが、最上段に掲げられたメッセージはとても悲観的です。

氷河は消えゆく運命にあり、水源や自然災害、海面上昇、観光、そして地域の生活に深刻な影響を与えているのです」 (出所:wired)

wired.jp

 また、米アラスカ州では融解する氷が原因で地震の規模が大きくなっているとwiredは指摘する。

「氷河の下にある地面が隆起して圧力が解放され、付近の断層にかかる力に影響を及ぼしているのだ」というアラスカ大学フェアバンクス校の研究者たちの論文があるそうだ。

 氷河の消失=質量喪失が地殻にも影響するとは少しばかり恐ろしい話にも聞こえる。

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 パリ協定で地球の温暖化を1.5℃以内に抑えようといっても、温暖化が続く限り、氷河は消えゆく運命にあることに変わりないということなのだろう。

 

日本の氷河の運命は

 小さいながらも日本にも氷河はある。影響はあるのだろうか。

北アルプス剱岳の三ノ窓雪渓と小窓雪渓、立山の御前沢雪渓が氷河に認定され、その後、剱岳の池ノ谷(いけのたん)雪渓と、立山町にある立山内蔵助(くらのすけ)雪渓、鹿島槍ヶ岳カクネ里雪渓も氷河と判断され、2019年に氷河と確認された唐松岳の唐松沢雪渓(長野県白馬村)も合わせると、昨年2019年時点で日本国内の氷河は最大7カ所」。

dsupplying.hatenadiary.com

 

 研究の通りになれば、30年後の2050年には世界でいくつかの氷河が消失し、今まで目にしてきた風景と違う自然がそこに現れることになる。変化はゆっくりと進んでいく。

 そこにあるはずの氷河がなくなっていることにあるときに気づく。これからそんなことが日常茶飯事になるのだろうか。悲し過ぎることかもしれない。

 少しでも遅らせるためにも、気候変動対策を加速させなければならないのだろう。

 

 

温暖化の恩恵なのか、北極海航路

 北極海航路、ロシア・シベリア沖の北極海を通って大西洋側と太平洋側を結ぶ航路のことをいう。

 温暖化の影響で北極海でも氷が消失し、今世紀に入ってから海氷が解ける夏は、この航路を使って欧州と東アジアを船で行き来できるようになったという。

 米国は「北極海航路は21世紀のスエズ運河になる」といっているそうだ。

 一方、スエズ運河では、台湾の長栄海運(エバーグリーン・マリン)が運航する「Ever Given」が座礁して航路をふさぎ、貨物船の大渋滞が起きた。 

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(写真:NIKE

 この北極海航路の使用について、NIKE(ナイキ)は反対し、不使用宣言している。

 その理由は、北極海における海運の増加が、世界でも最も脆弱な環境に大きな影響を与える可能性があるという。

nike.jp

 このNIKEの宣言に、事故を起こした長栄海運も賛同していた。

 何か皮肉も感じるが、こうしたことを気候変動対策を強力に進める契機にしなければならないのだろう。

 

www.sankei.com

 

「関連文書」

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