恵方巻の廃棄問題が話題になっているようだ。食べ物が無駄に捨てられてしまうことはとても悲しい。家で食べ残しが出ないように、工夫している身からすると、とても残念に思う。
Business Insiderの記事を読んで、気になることがあった。
「1カ月前に発注することになるけれど、需要を読むのは実際難しい」
ほんとうに「需給予測」ができないのだろうか。POSデータがあるのにと思うのは素人考えなのだろうか。

食品ロスと聞くと、SDGsにも関係しそうなので、食品メーカや流通・小売業界でも積極的に取り組んでいそうなテーマかと思うが、農水省のプレスリリースを読むと必ずしもそうではなそうとの実態が透けてくる。
令和元年10月に「食品ロスの削減の推進に関する法律」が施行され、食品ロスの削減に関する消費者の意識・関心が更に高まりつつあります。
消費者の皆様には、恵方巻きをきっかけに、食品ロス削減に取り組む企業やその取組を知って、応援、後押しをお願いいたします。
また、食品小売業者の皆様には、季節食品の需要に見合った販売に積極的に取り組んでいただいたうえで、PR資材も活用していただき、消費者に対して自社の取組を「見える化」していただきますようお願いいたします。(出所:農水省プレスリリース)
農水省は、流通・小売業者へ、『季節食品の需要に見合った販売に積極的に取り組んでいただいたうえで、PR資材も活用していただき、消費者に対して自社の取組を「見える化」していただきますようお願いいたします』と呼びかける。
コンビニ最大手のセブンイレブンの対応を流通ニュースが伝えてくれる。
恵方巻など予約商品については、店舗による事前の予約促進、当日の販売促進に向けて、顧客への積極的な声掛けを実施。農林水産省のPR資材を活用することで消費者への浸透を図り、官民一体で恵方巻のフードロス削減を目指す。(出所:流通ニュース)
セブンイレブンの食品ロス削減の取り組みとは何であろうか。なぜ売り残りが発生するか、その原因を把握できているのだろうか。需要予測以上に作ったものを販売促進するということが食品ロス削減なのだろうか。
食は私たちにとって、とても重要なことであり、供給を切らすことができないことは理解できる。しかし、必要以上に作られているのであれば、消費者としては応援のしようもない。特に季節商品ならなおさらではないか。
需要予測が難しいといい、過剰供給するのがこの業界の標準なのだろうか。
そうであるなら、食品ロス削減と謳うことに疑問があるし、「エシカル」と称するなどもってのほかではないか。
エシカルプロジェクトは、販売期限が迫った対象商品において、店舗にてシールを添付し、nanacoカードで購入した際、税抜価格に対し5%分のnanacoボーナスポイントが付与される仕組み。販売期限が迫った商品を選ぶことで、顧客とともに食品ロスの削減を図る。(出所:流通ニュース)
Business Insiderの筆者は、『食品ロスをどう減らしていくか。恵方巻ロスの問題は、消費者も変わらなければならないことを示している』という言葉で結んでいるが、消費者ができることには限りもある。
フードテックが登場してくるのがわかるような気がした。AIなどのテクノロジーで、こうした問題を解決されていくことに期待するしかないのだろうか。
ようやくセブンイレブンもAI発注を始めるようだ。まだ、カップ麺や菓子類に限られるようだが、イトーヨーカドーでは食品、衣料品も含まれる。日本経済新聞は、こうした動きが、業務効率化、生産性向上を目的としているように伝える。
米ウォルマートは、青果品の鮮度管理にマイクロソフトのAIを活用、廃棄ロス削減につなげているとも報道する。 この他にもIBMのブロックチェーン技術を活用し、食品のトレーサビリティを向上させている。
「デジタル投資ができる経営体力のある企業は限られるため小売業の淘汰につながる可能性がありそうだ」と日本経済新聞は報じる。
目的によって投資額は変化する。業務効率化を主目的にする大手流通・小売りでは大規模な投資になるであろう。全体最適を考えた投資であるべきであるが、廃棄ロスを抑止することに目的を限った投資で費用抑制する考えもはずだ。
業務効率化という自社都合の投資なのか、それとも社会課題解決のための投資なのか。
視点の違いだけなのかもしれない。廃棄ロスをなくという社会課題を解決するために投資することで業務設計しても、最終的には業務効率化、生産性向上にもつながるはずだ。視点をどこに置くか。ビジネスの中心はあくまでも顧客。まずは顧客に向き合う姿勢を取り戻すべきでなかろうか。
業界の垣根を超え、連携していくことで、こうした問題は解決にされていくことのではなかろうか。
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