Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

少し複雑な思い、「EUで旅行再開へ」

 

 世界各地で制限緩和が進むが、まだ多くの国が国境を厳重に管理し、緩やかな鎖国状態が続く。航空業界では、多くの従業員が一時帰休となり、その影響は甚大になっていた。

 

 EUが、大打撃を受けている観光業の復興に向け、夏の行楽シーズンを見据えて、一連の提案を示したとロイターが伝える。

 ロイターによれば、欧州委員のひとりが「専門家の意見も踏まえながら、旅行再開に向け段階的かつ慎重に対応する」と述べたそうだ。

 

欧州委員会は、航空会社がEUで運航を再開する条件として、乗客の距離を空けるために空席を確保する必要はないほか、乗客は旅客機内や空港の中でマスク着用が必須になるとの指針を表明した。

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また、航空各社は感染リスクを抑える必要があるとし、病院で実施しているような高度な換気や個人用保護具(PPE)の調達、移動の制限などを提案した。人が集まる事態を避けるためにチェックインや、荷物を預けたり受け取ったりする方法を再考する必要があるとも表明した。 (出所:ロイター)

 

jp.reuters.com

 

 制限緩和が進むドイツでは、国境規制の一部を16日から緩和し始めるとロイターが伝える。フランス、スイス、オーストリアと合意した国境管理体制の期限は6月15日まで延長されるが、できるだけ多くの国境通過が許可されるようになるほか、全般的な検問は無作為的なものに移行するという。

 

 こうしたEUの動きがきっかけになり、人々はまたかつての移動の自由を取り戻すのだろうか。

 

 

 

  航空業界が止まることで影響を受けるのは、CAなどの従業員ばかりでない。ユーグレナのバイオジェット燃料にも影響があるのだろうか。

 ユーグレナは、「次世代バイオディーゼル燃料の新規供給先の拡大と今後のバイオ燃料の製造・供給について」とのニュースリリースを発行している。

 

新型コロナウイルス感染症の影響が拡大し、収束の見通しも依然不透明な状況が続いており、バイオ燃料供給見込み先における導入スケジュールやバイオ燃料製造実証プラントの稼働スケジュールにも影響が及びつつあります。

今後、当社が次世代バイオディーゼル燃料の供給拡大や有償フライト実現を目指していく方針に変更はありませんが、当面は、関係者の状況への配慮を優先し、製造・供給スケジュールに関しては期限を定めずに柔軟に対応していく予定です。 (出所:ユーグレナ ニュースリリース

 

www.euglena.jp

 

 ユーグレナが『GREEN OIL JAPAN(グリーンオイルジャパン)』を宣言したのは2018年のことだった。

 「日本をバイオ燃料先進国にする」ことを目指し、2020年に陸海空における移動体にバイオ燃料を導入することを目標として進んできたという。そのゴールとなる今年にコロナがやってきたことになる。

 

 バイオ燃料の一種にバイオエタノールがある。世界最大のバイオエタノール生産国は米国で、次いで生産量が多いのがブラジルといわれる。米国では主としてとうもろこしを原料として生産され、ブラジルはサトウキビを原料とする。

 ブラジルのサトウキビ生産量は年々拡大を続け、バイオエタノール向けサトウキビは、サトウキビの全生産量の半数近くを占め、2023年には60%以上となる予測もあるという。

 かつて、ブラジル産サトウキビから生産されるバイオエタノールに注目が集まった。ブラジルの既存の農地で栽培されたものは、カーボンニュートラルとみなすことができたからだった。しかし、アマゾンの森林を開墾し、栽培される作物はカーボンニュートラルとみなされないという。森林開発によるCO2の増加がカウントされるからである(参考:尾崎弘之のホームページ)。

 

 

 

 今年も、ブラジル アマゾンの熱帯雨林の森林破壊が加速しているとAFPが伝える。

 昨年の記録的な森林破壊が繰り返されるか、それ以上に深刻な状況となる恐れがあるとAFPは指摘する。

ブラジルのジャイル・ボルソナロ大統領は、気候変動に懐疑的で、アマゾンでの農鉱業開発を提唱しているという。同政権でのアマゾン保護の取り組みに再び疑問を投げかけている結果になっているという。

 

www.afpbb.com

 

 人々が移動を始めることで、また多量のCO2が排出されることになってしまうのだろうか。EUの旅行再開のニュースは少しばかり複雑な思いがする。

 

 航空燃料がバイオ燃料に切り替えたからとって、CO2の排出がなくなるわけではない。ユーグレナであれば、原料のミドリムシが生産される過程でのCO2の吸収とのオフセットの関係にあり、ライフサイクルアセスメントで評価される。ミドリムシであれば、残渣も再利用できる。

 

 折角、地球浄化が進んだと思ったが、コロナ後の世界では、またCO2が増加する。

 ユーグレナに注目したいし、カーボンニュートラルな燃料を何とか立ち上げて欲しい。そして、バイオ燃料先進国にするという目標も達成して欲しいと思った。

 

 

「関連文書」

dsupplying.hatenablog.com

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「参考文書」

forbesjapan.com