悪化するコロナの状況にため息が出る。そんな中、電力会社のカルテルの疑いなど企業の不祥事も増えている。電力や薬など、生活身近なものを扱う企業の不祥事にはがっかりくる。
なぜ企業は不祥事を起こすのだろうか。悪と知りつつ手を染めしてしまうのだろうか。
コンプライアンス精神の欠如では説明できないような気がする。露見するはずがない、そんな意識が社会のどこかに蔓延っているのだろうか。「性悪説」ということなのだろうか。
英語圏で「エコギルト(Eco-Guilt)」という言葉も生まれているとVogueがいう。
「エコギルト」とは、地球に害となる行動を取った時に感じる自己嫌悪感のことだそうだ。環境問題に関心がある人ほど陥りやすいという。
「使い捨てカップを捨てるときや資源ゴミをきちんと分別しなかったとき、環境に悪いことをしてしまったという罪悪感を感じたことがあるかもしれない。気候危機の緊急性が過去最高に高まっているこのご時世なら、なおさらだ」とVogueは説明する。
「エコギルトを感じた人は、気候変動に関するあらゆる話題を避けるようになることがあります。何かしらの環境問題に触れるたび、自分が悪い人であるかのように思えてしまうからです」 (出所:Vogue)
社会に良いことをしているはずなのに、自分の中のちょっとした誤解が悪い方向につながっていってしまうということなのだろうか。「性悪説」との関わりがあったりのだろう。
「性悪説」、古代中国の思想家 荀子が唱えた主張で、「人間の本性は悪である」とする説だ。百科事典を調べれば、荀子は、人間の本性は本質的に「悪」であるとしたわけではなく、人間は環境や欲望によって悪に走りやすい傾向があることを指摘しようとしたという。
したがって、礼や教育次第で、「人間は善に矯正できる」と説いている。
荀子が主張しようとしたのはいかなる「悪」も努力次第では直るということであって、あらゆることにおいて「人間の努力の継続こそが大切である」とする彼の基本理論がそこに現れている。 (出所:コトバンク)
「VUCA(ブーカ)」を通り越し、劇的に変化する今の環境が影響しているのだろうか。
ESG投資が本流となり、「サステナビリティ」経営ばかりに注目が集まり、SDGsが街中に溢れる。自分だけ取り残されまいと焦ると、そうした罠に陥りやすいのかもしれない。
(VUCA:Volatility(変動性、不安定さ)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性))
ファッション業界は「ユニクロ一強」といわれるようになり、アパレル各社もエコブランドを立ち上げ、追撃し始めたように映る。そんな中、ユニテッドアローズの社長が交代し、経営再建を託される。
「今はユニクロファッションが大きいカテゴリーとして存在していますが、僕の考えでは同じファッションがずっと続くことは基本ないと考えています。同じテイストの服をずっと着てたら飽きちゃうと思うので」と話すのはUAの新社長松崎氏。「ファッションはどの方向に向かっていくと思いますか?」とFashionsnapに質問され答えた言葉だ。
ユニクロのような「機能としての服」も必要だとは思います。でも我々が考えるファッションはもっと情緒的なもの。気分や感情が変わるファッションを提供したいと思っていますから、そういう点ではあまり比較はしていません。というか、ライバル視するのもおこがましいですし、全然桁違いなので。 (出所:Fashionsnap)
ここ最近の流れにあって、一石を投じる発言のような気もする。
ユニクロ柳井氏の熱量とユニークさを凌駕すれば、その流れに変化はあるのかもしれないが、同じ土俵で戦うことを考えず、大きな利益を求めなければ、ニッチな世界で生きる手もあるのだろう。それとも「サステナビリティ」を加味した上でのことなのだろうか。
少しばかりユナイテッドアローズにも注目してみたいと思う。