日本の「サスティナビリティ」は遅れているのであろうか?
そんなことが気になるようになってきていた。欧州発のソーシャルグッドな情報を目にすると、何となく、そんな気分にもなる。政策的に「グリーンディール」を進めている欧州なら、そうした社会的によいビジネスが萌芽しやすいのだろうし、まだ数少なくレアなケースであるからこそ、ニュースになるのかなと思ったりしてきている。
サスティナビリティ先進地と思われる欧州でも、まだマジョリティは、まだ「アンサスティナビリティ」なのかもしれない。だからこそ、若者たちが声をあげ活動しているのか。
日本経済新聞が、食品ロスの問題に挑戦する日本のスタートアップを紹介する。中には、SDGsが事業成長のきっかけになったとの紹介もある。ようやく、こうした活動が報道されるようになってきた。
クラダシが扱う商品は、食品流通の商習慣「3分の1ルール」で廃棄される予定の商品だ。
3分の1ルールは、食品の製造日から賞味期限までを3分割し、食品メーカーは製造日から3分の1の時点までに小売店に納入するという商習慣である。期限内に納入できなかったり、売れ残ったりした商品は廃棄される。
クラダシでは、こうした商品を買い取り、通常価格の半額程度で販売する。
サービスを開始した15年2月はまだSDGsが採択される前だった。このときは、関藤竜也社長が食品メーカーを毎日のように訪問して協力を訴えたが、「100連敗だった」と振り返る。(出所:日本経済新聞)
衣料品の大量廃棄問題が取り沙汰されたアパレル業界にも変化の兆しが現れはじめたのだろうか。業界紙「繊研新聞」が、総合アパレルの商習慣の見直しの動きが報じる。
市民の声が業界を動かしたということなのであろうか。
総合アパレルメーカーの経営トップが、従来のシーズンMDをはじめとする商慣習の抜本的な見直しを掲げ始めた。商品の供給過剰解消に向けた業界構造の改革が、焦眉(しょうび)の課題として広がっている。
温暖化など気候の激しい変動のなかで、市場の需要期とファッションビジネス業界の既存のシーズンMDにギャップが生じている。
TSIホールディングスの上田谷真一社長は、
『セールを前提に大量生産して、売り減らす仕組みから脱却し、無駄のない製販体制の確立を目指す構え。
「原価率の低い商品の〝見せかけの正価〟を、値引きして販売することは通用しなくなる。』
と強調したと繊研新聞は紹介する。
古い商習慣から脱却し、新たなものを築き上げていくことは容易なことではないかもしれない。
サスティナビリティという新たな価値がトレンドになるが、こうしたことに精通した専門家はどれだけいるのだろうか。SDGsにおいても、また同じではないであろうか。
投資がESG投資に傾斜しつつあり、社会のしくみが変化する。投資家が企業に求められることも変化する。先取的な大企業はその対応を始めている。
より広くサスティナビリティを社会に定着させていくためには、SDGsやサスティナビリティに精通した専門スキルが必要になっていくのかもしれない。そうした知識が古い常識を壊し、新たな価値を作っていく。企業の中でも、そうした人材を育成することが求められているのかもしれない。
テクノロジーが進歩することで、時短とか、便利さがあたりまえになった。テクノジーの向きを少しばかり変える必要があるのかもしれない。
次なる世代である子どもらは、もうそうしたことを学び始めていると聞く。大人たちも子どもたちに負けないよう学んでいかなければならない。