Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

【気候危機】脱炭素を進めても、失われる自然はある

 

 毎年この時期になると、亡くなった父の山形の実家からさくらんぼが届きます。その年のできの良い品種が届くので、たいへん美味しくいただくことができます。今年はあまり出来がよくなく、また不作だったとの連絡がありました。

 朝日新聞が「今年は1996年以来の不作が見込まれて、値段が上がり......」といいます。うなずける内容です。

digital.asahi.com

 記事は果物の産地が北へ移動していると指摘します。山形のさくらんぼ農家が北海道富良野で栽培を始めるともいいます。

 その背景にあると言われるのが「地球温暖化」、和歌山の南高梅も昨年、過去10年で最少の収穫量で、その影響が指摘されたといいます。

 気候危機ということなのでしょうか。送られてきた今年のさくらんぼをいだいて、そうなんだと思うばかりです。

 

 

 オーストラリアでは、グレートバリアリーフサンゴ礁が危機的な状況にあり、「危機にさらされている世界遺産」に登録すべきだと国連が勧告したといいます。

jp.reuters.com

 グレートバリアリーフは1981年に世界遺産に登録されましたが、近年は、深刻な海水温上昇により2016年、17年、20年とサンゴの白化現象が生じるようになったといいます。サンゴ礁の健全性は損なわれ、そこで生育する動物や鳥類、海洋個体群に影響を与えているとロイターが報じます。 

 環境保護活動家や研究者たちは、思い切った気候変動対策を打ち出し、地球温暖化ガスの排出量をさらに削減し、環境に優しい経済を生み出す必要があると指摘しているといいます。

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 こうしたニュースを目にすると、今始まった政府や企業の脱炭素活動はいったい何のためのなのだろうかと考えてしまいます。

 気候変動の影響が顕在化しているというのに、今の対策だけでいいのだろうかと心配になります。10年後20年後を見据えた対策も必要なのでしょうが、足下での自然回復プログラムも必要のように感じます。今ある自然を保全することも脱炭素の目的のひとつではないでしょうか。対策に時間が要する間に、自然が失われないよう努めることも求められるはずです。

 

 ナショナル ジオグラフィックは、「ミニ森林」を紹介し、それが世界で広がりつつあるといいます。

 土地本来の若木を、間隔を詰めて植樹し、荒廃した土地に短期間で森林を再生させるのが「ミニ森林」、日本の植物学者である宮脇昭氏の活動を始まりだといいます。

 1970年代から各地で植樹活動をおこなわれているこの方法では、幅1mの土地があればできるそうです。

natgeo.nikkeibp.co.jp

「ミニ森林」は、大規模な炭素の固定は期待できません。有効な気候変動対策にはならないものの、生態系を豊かにし、自然の力を利用して都市部での熱波の影響を和らげ、土壌の保水力向上に期待があるといいます。

 気候変動の解決は、炭素排出量を削減することだけですとナショナルジオグラフィックはいいます。

 消費することを前提した技術開発ばかりでなく、自然回復のための技術開発を加速させるべきでもあると思えます。ミニ森林と脱炭素をセットで進める方法があってもよいのではないでしょうか。

 

 

 CCUSやDACなど二酸化炭素を回収する技術が開発されています。しかし、CO2自体を上手に利用できなければ、どこかに貯留するしかありません。自然の力に頼った方が遥かに効率的なような気がします。自然は優れた力を有しています。植物は光合成を通して、二酸化炭素を吸収し、炭素を自然の中に貯蔵し、酸素を放出します。この力を利用しない手はないはずです。

 

「関連文書」

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【脱炭素はビジネスチャンスか】北欧ボルボが挑戦する「水素還元鉄」、早くも26年に実用化か

 

 「脱炭素」をテーマにした記事を多く見かけるようになりました。それだけ、関心が高まっているということなのでしょう。

カーボンニュートラルで問われる自動車メーカーのコスト意識、CO2削減コストは誰の負担か サプライヤー巻き込んだ取り組み不可欠」と日刊自動車新聞は言います。

www.netdenjd.com

 間違ったことを言っていることはないのでしょうが、どうも釈然としません。カーボンニュートラルを達成するために、それに導くリーダーの存在は必要なのでしょうが、今やどの企業も等しく、その達成を求められているのではないでしょうか。

 

 

 国連主導のもと、各国政府が規制に乗り出し、2050年のカーボンニュートラルが絶対になりつつあるようです。企業においても、これから逃れられることはもうできないといっても過言でないような気がします。

 最終製品を製造販売する企業が中心となって、LCA(ライフサイクルアセスメント)の見地から検証し、温室効果ガスの排出量管理が求められているのかもしれません。そこから逃げようとすれば、市場から締め出される可能性があります。だからこそ、自動車メーカをはじめ最終セットメーカが躍起になり、カーボンニュートラルを推進しようとしているように思われます。

 北欧スウェーデンでは、自動車メーカのボルボと鉄鋼メーカのSSABが協力して、「水素還元鉄」を2026年から供給することで開発プロジェクトを進めるといいます。それもその現れのように思います。

www.webcg.net

 この「水素還元鉄」は、日刊自動車新聞が伝えるように日本製鉄も開発を進めています。それにかかる多額の費用を問題視するのではなく、それがカーボンニュートラルという社会課題の解決に役立ち、求められている技術ということではないでしょうか。

 何も特別なことでもなく、他の技術開発と同じように扱われるべきで、その費用回収も企業が考えるべき問題であるように思えてなりません。環境対策だからといって、それを恩着せがましく、言い訳してはならないはずです。それができなければ、ボルボのように先駆的に取り組む会社から置いていかれるばかになるだけではないでしょうか。

 

 

 「多くの主要企業が「カーボンニュートラル」に向けて取り組んでおり、排出量のモニタリング、管理、相殺(オフセット)を支援するプラットフォームを探し求めている」と日本経済新聞はいいます。

www.nikkei.com

排出量を管理しようとする企業の需要の高まりを受け、2021年に入ってからの排出量の算定や取引市場を手掛ける企業の資金調達件数は15件、新株発行を伴う調達総額は1億ドル近くと件数、金額ともに既に過去最高を更新した。 (出所:日本経済新聞) 

 これほどニーズがはっきりし、需要が見込める絶好なビジネス機会はこれまでなかったような気がします。

 二酸化炭素の排出抑制をやらなければならないことと、後ろ向きにい捉えてしまえば、なかなか良いアイディアが生まれてこないのかもしれません。

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 どんな素晴らしい技術もアイディアも先行投資なくして、これまでに実用化されることはなかったはずです。いつまで環境問題を特別なこととして扱えば気がすむのでしょうか。

 逆境も逆手に取れば、ビジネスチャンスになるように思います。 

 

【気候変動に立ち向う】脱炭素を目指す「コラボレーション」、アディダスとオールバーズの事例他

 国連のIPCC気候変動に関する政府間パネル)の報告書が来年2022年2月に公開予定といいます。その草稿をAFPが独自に入手、その内容を伝えています。

最悪の事態はまだこれからだ。われわれの子どもや孫の生活への影響は、現在われわれが受けているものを大きく上回る

IPCCはこの中で、種の絶滅、疾病のまん延、命を脅かすほどの酷暑、生態系の崩壊、都市に迫る海面上昇の脅威といった気候変動による破滅的な影響は加速しており、今生まれた子どもが30歳になる前に、明らかな影響が出てくるのは避けられないと指摘している。 (出所:AFP BB NEWS)

www.afpbb.com

 AFPによると、報告書の草稿では、気温上昇が1.5度以上となるだけでも「数世紀に及ぶ、着実に深刻度が増す影響を引き起こし、不可逆的な結果を生むこともある」と指摘、「気温上昇が1.5℃に抑えられたとしても、多くの生物が適応できる範囲以上の環境変化がある」としているそうです。さらに気温の上昇幅が2℃になると、生命の危険がある極度の熱波に見舞われる人は4億2000万人増えるそうです。

 ゾッとしそうな内容になるのでしょうか。温暖化の抑制を真に急がねばならないようです。

 

 

 紙関連産業の一大集積地で、「紙のまち」として知られる愛媛県四国中央市では、大手製紙メーカー2社が、「カーボンニュートラル協議会」を設立、協力して2050の二酸化炭素の排出ゼロを目指すことになったといいます。この協議会を設立したのは、四国中央市に本社を置く、業界4位の大王製紙と7位の丸住製紙です。

 NHKによると、製紙業界の2019年度の二酸化炭素排出量は、2100万トンで、産業部門全体の5.5%を占めているといいます。製造業の中では「鉄鋼」「化学工業」「機械」「窯業など」の次に多くなっています。環境白書でも、製紙業界を脱炭素が困難な産業のひとつにあげていました。

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 製紙業界全体では、必要なエネルギーのおよそ9割を自家発電でまかなっているそうです。紙をつくるためには、その乾燥のために膨大な熱エネルギーが必要とするです。自家発電で得られる熱を有効活用しているそうです。

www.daio-paper.co.jp

 「今後の地球温暖化対策のモデルケースになりうるものだ。多くのハードルがあるが、新技術の挑戦など緊密に連携していきたい」と、今回の協力を、大王製紙の若林社長が述べているそうです。

 技術面、そして、費用面でも困難な問題であっても、業界内で協力すれば、もしかしたら問題解決が図ることができるのかもしれません。新たな潮流になればいいのかもしれません。

 

 

 スポーツブランド、スニーカー業界では、ライバル関係にあるアディダスとオールバーズがコラボして、カーボンフットプリントを低減した商品を開発しました。

 このコラボレーションでは技術や素材を共有することで、1足あたり2.94kg CO2e (二酸化炭素換算 )の新しいランニングシューズ「FUTURECRAFT.FOOTPRINT (フューチャークラフトフットプリント)」が誕生したといいます。

 カーボンフットプリント「2.94kg CO2e」とは、従来のランニングシューズ adizero RC3の測定値 7.86kg CO2eと比較し、63%も削減されているそうです。

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(写真:オールバーズ

開発チームは大陸間の時差を越え、開発から納品までの作業をデジタルで行い、カーボンフットプリントを抑える開発プロセスを採用しました。

アディダスとオールバーズの各チームは、プロダクトデザイン、素材イノベーションサステナビリティサプライチェーンの全てにおいて分析的な手法を用いながら、あらゆる構成要素とプロセスの見直しを行いました。

パフォーマンスを損なうことなく、可能な限りカーボンフットプリントを抑えるフットウェアを製造するという共通のビジョンを追求した結果、わずか12ヶ月の間に素材、製造技術、パッケージに至るまで全てを再考することに成功しました。 (出所:オールバーズ)

 このシューズは今年2021年5月、100足限定で発売されたそうです。今年2021年秋冬に10,000足限定で一般販売され、2022年春夏にはさらに拡大していくそうです。

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(写真:オールバーズ)

「脱炭素」時代のイノベーションのあり方のような気がします。互いの知見と技術を共有する、それで開発費用が抑制できる。そして、途轍もなく脱炭素にも貢献できる商品ができれば、なおさらなのでしょう。

 人類共通の大きな気候変動の解決に、1社単独で立ち向かうよりは、こうした協力のもと、進めていくべきなのかもしれません。

 

「関連文書」
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【脱炭素とバイオエコノミー】再エネ、水素といわれる中、デンソーは「藻」を研究

 

 IEA国際エネルギー機関(IEA)が、「2050年までに二酸化炭素(CO2)排出量を実質ゼロにするための工程表」をまとめたそうです。この特別報告書が5月に公表され、その内容を日本経済新聞が解説しています。

www.nikkei.com

IEAは再生可能エネルギーの導入拡大を前提に、電化が気候変動対策の原動力になると考えている

製鉄では電炉、車両では電気自動車(EV)などの電化が高度に進展することで化石燃料需要が減り、CO2の排出も減るとのロジックだ。 (出所:日本経済新聞

 地球上には無尽蔵な再生可能エネルギーが存在しています。太陽光、風力、地熱、波力などなどあげればきりがないほどたくさんあります。

 

 

 IEAは、豊富な再生エネ電力があれば、化石燃料の需要は減り、CO2の地下貯留(CCS)といった技術の必要性も低下すると指摘しているそうです。一方、穀物などを使ったバイオマス燃料については、生物多様性や農業の持続可能性を守るためか、供給量があまり増えるとは見込んでいないといいます。そのためなのでしょうか、航空部門のエネルギーの3分の1は水素からつくる合成燃料で賄われるとのシナリオを描いているそうです。

「シナリオは1つの正解を与えてくれるものではない。想定をみて、実質排出ゼロは難しいと考えるだけか、ボトルネックにチャンスがあると考えるかは、読み手次第だ」と日本経済新聞は指摘します。

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 その通りなのでしょう。世界全体で必要となる再生可能エネルギーは膨大な量となり、それを必要な期日までに設備できるのか、そんな疑問があってもおかしくはないのでしょう。その補完のためには水素が必要になり、それを安価に大量に製造する技術と設備も必要になります。新たな成長のエンジンとも言えそうですが、一方で脱炭素目標もクリアにしていかねばなりません。難しいという理由はこうしたことにあるのでしょう。

 ただ、水素はたいへん危険な物質です。

 1937年にはツェッペリン社の「ヒンデンブルク号」が爆発事故を起こしました。その時に燃料に積んでいたのはヘリウムではなく水素でした。その当時、飛行船技術は、テクノロジーと贅沢の象徴だったともいいます。

 福島での原発事故も同じことが言えるのかもしれません。あの爆発事故も水素に引火してのことでした。

 水素を完全否定する気はありませんが、その危険性と隣り合わせであることは常に考えておかなければならないと思います。

 

 

 太古の昔、誕生したばかりの地球は過酷な環境にあったといいます。その地球を生き物が棲めるような環境に変えてくれたのが、約25億年以上前の海に誕生した「藻」だといわれています。

 デンソーによると、「シアノバクテリア(ラン藻)」 と呼ばれる藻は、地球上で最初に酸素を発生する光合成の能力をもった生き物だといいます。彼らが海中で繁殖した結果、光合成でできた酸素が海で飽和して、次第に大気へと排出、生き物にとって欠かせない酸素を生み出し、地球を緑豊かな多様な生物が住める環境に変えたのですといいます。

 デンソートヨタグループのティア1に属し、自動車関連の製品を作っていますが、今「藻」の研究を進めているといいます。

www.denso.com

ものづくり産業は、変わらなければならない。

「このままの体制で、CO2を出し続けていてはいけない」という危機感を持っていました。そして、カーボンニュートラルに向けた製造プロセスの見直し、よりエコなエネルギー源の検討をする中で、バイオ燃料の原料として注目され始めていた、藻の存在を知ったのです。 (出所:デンソー

 これが「藻」の研究を始めた動機のようです。そして、小さな生き物である藻が集まることで、気候変動を抑制し、カーボンニュートラルな社会へのひとつの解になるとデンソーは言います。

 再生可能エネルギー、水素などの技術開発が重要であることは理解できます。しかし、そればかりでなく、「藻」などを活用したバイオエコノミーの推進も必要になっているように思います。

 

 

【ネットポジティブへ】スタバがこの秋に始める「カップのシェアリング」サービス

 

「ポスト・サスティナブルの世界」との言葉が気になります。

サステナビリティ」という言葉が広く一般にも知られるようになった、しかし、環境破壊が加速する昨今、この「サステナビリティ」という考えだけでは、問題の悪化を食い止めることができず、持続可能性の達成は難しいのではないかとの声が増えてきている、と「AMP」が指摘しています。

 今後、サステナビリティに代わる言葉として、「リジェネレーション」や「ネットポジティブ」という考えが広がるのではないかといいます。 

ampmedia.jp

 確かに、昨今では旅行業界も「サステナブル・ツーリズム」と言っています。流行り言葉になるのも如何なものかと思ったりもしますが、にわかファンを作らないと、何事も定着していかないともいうそうです。

 経験を通して「持続可能性 サステナビリティ」を体感できればいいのかもしれません。

 

 

 人類はこれまで無償の地球資源を使って、様々なモノを発明してきました。それによって生活は便利になりました。元々現地でしか食べられなかった食べ物や手に入りにくかった希少なものでさえ、冷蔵技術や物流の発展で、今では何でも買うこともできるようになりました。

 しかし、その一方で、不要なものが大量に廃棄されるようになり、そうしたものが私たちの暮らしに悪影響を及ぼし始めるようになりました。

 二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスはその例なのかもしれません。大量に物資を輸送すれば、それだけ二酸化炭素は排出されます。それが今までであったということでしょうか。こうしたことを背景に「ゼロ・エミッション」や「サスティナビリティ」が意識されるようになりました。

 何かが定着し始まれば、より先駆的に取り組む活動も必要になるのでしょう。

 廃棄されたものを再利用することができれば、新たに必要となる資源はその分だけ少なくすみます。

 排出されるばかりで地球を暖めるだけであった二酸化炭素を資源にして、有効活用できれば、それは「サスティナビリティ」に大きく貢献しそうです。現実に、CCU(Carbon capture and utilization)として技術開発が進み、次世代燃料としての期待も高まります。また、「リジェネレーション」や「ネットポジティブ」につながりそうな気もします。

 

 

 そしてもう既に、こうした言葉をキーワードにして、取り組み始めている企業もあります。

 スターバックスもそんな企業のひとつなのかもしれません。

事業運営を通じて、資源を使うより、生み出し、還元していく「リソースポジティブ」の実現を目指しています」とスターバックスはいいます。

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(画像:スターバックスジャパン)

 スタバの数値目標が野心的なものとは言えそうにないように思います。しかし、千里の道も一歩から、パーパス、使命を掲げなければ、目標に近づくことはないのかもしれません。

 新規投入する資源量よりも再利用を増やしていく、廃棄していたものを資源に変えていく。必要とする資源量を減らしていく。こうしたことで、「ネットポジティブ」に近づくのかもしれません。

 スターバックスは6月21日、日本上陸25周年を記念して、さらなる成長への重要な取り組みを発表しました。

www.starbucks.co.jp

繰り返し使える「カップのシェアリングプログラム」の実証実験を、丸の内エリアの店舗で2021年秋よりスタート。

プラスチックカップを含む使い捨て容器の代わりに、リユースカップでドリンクを提供し、参加店舗での回収、委託先での洗浄を通して、リユースプラットフォームを構築します。地球資源に過度に頼らないサービスの在り方を追求し、使い捨てカップの使用量の削減につなげます。 (出所:スターバックス

 この他にも、6月23日からは、不用となったスターバックスのプラスチック製のタンブラー等を全国約500店舗で回収し、リサイクルにつなげる「タンブラー回収プログラム」を実施するそうです。回収したタンブラーはリサイクルして、新たな製品・資材の原料として活用し、商品は来年にもスターバックス店舗で販売する予定といいます(8月31日(火)まで)。

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(画像:スターバックスジャパン)

 8月23日(月)からは、全国の店舗でフードロス削減のため、夜間の商品販売価格の値引きする新プログラムをスタートするそうです。これによりスターバックスの食品廃棄物の約15%を占める期限切れフードの廃棄量の削減を目指しますといいます。

 また、9月からはフラペチーノ® のストローも紙ストローに切り替えるそうです。これによって、店舗での使い捨てストローはすべて紙製に変更となるそうです。

 

 

 今すぐに大きな成果につながることはないのかもしれません。ただ、こうした取り組みを続けていかないとゴールに近づきません。そして、これらがスタバの日々の仕事のひとつでもあるのでしょう。

 

【遅れるエネルギー基本計画】進む気候変動と顕在化する電力不足

 

  異常気象が発生しても驚かなくなるほど怖いことはないのかもしれません。相変わらず、今年も世界各地で異常気象が観測されているようです。

 米カリフォルニアでは主要な貯水池における水位の低下によって、今夏、水力発電所を史上初めて閉鎖する事態に陥る可能性があるとCNNが報じています。

 それによると、気候変動のため悪化する厳しい干ばつと記録的な熱波により、カリフォルニア州北部のオーロビル湖の水位が急激に減少していることが理由のようです。

www.cnn.co.jp

 昨年カリフォルニア州を熱波が襲い、デスバレーで54.4℃を記録しましたが、今年もまた熱波が襲っているようです。現地時間の17日(木)にはデスバレーで53℃の猛烈な暑さを観測したといいます。

アメリカで熱波続く デスバレーは気温53℃まで上昇 - ウェザーニュース

 熱波が続くようだと水力発電に影響があるようです。CNNによれば、1967年の開設以来初めて、エドワード・ハイアット発電所の閉鎖を強いられる可能性があるといいます。

 昨年、カリフォルニア州では計画停電が実施されたことを思い出します。今年も同じようなことが起きるのでしょうか。

 

 

 中国広東省雲南省でも5月、高温の日が続き、少雨で水力発電での発電量が低下、電力供給逼迫が起き、電力制限が実施されていたといいます。

広東省の電力制限、地域差あるも徐々に緩和(中国) | ビジネス短信 - ジェトロ

 広東省などに進出する日系企業がその影響を受けていたそうです。6月に入ってからは降雨による水力発電量の回復などもあって、状況が好転しているといいますが、まだ予断を許さない状況だともいいます。

 電力制限の背景には、コロナ禍から工業の回復が速かったことや、高温が続いたことも影響していたようです。

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 国内では、今夏、電力需給が多くの地域でここ数年で最も厳しくなると予想されていましたが、原子力発電所の再稼働や停止していた火力発電所の復旧によって改善する見通しとNHKが報じています。

夏の電力需給 原発再稼働や火力発電所の復旧で改善の見通し | 各地の原発 | NHKニュース

 それによると、10年に1度程度の猛暑を想定した場合、本州と四国、九州では電力供給の余力を示す予備率が、安定供給に最低限必要な3%は上回るもののここ数年で最も厳しいとされていたといいます。

福井県にある関西電力美浜原発3号機が今月中に再稼働することになったほか、トラブルで停止していた四国と東北の火力発電所で復旧のめどが立ったことなどから供給力が増える見込みとなりました。

その結果、最新の状況を反映したこの夏の予備率は、7月は本州、四国、九州で5%台から6%台に改善する見通しです。 (出所:NHK

 ほっとはできますが、原発に火力の再稼働と聞くと、それはそれでいいのかなと思ったりします。

 再生可能エネルギーの早期の整備を望みますが、その建設には長い時間がかかってしまうのでしょうか。やはり足下では、節電、省エネが最善の策ということなのかもしれません。

 国の6次エネルギー基本計画も遅れているようです。

 「中長期のエネルギー政策の方向性を示すエネルギー基本計画の策定が難航している」と日本経済新聞が報じています。

www.nikkei.com

 日本経済新聞によると、2050年の脱炭素に向け原子力発電所の建て替えの是非などを巡り政府・与党内で意見が割れているためといいます。計画の原案を5月に示す案もあったそうですが、まだ提示されず策定は秋までの衆院選後になる可能性もあるとのことです。 気になります。

 

 「関連文書」

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【気候変動の対策強化を求める株主提案】それを拒絶する企業たち その理由は

 

 株主総会で、気候変動への対策強化を求める株主提案の動きが広がっているという。

 JIJI.COMによれば、電力会社以外で昨年1件だった株主提案が、今年は金融や商社などに対し出されているそうだ。招集通知に気候変動や社会課題への対応状況を掲載する企業も増えているという。
www.jiji.com

 住友商事東洋製罐グループには、オーストラリアの環境団体と香港のファンドがそれぞれ情報開示の強化などを求めて株主提案したという。また、関西電力には京都市が石炭火力発電所の新設中止などを提案したそうだ。

 

 

  住友商事によれば、株主から「パリ協定に沿った事業活動のための事業戦略を記載した計画の策定と開示という条項を定款に規定する」との提案があったという。

 取締役会で検討、この提案に反対との立場と表明し、株主総会では否決されたいう。

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(資料:住友商事

 取締役会として反対した理由は、既に気候変動緩和の各種課題解決を目指していること、また、必要に応じ機動的に計画を変更し、実行していくためには個別方針を定款に定めることを避けたという。

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「提案することで取締役会が対策の検討を迫られる」。

気候ネットワークの平田仁子理事がそう話しているとJIJI.COMは紹介する。  

 住友商事の事例でも、意味はあったのだろう。

dsupplying.hatenablog.com

 

 一方で、そうした方針を定款に規定する企業もある。

 ダノンが上場企業としては世界で初めて、株主価値の持続的向上と社会、環境問題解決の両立をはかることを定款にて明確にし、株主総会で99%以上の株主の賛成で決議されたという。

dsupplying.hatenablog.com

株主の長期的な価値創造と社会、環境問題の解決は二律背反ではないという、SDGs・ESG経営の考えを、ダノンが実践していくことを期待しています。 

(出所:ダノン公式サイト「ダノン、上場企業初となる「Entreprise à Mission(使命を果たす会社)」に) 

 国内企業も、株主提案を端から拒絶することなく、もっと前向きにとらえてみてはどうだろうか。

 既に取り組んでいるのなら、定款を変更しても何も差し支えないのではなかろうか。それともNGOからの提案を受け入れることに抵抗感でもあるのだろうか。

 

 

 欧州では、バイオマス発電力の一部を再生可能エネルギーから除外する方向の規制強化を検討しているそうだ。

 日本経済新聞によれば、その背景には、環境団体や専門家からの圧力の高まりがあるという。 

www.nikkei.com

 環境団体や専門家らは木材の燃焼を伴う発電は二酸化炭素(CO2)を排出し、「カーボンシンク」とよばれる森林によるCO2吸収の機能を低下させると訴えている。

欧州委に対しては、再生可能エネルギー指令を改正し森林由来の原料を使った電力を再生可能エネルギーと認めないよう求めている。 (出所:日本経済新聞) 

 きわめてリーズナブルな主張なのだろう。木を燃やさなければ、二酸化炭素の排出より吸収の方が多くなることもあるのかもしれない。それでも持続的な森林管理は必要であろうし、伐採が必要な木がなくなることはないのだろう。

「全体のなかでバイオマス発電は必要な部分だ。だが、それは適切なバイオマスである必要がある。(バイオマスといえば)森林を丸ごと切って焼却炉に放り込むという見方は容認しがたい。それは持続可能でないし、議論として成立しない」と、欧州委のフランス・ティメルマンス上級副委員長(気候変動担当)が述べたという。

 サスティナビリティで先行く欧州でも、規制がないと秩序は維持されないのだろうか。

 

 

 こうした気候変動に関わる問題は企業活動によって生じ、また、その問題は企業活動によって解決される。

 国の規制は常に後手に回るものだ。いつまでもNGOばかりが監視活動するのではなく、もしかしたら、株主一般がそうした目を養えばいいのかもしれない。