Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

総論賛成、各論反対 それでコロナと脱炭素は解決されるのか

 

 米ファイザー社製のワクチンを2度接種することにより、新型コロナウイルスによる死亡例が98.9%減少したとする調査結果がイスラエル保健省によって発表されたとJIJI.COMが伝える。

保健省の調査は、2月13日の時点で、その2週間前までに2度目の接種を終えた人々と、ワクチン未接種の人々を比較した結果という。発症率全体については95.8%低下した。 (出所:JIJI.COM)

www.jiji.com

 

遅れるワクチン調達

 希望を感じる反面、一方で、ワクチンの供給量が限定的と聞く。ファイザーの生産体制の問題とあるが、元々の手配に問題がなかったのだろうか。

 

 

 ブルームバーグによれば、先に開催されたG7の声明では、「新型コロナウイルス感染症に打ち勝つ世界の結束の証しとして、今夏に安全、安心な方法で東京五輪パラリンピックを開催するという日本の決意を支持する」との文言が盛り込まれたという。

 オリンピックとワクチン。もう少し賢くワクチンを調達することはできないのだろうか。

 

高額なコロナ関連アプリ

 3億円以上の費用をかけたコロナ接触追跡アプリ「COCOA」で不具合が生じている。その問題も解決されないまま、今度は、五輪観客向けの専用アプリ開発が進められているという。

 日刊ゲンダイデジタルによれば、「オリンピック・パラリンピック観客等向けアプリ(仮称)」と呼ばれ、内閣官房が調達を進めているそうだ。

 その開発費用は、運用・保守もあわせ、何と総額73億円という。

www.nikkan-gendai.com

 

 京都新聞によれば、「外国からの観客の健康管理が目的で訪日前から出国後まで持たせる」と内閣官房審議官が説明しているという。

気になるのは、入国客にワクチン接種を義務づけず、アプリで済ます動きがあることだ。

厚労省からは「アプリの機能が不十分なら、五輪後に感染爆発を招く。誰が責任を取るのか」という懸念の声が伝わってくる。

同省はCOCOAの機能不全を厳しく批判された。それだけに懸念には実感が伴うが、政府内では共有されないらしい。 (出所:京都新聞

www.kyoto-np.co.jp

 

 「COCOA」の費用でも十分に高いと感じてしまうが、それの20倍近い費用が掛かると聞くと驚愕するしかない。73億円の費用内訳を精査したのだろうか。アプリ開発に何人のエンジニアが投入されるのだろうか。

 デジタル化で労働生産性向上というが、まずはアプリ開発労働生産性改善から始めた方が良さそうだ。

 こうしたことが歪な社会構造が生みだす一端なのかもしれない。

 

 

 グリーンテックが環境破壊を生む矛盾

 「川が汚れてから住民気づく…太陽光発電巡りトラブル続発も」との記事を読売新聞が出す。

www.yomiuri.co.jp

  地球温暖化対策、「脱炭素化」に向けての切り札になるはずのグリーンテック「再生可能エネルギー」で環境破壊が進むという矛盾。なぜこんな事態になるのか。

 企業体質の問題なのだろうか。それとも、その企業を構成する人々の資質の問題なのだろうか。SDGsSDGs、仕事は仕事にならざるを得ない事情でもあるのだろうか。

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総論賛成、各論反対で脱炭素は進むのか

経団連はまた、水素燃料やCCSのような革命的な技術を開発するために必要な資金を企業から奪うことになるとして、炭素税にも反対している」と東洋経済オンラインは指摘する。

 
toyokeizai.net

 

 国が「脱炭素」を掲げれば、総論では賛成するが、各論では反対する。自分の懐は傷めないが、補助金があれば対応する。そんな姿が透ける。国もそれを許してしまうのだから、質が悪いということなのかもしれない。

 

 

 人はなぜにこうも愚かなことをするのだろうかと思うときがある。

 コロナもそうなのだろうが、事態が悪化してからでないと対処できない。モグラたたきでは根本解決にならない。

 もしかしたら、「ワクチン調達」にしろ、「脱炭素」の問題も根っこは同じところにあるのかもしれない。最悪の事態は想定されているのだろうか。

 シンガポールに駐在していたとき、現地スタッフがことあるたびに「失敗したらどうなる」と言っていたこと思い出す。担当者だからこそ見える、心配事もあったのかもしれない。当時は小うるさいと思うことの方が多かったが、その一言があれば、一時でも立ち止まり、考えを巡らすことになる。そういうときは失敗もせずにうまくいくことの多い。

 声をあげている人はいるのだろうか。イエスマンばかりでは危ういのかもしれない。危機感を少し感じる。国の行く末が心配になるときもある。

 

気がつけば多様性ある社会 手話が共通言語のスターバックス

 

 大坂なおみさんが全豪オープンで優勝された。グランドスラム4勝目。おめでとうございます!

 決勝戦のあとのセレモニー、決勝で戦った2人が互いに称え合い、リスペクトする。スポーツマンシップというよりは、現代の「礼」の形であろうか。www.afpbb.com

 決勝での大坂の相手はジェニファー・ブレイディ(米国)。そのブレイディは、オーストラリア到着後に、飛行機の同乗者に陽性と判定された人物が出たため、14日間の完全隔離状態にあったという。

 練習も外出もできない完全隔離組から決勝に残ったという。コロナ渦を象徴するような出来事なのだろう。

 苦労の多かった大会だったのではなかろうか。昨年の緊急事態宣言下ではスポーツもイベントすべてがなかったことを思い出す。こんなときに、大坂の優勝を見ることができて、素直にうれしかった。

 

 

「日本一静かなカフェ」

 スターバックスのツイートが目にとまり、気になった。母が起き出す前までのわずかな時間だったが、今朝番組を観ることにした。

 

www.nhk.jp

 

 「日本一静かで、笑顔あふれるカフェ」

 東京都国立市に昨年6月、手話が共通言語のスターバックスが日本で初めてオープンしたという。

 手話は、英語で「Sign language(サイン ランゲージ)」というそうだ。

手話を共通言語とするスターバックス店舗は「サイニング・ストア」と呼ばれています。 (出所:BuzzFeed Japan) 

 日本初の「サイニング・ストア」、世界で5店めだという。  

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(写真:スターバックス

  誰にも等しく機会やチャンスが与えれている。番組を観て、そんなことを感じた。

  たとえ聴覚障害者であろうとも、ごく普通にプレゼンをして、採算性が評価される。そして、認められ、新しいスタイルの店舗がオープンする。ごく当たり前の手続き。

 個々人が持つ特有なことへの配慮はあったのかもしれないが、区別されることなく、同じ舞台にあがり、活躍していることに感銘を受ける。

 

 

 スタバのミッションには、こう書かれている。 

Our Mission & Valuesのもと、お互いに心から認め合い、誰もが自分の居場所と感じられる文化を大切にしています。 (出所:スターバックス) 

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(写真:スターバックスジャパン)

  言葉だけで伝えることは誰にでできる。それを実践することの尊さを感じる。 

人種、年齢、性別、役割や雇用形態、障がいの有無、個人の価値観などの違いを超えてすべての人を温かく迎え入れ、認め合い、そして一人ひとりが自分らしくいられる居場所をつくることは、企業が成長していくうえで重要なことであるだけでなく、“多様性”と“人間らしさ”を求めるスターバックスとして社会へ提案していきます。 (出所:スターバックス) 

 

www.starbucks.co.jp

 

 スターバックスによれば、この店舗では手話でのオーダーに加えて、音声や指差し、筆談でも注文可能だという。

手話だけでなく、nonowa国立店では複数の方法のご注文が可能です。ご注文の商品やご希望をタブレットに向かってお話しいただき、それが文字で表示され、パートナーへと伝わる音声入力システムや、指差しで商品選びからカスタマイズまでご注文いただけるメニューシート、筆談具などのツールもご用意しています。 (出所:スターバックス) 

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(写真:スターバックス

 目標をもって行動し、その努力が実を結ぶ。見た目とか、障がいの有無とか、そういうことは関係しないはずだ。そんなことがあたりまえになった方がいい。そんな社会にどんどん近づいていって欲しい。 

 

www.buzzfeed.com

 

「関連文書」

dsupplying.hatenablog.com

  

dsupplying.hatenablog.com

 

組織委員会騒動とフラットな社会 多様性がもたらす恵み

 

 五輪組織委員会の騒動が気になっていた。政治的な興味はさほどない。関心事はダイバーシティ(多様性)なのかもしれない。会社勤めしていた時、ダイバーシティ(当時はこの言葉を使っていなかったが)で躓いた経験があるからなのだろう。

『森氏辞任に考える 日本社会に残る無意味な風習』という日本経済新聞の記事が気になった。

東京五輪がそんな「フラットな社会」、つまりダイバーシティー(多様性)など真の社会変革のきっかけになったとしたら、それこそが一番のレガシー(遺産)といえるのではないでしょうか

と、ドーム社長の安田秀一氏の言葉でこの記事は結ばれる。この言葉に共感したのかもしれない。

 

 

五輪やスポーツを超え、これからの日本が再び輝くには、どんなリーダーを選び、どんな社会を築いていくべきなのか。

男だから、女だから、年下のくせに……なんていう無意味な風習や価値観が廃れていき、自由闊達な議論が盛り上がる風通しのよい社会へ

前回のコラムでも記したスポーツがけん引する「フラットな社会」の実現が、思ったより早く訪れそうで、なんとなくワクワクしてしまいます。 (出所:日本経済新聞

www.nikkei.com

 安田氏は、五輪をテーマに書き、様々な問題を提起する。自分の経験においても、その一つ一つに思い当たる節がある、同じようなことがあったと感じたのだろう。

 

 

 

記憶

  主力であったマレーシアの工場の生産が、ある部品の供給問題でズタズタに寸断され、その解決のために海外駐在を命じられたのはもう20年の前のこと。

 問題の渦中に放り込まれたわけだから、現地スタッフたちから毎日責め立てられたものだった。赴任直後は、現地にこれといった人間関係もなく、途方に暮れ、対応に苦慮したものだが、逆に問題があったからこそ、人が集まり、そこから人間関係が生まれ、徐々に問題が解決に向かい始めた。3~4か月もすると大問題も鎮静化、問題を再発させないような体制作りが新たなミッションになった。

 シンガポールに異動し、小さいながら組織を立ち上げ、以降会社の組織のひとつとして機能するようにまでなった。活動範囲も東南アジアに限らず、中国まで広がり、香港ブランチや中国拠点との協力体制も出来上がった。

 当時はあまり意識はしていなかったが多様性あるチームになっていた。男女半々、国籍を問わずであった。

 ある時、「日本人ー日本人」「ローカルーローカル」となるようなことは止めてもらいたい、ボスはもっとボスらしくとも言われた。その通りだと思った。その意見を受け入れたら、雰囲気がよくなり、スタッフが活き活きと動き出した。そんなこともあった。

 しかし、時が移ろい会社のトップが替わり、日本偏重の組織への移行を求められ、歯車が少しずつ狂いだし、経営者と対立するようになった。海外チームを活かす方策を探すも、受け入れられずに多様性あるチームが消失した。もっと違うやり方があったのではないかと後悔ばかりであった。海外チームの雇用を守れず悔恨の念が残った。

 

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 海外に駐在しているときのトップは海外推進派だったのだろう。国内を開発拠点に位置付け、生産オペレーションは海外に託すと明確だった。オペレーションに関するカンファレンスも海外で開催され、トップ自ら参加していた。そのトップが来れば、現地スタッフとも談笑し、フラットな関係で打ち解けている雰囲気もあった。

 替わったトップは手の空いた国内拠点の人材活用を考え、海外を切り捨てようとした。融和策を模索したが、それは失敗に終わった。

 森さんがそのトップに見えたのかもしれない。

 失ったポジションを回復できたのは取引先の台湾チームとのコラボがあったからだった。そのチームは女性が率いていた。対立することの方が多かったが、ホワイトボードに「呉越同舟」と書き、対立することがあっても同じ舟に乗れば、協力できものと話したら理解を得られた。

 プロジェクトの雰囲気ががらりと変わった。そのときは漢字文化に感謝したものだった。以降彼女のチームとは良好な関係を続けることになった。

 

 

 

 安田氏はこう指摘する。

実際の執行機関である組織委のトップに据えたのは、昭和の臭いがプンプンする、旧来の利益誘導型の政治家でした。人脈やコネ、貸し借りなどを使った根回しによって物事を関係者だけで決定し、利益は限られた狭いサークルに分配していく。

村社会感が全開の過去のやり方をなぞっただけに感じました。

そもそも、どのようにこの人事が決定したのか、その経緯も密室そのものです。かくして、五輪は「復興五輪」などとは名ばかりの利害関係者だけの関心事となり、大会が終われば赤字を垂れ流すだけの無計画な施設が次々造られ、開催に関わる経費は莫大な金額に膨れ上がりました。 (出所:日本経済新聞

 自分が所属していた大企業の一事業が駄目になり終わるときと、同じだなと感じたのかもしれない。

 これを契機にして、「多様性」、「ダイバーシティ」がもっと知れ渡たり、「フラットな社会」に近づいていけばと願うばかりである。

 

www.bloomberg.co.jp

凍える米国 凍るパイプライン、気絶するウミガメ、極寒の中、パリ協定に復帰

 

 米国を寒波が襲っている。バイデン大統領が、テキサス州に非常事態宣言を発令し、州の救援活動を連邦政府が支援すると発表したという。

  CNNによれば、そのテキサス州では電力需要に供給が追いつかず、計画停電が始まったという。天然ガスの供給不足や風力タービンの凍結によることが原因の一端になっているようだ。

www.afpbb.com 

 

 

寒さで気絶するウミガメ

 危機的な状況にあるのは、人間だけではない、沿岸部に生息するウミガメも、寒さのあまり気絶しているのだとCurrier Japonが伝える。

 「電力的な救援がないと、これでは持ちこたえられないです」

前代未聞です。

このようなコールドスタン(寒さによる気絶)は、何十年にもわたる保護の苦労を帳消しにしてしまう可能性があります。しかも停電中に救助活動することになるとは、これまでにない、壊滅的な難局です。 (出所:Currier Japon)

courrier.jp

 

前例のない寒波 凍るパイプライン

 前例のない猛烈な寒波で中部各地の油井が操業を停止、原油生産が40%近く減少していると、ブルームバーグは伝える。

テキサス州では極寒で油井の坑口とパイプライン内で原油天然ガス液が凍結した。パイプラインを地下に敷設する北部の油田と異なり、同州では地上に設置されている。 (出所:ブルームバーグ

www.bloomberg.co.jp

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 弱り目に祟り目

 コロナ渦の被害が深刻な米国を寒波が襲う。弱り目に祟り目とでもいうのであろうか。日本経済新聞によれば、テキサス州では大規模な停電が続き、復旧のめどはたっていないという。寒波による死者は20人以上にのぼっているそうだ。

www.nikkei.com

テキサス州は真冬でも気温が氷点下となることはまれだが、今回の寒波では州内各地でマイナス10度以下となり、1989年以来の最低温度を記録した。南部の天然ガスパイプラインや風力発電設備は氷点下での操業を想定して設計しておらず、急激な気温低下による凍結を防げなかったとみられる。

テキサス州では電力供給の規制緩和によって低価格競争が激化し、電力使用量が下がる冬場の発電を抑える傾向が続いていた。 (出所:日本経済新聞) 

 国内でも寒波で電力需給が逼迫、一時新電力の電気料金が高騰したことが記憶に新しい。

 

 

 今後こうした事態が頻発するようになるのだろうか。インフラ設備などをどこまで適応させるのかということも議論、検討されていくのだろうか。 

 

米 パリ協定に正式に復帰

 その米国が19日、「パリ協定」に正式に復帰するという。世界が強調し、地球温暖化に立ち向かっていくことになるのだろうか。

「何もしなければ打ち負かされる」。

 JIJI.COMによると、バイデン大統領が、中国の環境関連の巨額インフラ投資を強く警戒しているという。

中国政府の政策立案に関わる清華大学の研究機関は、今後30年間に中国の環境投資が15兆ドルに達すると試算しており、米政府は「米中間で環境技術競争が激しさを増す」(国務省)と身構えている。 (出所:JIJI.COM) 

www.jiji.com

  切磋琢磨。競い合うことで温暖化対策が加速すれば、それはそれでありがたいことだ。何もこの分野まで米中対立を持ち出すことはなかろう。

 対立解消に向け、協力関係の模索が今後の課題ということにはならないのだろうか。

 

圧力

 資産運用大手の米ブラックロックが、投資先企業に対して、温暖化ガス排出に関する完全なデータを開示するよう求めたとロイターが報じる。

 気候変動に対する企業の責任をより明確にする取り組みの一環で、開示が不十分な企業に対しては、株主総会で取締役に反対票を投じる可能性があるという。

jp.reuters.com

企業の事業活動そのもので排出される温暖化ガスだけでなく、「スコープ3」と呼ばれる企業が販売した製品やサービスが使われることで生じる温暖化ガスの排出量についても開示の対象とする。

製油会社の場合、自動車がガソリンを使用することにより排出される温暖化ガスなども開示対象となる。 (出所:ロイター)

 ロイターによれば、ブラックロックは今年1月、投資先企業のトップに送った書簡で、2050年までの温室効果ガス排出量の実質ゼロ化を実現する計画を示すよう求めたという。ただ、ブラックロックに対しては、温暖化対策への取り組みが不十分だとの批判も出ており、温暖化対策でブラックロックの要求を受け入れない企業への投資は止めるべきだとの指摘もあるという。今後の対応が気になる。  

 

dsupplying.hatenablog.com

 

 
 新型コロナ、気候変動、どれも本来は世界が協力して対処すべき問題なのであろう。協力の下、リーダーシップ争いが起こり、シェアを争うのが自然なことであり、それが「サスティナビリティ」持続可能性だろう。

 いつまでも過去の亡霊に縛られていることはないはずだ。早くそのことに気づくべきだ。

 

「参考文書」

www.cnn.co.jp

www.nikkei.com

 

始まったワクチン接種 「安心・安全」な社会は確立できるか、「サステナブル」の意味を考える

 

 ワクチン接種が始まったと聞いて、少しばかり安心する。出口の見えない暗がりからようやく抜け出る小さな灯りのような気がした。順番が回って来るまでには長い時間がかかりそうだが、それでもその間に誰かが接種することでリスクが少しずつ減るのであれば、それはそれでいいことなのだろう。

 

 

 米国では、国防生産法を発動し、コロナワクチンを追加確保したという。

バイデン氏は「生産を支援してより多くの機器を確保できるよう、われわれは国家防衛法を発動した。これによりわれわれは両社の計画を前倒しさせることができた」と話した。 (出所:ブルームバーグ

www.bloomberg.co.jp

こうしたことをしながらも、バイデン大統領は、パンデミック(世界的大流行)がすぐに収束することはないと警告したそうだ。 

 その上、米国はWHO世界保健機関に2億ドルを拠出するという。AFPによれば、貧困国の新型コロナワクチン確保を目指す国際枠組み「コバックス(Covax)」にも「大規模な資金援助をする」と表明したそうだ。

www.afpbb.com

 米国が前政権の路線から決別していく。前政権の4年間とは一体何であったのだろうかと改めて考えてしまう。歴史に「if」はないといわれるが、もしコロナ対策に積極的であったらどうなっていたのだろうかと想像する。

 社会の雰囲気は違うものになっていたのだろうし、もしかしたら、もっと早くパンデミックが収束方向に進んだのかもしれない。ここまで酷い被害はなかったのかもしれない。

 国内でも感染が収束する前に「空前絶後の経済対策」と言った政治家がいた。米国の前政権の人とはゴルフ仲間と呼び合う仲良しだったとか。何か刺激されるものがあったのだろうか。

 ようやく始まったワクチン接種でそんなことを思い出す。

 

 

 自身でコントロールできないことに腹を立てるべきではないという。

 コロナパンデミックについても、そうなのだろうと思おうとするが、感情を揺さぶられることが多かった。深刻に考えまいと思い、冷静さを装ってはいたが、心のどこかでは「安心・安全」が脅かされているのではないかと思い落ち着いていなかったのかもしれない。

 欧米と比べた数字の多寡ではなく、自分が所属する地域コミュニティで増えれば、対岸の火事とは思えなかった。

 感染対策が個々人の努力次第ではやはり心もとない。率先するリーダーたちがその善き模範を示せば、自ずとそれに倣うようになるかもしれないが、そうはいかないのが常、一人ひとりの良心に頼った対策にはやはり限界がある。

 結局、ワクチンであったり、法的な規制なくして対策は成り立たないと思い、それを待っていたのかもしれない。

 

 

 

 国内で初めてコロナが確認されてから1年余りが経過した。世界各地でワクチンが開発され、その接種が始まり、ようやくその順番が回ってきた。

 しかし、なぜ自国でワクチン開発ができなかったのだろうか。どこか劣化していないだろうかと思ったりする。ノーベル医学賞を受賞する人を多数輩出しているのだから、こうした危機にあってこそ、その力を発揮されるべきと思うがそうはいかない。何故なのだろうか。 

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『知っていても意外と説明できない「SDGs」の本質 ~SDGsでいうところのサステナブルとは何か』との記事を東洋経済オンラインが出す。

 記事執筆はレノボ・ジャパン社長のデビット・ベネット氏。現状世界が抱える問題、環境破壊や経済格差、機会の不均衡などを簡潔に説明し、「SDGsはこうした行き詰まりに対し、本質的な解決を図るための提言です」という。

「経済発展をSustain(維持)する」一方で、その発展したいというエネルギーで「諸問題を解消する」ということです。

つまり、資本主義、企業活動というワードが「サステナブルな」の本当の主語なのです。 (出所:東洋経済オンライン) 

toyokeizai.net

 ベネット氏の説明が腑に落ちる。「Sustain」には「Maintain」と違って、続けることができなければもうおしまい的なニュアンスがある。

 終わらせないために、そのエネルギーを物事の解決に向かわせるということがSDGsの本質であろうか。

 言われてみれば、多くの企業の「サステナブル」は、「Sustain」ではなく、「Maintain」しているだけのかもしれない。

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 ワクチン接種が始まった。少し気が緩んでしまいそうな気もする。この時期にもう一度「サステナブル」の意味を考えてみるのもいいのかもしれない。

「安心・安全」が壊れてしまえば、すべてが無に帰してしまう。

 

新しいあたり前に 三越のリユース容器、伊藤忠のリサイクル素材に、社会の多様性

 

 業界紙 日本食品産業新聞社が「ペットボトル=悪なのか、飲料メーカー各社が循環型リサイクルを本格化」との記事を出し、「ボトル to ボトル」のリサイクルが広がっているという。

 記事は飲料メーカ各社の取り組みや動向を紹介し、「ペットボトルが「悪」ではなく、資源循環しやすい容器であることを証明できれば、アジアなどの各国に日本のリサイクル技術を伝達できる」という。

「実現すれば、世界で多くの人々が、安全で使い勝手がよく、安価に入手できるペットボトルを使い続けることができるだろう」という言葉で結ぶ。

www.ssnp.co.jp

 内容は別として、業界紙からもこうしたテーマの記事が出るということは、循環経済(サーキュラー・エコノミー)が浸透し始めてきているのかと感じる。

 

 

 

 リユース容器

 日本橋三越本店が、リユース容器を使った惣菜の販売を2月15日から始めている。 三越伊勢丹によれば、Loop Japanが進めている「Takeout Bento Project」に参画、2月28日までの限定での取り扱いのようだ。

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(写真:三越伊勢丹

日本橋三越本店の地下1階食品売り場に出店する中華料理<桂林プレミアム>と洋惣菜<サルメリア ガリバルディ>が対象だそうだ。
 三越伊勢丹によれば、リユース可能な容器で購入した場合は、デポジット代として330円が発生するという。空き容器を後日店頭で返却した際に、デポジット代分の優待券を入手できるという。容器は、ループ・ジャパンにより、回収・洗浄したのち店舗へ配送、再利用するという仕組みだという。

 都内の丸の内エリアや六本木エリアの特定オフィスの社員限定で始まったリユース可能な容器での弁当販売の三越版とでもいうべきものであろうか。

dsupplying.hatenablog.com

 どちらのプロジェクトも容器の回収・洗浄はLoop Japanが担う。リユース容器での販売が新しい当たり前になっていくのだろうか。定着し始めれば、 容器の回収も改善され、使い勝手がさらによくなっていくのかもしれない。

 

 リサイクル素材

 伊藤忠商事が、リサイクルナイロンブランド「ECONYL® (エコニール)」の製造元Aquafil S.p.A.(アクアフィル、本社:イタリア)と業務提携し、ナイロン廃棄物の回収からリサイクルナイロンの最終製品の開発、販売に取り組むと発表した。

 ECONYL®は、アクアフィル社の独自技術でナイロン廃棄物をケミカルリサイクルによって再生されたリサイクルナイロン。不純物等が完全に除去され、バージン材と同等品質だという。原料となるナイロンは漁網やカーペットなどの廃棄物が利用されている。

 

 

 伊藤忠商事によれば、エコニールは100%廃棄物からのリサイクルのため、石油由来の通常のナイロンに比べてCO2排出量を最大90%削減が可能だという。

 すでにGucci(グッチ)やBURBERRYバーバリー) 、PRADAプラダ)などのブランドでこのリサイクル素材が採用され、この他にもカーペット業界等を中心に全世界2000社以上の著名なブランドで採用されるようになっているという。

 

dsupplying.hatenablog.com

 

エコニール技術を中心としたバリューサイクルの拡大に向けた今後の取り組み(伊藤忠商事

  • ナイロン廃棄物の回収(漁網、カーペット、廃棄衣料品等、国内含む全世界から回収)
  • エコニールの日本、アジア市場を中心とした拡販(ファッション分野等)
  • エコニールの新規用途開発(フィルム、自動車部材、漁網等)
 (出所:伊藤忠商事

www.itochu.co.jp

 「三方よし」を社是に掲げる伊藤忠商事のここ最近の動きが活発だ。総合商社の中で、早々に「脱石炭」に舵を切り、様々なサステナブルプロジェクトを立ち上げ、それを事業化する。従来のようなCSRの押し売りではなく、「サステナブル」が事業の中心にシフトしているように見える。そして、他の総合商社をしり目に業績を伸している。

 何かが新しい当たり前になっていくには、それを導く開拓者の存在が必要なのかもしれない。

 

dsupplying.hatenablog.com

 

 多様性

 経済同友会桜田代表幹事が16日の定例記者会見で、「生産性向上のための技術革新には人材の多様性が必要だが、経営者にはその危機感が足りない」と指摘したと共同通信が伝える。

 多様性を重視しない企業は「存続すら危うい」と警鐘を鳴らしたそうだ。 

this.kiji.is

 それによると、企業で女性の役員登用が進んでいない理由を問われた桜田代表幹事は「女性側にも原因がないことはない」とし、「チャンスを積極的に取りにいこうとする女性がまだそれほど多くないのではないか」との認識を示したという。

 桜田代表幹事が社長を務めるSOMPOグループでは、女性役員が増えるのを待つのではなく、実際増えるよう行動していると日テレBEWS24は指摘する。

 また、「ダイバーシティが進んでいる組織は業績がよいとの証拠を多く出していくことが日本の組織でのダイバーシティ促進につながる」との見解を示したそうだ。    

 当たり前のことに疑問を感じることで、変化は始まるのかもしれない。疑問や気づきを得るには、それ以前の経験や学習になる。

 自身で信じ込んでしまった既成概念が結構あったりする。自然は常に変化しているのだから、常識も常にアップデートが繰り返されているのかもしれない。自身で信じてしまった常識を疑ってみると、意外にモヤモヤが晴れたりする。

 今週には森会長の後任が決まるという。多様性に前進はあるのだろうか。

 

「参考文書」

www.news24.jp

 

コロナ渦の日経平均3万円に「ESG」はどこまで影響したのか 広がる格差との指摘も

 

 日経平均株価が3万円を回復した。30年半ぶりのことだという。

 ブルームバーグによれば、景気期待や業績改善、輸出や金融が主導しているという。理屈はわかるが、このコロナ渦にあって世にも不思議なこととも感じてしまう。

取引開始前に公表された2020年10-12月期の実質国内総生産(GDP)速報値は前期比年率で12.7%増と、市場予想(10.1%増)を上回った。

日興アセットのベイル氏は「企業がリモートワーク機能の構築とハイテク製造能力の拡大に資金を費やしたため、民間設備投資は非常に強力だった」と分析。

1-3月期のGDPは市場予想で再びマイナス成長が見込まれているが、海外需要の強さなどを背景として「GDPには今後改善の余地が多くある」としていた。 (出所:ブルームバーグ) 

www.bloomberg.co.jp

 「過去10年間の株式市場の姿が合理的なバリュエーションや利益の改善、配当の急増による株主還元の進展により、株式市場の本当の姿に近いということに気づいたからだ」と評価する日興アセットマネジメントのチーフ・グローバル・ストラテジスト、ジョン・ベイル氏の言葉を紹介する。

 棄損していた株式市場が適正化したということであろうか。ESGの成果なのだろうか。

 

 

 

 広がる格差

 「富める階層をさらに富裕化させて、その波及効果を所得の低い人たちに波及させるのか」とロイターは疑問を投げかける。

 政府・日銀内では、富裕層の使い残したマネーが預金として積み上がっているとの見方が広がっているようだとロイターは指摘する。

「待機マネー」の受け皿を作ることで、円滑に景気全般への波及が実現するように意図した政策が「Go To」だと言えるだろうという。

仮に新型コロナ用のワクチン接種が順調に進んだ場合、待機資金として積み上がっているマネーが、今年後半か来年初めにかけて旅行や飲食、その他の接触型サービスに流れ込み、「過熱感」すら伴って消費拡大へと突き進むシナリオだ。 (出所:ロイター)

jp.reuters.com

 さらに、一部の金融機関が、今後のサービス関連の需要のⅤ字回復と関連企業の業績回復を予想しているのも、あながち「ポジショントーク」とばかりは言えない側面を持っていると言えるという。

 一方、コロナ禍の影の暗さは、時の経過とともに深刻さを増しているという。

 失業者が増加し、非正規雇用者の人数が減少し、雇用の現場で女性の解雇が多くなっていると指摘する。

このような一部の階層の富裕化と失業による貧困化が、大規模にかつ同時並行的に発生するという社会現象は、戦後の日本で初めて経験することではないか。言い換えると、富裕化と貧困化の二極構造が、かつてないほどに進行中ということだ。 (出所:ロイター) 

 

 

 この指摘を鑑みれば、まだまだESGの「S(社会)」が改善しているとは言い難いのではないか。

 上り調子の株価に「S」が犠牲になってもいいのだろうかと感じるばかりである。

「Go To」待ちではお寒い話ではないか。ロイターが指摘するように、それで、この国の成長力を取り戻していくことはできるのだろうか。

 

 転んでもただでは起きないトヨタ

 トヨタが先日、今期の業績予想を発表した。自動車販売の増加に加えてお家芸のコスト削減も奏功して営業利益は2兆円の大台を回復する見通しとブルームバーグが伝える。

 新型コロナウイルスの影響や世界的な半導体不足により販売や生産に打撃を受ける企業も多い中、同社の力強さが際立つ格好となったと指摘する。

業績回復については「当たり前のことを当たり前のこととして一生懸命頑張った成果」と指摘。

一例として感染拡大の影響で工場の生産が止まる中でも、現場で原価改善の取り組みを継続したことなどにより、稼働が戻ってきたときには固定費が低い状態で高稼働を続けることができたと述べた。 (出所:ブルームバーグ) 

www.bloomberg.co.jp

「文字通り災い転じて福となす、転んでもただでは起きない」をトヨタは実践しているとブルームバーグは指摘する。 

「普段からちゃんとやっている研究開発、商品開発がこういったときにも花を咲かせてくれる」ともいう。 

  そのトヨタは国内生産300万台体制の維持にこだわる。この苦境下でも、いち早く業績回復させることができれば、雇用機会は守られる。

 

 

 昨年5月、豊田社長は会見でこんなことを語っていた。

今の世の中、「V字回復」ということがもてはやされる傾向があるような気がしております。

雇用を犠牲にして、国内でのモノづくりを犠牲にして、いろいろなことを「やめること」によって、個社の業績を回復させる。それが批判されるのではなく、むしろ評価されることが往々にしてあるような気がしてなりません。

「それは違う」と私は思います。

企業規模の大小に関係なく、どんなに苦しい時でも、いや、苦しい時こそ、歯を食いしばって、技術と技能を有した人財を守り抜いてきた企業が日本にはたくさんあります。 (出所:トヨタ プレスリリース)  

dsupplying.hatenablog.com

  有言実行ということであろうか。

 

業績回復のためか、資生堂が進めるDXはコンサルが主導 

 新型コロナによる小売店の臨時休業や訪日外国人減少の影響を受け、化粧品大手の資生堂が赤字に陥った。その資生堂はパーソナルケア事業をCVCに譲渡し、経営改革を進める。

 資生堂によれば、アクセンチュア㈱との戦略的パートナーシップによりDXデジタルトランスフォーメーションを加速させ、取引先小売店とも連携しながら、オンラインとオフラインを融合した体験を提供する新事業モデルへの転換を推進するという。

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世界約120の国と地域でビジネスを展開する資生堂グループ全体で、業務推進上のプロセス、システム、データの標準化、統一化によって業務プロセスの高度化および効率化を図ります。

グループ全体でクラウドベースの単一の情報システムを構築することで、全世界共通の経営情報やデータの見える化、決算の早期化、在庫管理の高度化、グローバル需給管理といったデジタル変革の実現に不可欠な基幹業務プロセスの刷新を目指します。 (出所:資生堂)  

corp.shiseido.com

 資生堂の経営改革に少しばかり興味を覚える。こうしたことを公表するということは不退転の決意ということなのだろうか。

 コンサルティングファーム主導の改革は、どこまで成果をあげることができるのだろうか。

 

 

 

 コロナ渦の日経平均3万円、期待先行ということなのだろう。散々叫ばれてきた「ESG」が確かなものであれば、新たな雇用機会も生まれるのだろう。

 上り調子に「ESG」や語られてきたステークホルダー資本主義を忘れるようであれば、株主第一主義への回帰と言われかねない。それでは元の木阿弥、何もよくなることはない。

 期待先行の株価、期待を裏切ってはならないはずだ。